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眞子さま「時計の針が再び動き出したかのような感覚」 29歳の胸中と皇族としてのご活動

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
眞子さま(写真:アフロスポーツ)

 先週23日、秋篠宮ご夫妻の長女・眞子さまが29歳の誕生日を迎えられた。公開された映像には、眞子さまが妹の佳子さまと赤坂御用地を仲良く散策されるお姿が映っている。

 注目を集める結婚問題がかまびすしく報じられているが、ご婚約内定記者会見以降も、眞子さまは公務に励み、誠実に務めを果たしてこられた。こうした公務のご様子はあまり報道されず、また報道されたとしても、皇室の動静として小さな扱いだったように思う。

 ご結婚に関しては、究極的に眞子さまのプライベートな問題であり、詳細を知らない筆者は言及すべきではないと考えている。

 それよりも取り上げなければならないのは、結婚をめぐるネガティブな報道にもめげず、眞子さまは悩みがつきなかったであろうこの3年間、その胸中を吐露することなく、自らの責務を果たされたことだ。

 そこで、これまでの公務から、皇族としての眞子さまを紐解いてみようと思う。

■各国で賞賛された眞子さまの存在感

 成年皇族となられてから、眞子さまは国内での公務もさることながら、海外訪問にも精力的にのぞまれてきた。

 平成27年には、初めての海外訪問となった中米のエルサルバドル及びホンジュラスで、眞子さまが振り袖姿でお出ましになると、その気品あふれる装いに大統領も感激し、現地の人々からため息がもれたという。 

 平成28年にはパラグアイ、平成29年にはブータン、平成30年にはブラジル、そして令和元年にはペルー及びボリビアをご訪問し、眞子さまは積極的に国際親善に貢献してこられた。

 訪れた海外の地では、眞子さまの洗練された振る舞いと上品さに人気が集まり、歓迎ムードに沸いていたと聞く。それは、神秘的とさえ言われた落ち着いたたたずまいと、相手国に対して心を尽くそうとされるお人柄ゆえであろう。

 また眞子さまは、現地在留邦人の活躍に触れ、日本の国際貢献に感謝の一文を寄せられている。

 平成27年のエルサルバドル及びホンジュラスご訪問を終えての文書では……

「(前略)エルサルバドル、ホンジュラスとも、JICA関係者を含む当地在留の邦人、そして日本と関わりの深い現地の方々とお会いする機会がありました。(中略)困難なことも数多くありながら、人々の優しさについて語る皆さまの笑顔に、心温まる思いがいたしました。今回行く先々で色々な方とお会いしましたが、必ず伝えて下さるのは、JICAの活動を始めとする日本の貢献に対する深い感謝の気持ちでした。その度に、種々の取り組みが実を結んでいることを改めて感じ、大変嬉しく思いました」

 平成30年のブラジルご訪問を終えての文書では……

「(前略)日本からの移住者とそのご子孫が、大変な苦労と想像を絶するような困難を勤勉さと誠実さを持って乗り越えてブラジルの発展に貢献され、(中略)また、努力を積み重ねて今日の日系社会の発展を築きあげられたことに、改めて、心より敬意を表します。そして、この歴史が、未来を担う世代にも大切に引き継がれていきますことを願います」

 日本の代表として、世界各地で働く日本人や、移民した方々、その子孫の方たちにも心を寄せられる眞子さまのお言葉は、温かな思いやりに満ちている。

「日本のプリンセス」として各地で大きな人気と話題を集められたのは、眞子さまのこうした人間性によるものだろう。

■令和となってからのご公務

 眞子さまは「日本テニス協会」の名誉総裁職を受け継ぎ、お代替わりに伴って、秋篠宮ご夫妻の公務であった「全国都市緑化祭」をはじめ3つの行事を継承された。その中のひとつ「森と花の祭典・みどりの感謝祭」の式典には、令和元年5月に出席され、10月には「国民体育大会」閉会式にものぞまれた。

 一方、国際基督教大学や英国・レスター大学大学院で美術や博物館学を学ばれたことから、東京大学総合研究博物館に特任研究員として採用され、週に3日程、勤務されているが、今年はコロナ禍の影響でリモートワークとなっているという。

 その東京大学総合研究博物館が、日本郵便株式会社と協働で運営を行っている文化施設「インターメディアテク(IMT)」HPの研究者コラムコーナーに、眞子さまも他の研究者とともに寄稿されている。

 

 最新のコラムは「休館日の小旅行」と題され、誰もいないインターメディアテクの中を、ひとり見学した時のご様子が描かれている。

 灯りのついていない展示室を移動しつつ、いつもと違う雰囲気に新鮮さを感じながら、十数分後に灯りがついた時のご様子をこう締めくくった。

「それはまるで時計の針が再び動き出したかのような感覚で、しかし私は、いつもと違うIMTも結構好きだった…などと、思い返すのである」

 どこか新たな時代、新たな心の変化を自覚されているような、メッセージとも受け取ることができる。

 コロナ禍で外出を伴う公務を中断されていた眞子さまだったが、9月16日には、約8カ月ぶりに、外部での行事にご出席。

 それは、眞子さまが総裁を務められている「日本工芸会」などの主催による「第67回日本伝統工芸展」。作品の数々を鑑賞され、授賞式では総裁賞の受賞者に賞状を手渡された。

 淡々と、しかし誠実に、眞子さまの日々は、その責務を果たされているのだ。

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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