王道の水無月を銀座より。シンプルな「水無月」は清月堂本店さんの職人技がきらりと光る神事の和菓子
銀座の地にて創業115年以上を誇る「清月堂本店」さん。当時は夜になると人通りも少なくなり、一人で出歩くのが危険だったといわれるエリアでしたが、新橋演舞場の設立や銀座の発展と共に賑わいをみせはじめ、戦災等を乗り越えてきた現在も芸能関係の方々やオフィス街の方から愛されるお店です。
そんな銀座の地で誕生した和菓子屋の清月堂本店さんには、京都発祥の和菓子でもある「水無月」が、6月最後の週あたりから店頭に姿を現し始めます。
今回は、清月堂本店さんの「水無月」をご紹介。
古の京の都では、毎年6月最後の日になると、その年の穢れを払い滋養強壮の意味も含めて、天然の冷蔵庫でもある氷室に貯蔵しておいた氷を口にしていたといわれております。
そこから着想を得て、台座である外郎を三角形に整えて氷に見立て、破邪の力を宿すとされる赤を象徴する小豆を塗したお菓子が誕生したとか。諸説ありますが、こちらが最もよく耳にする言い伝えではないでしょうか。
また、外郎生地に小豆を散らしたお菓子としての水無月ですが、江戸時代にはすでに作られており、幕府に献上されていたという記録もあることから、比較的長い歴史を持つ和菓子ともいえます。
話が逸れてしまいましたね。
その言い伝えのごとく、清月堂本店さんの水無月は生成りの乳白色に小豆が鮮やかに映えるオーソドックスな風貌。蒸しあげる前に外郎生地を裏ごししているので、非常に滑らかな舌触りです。
また、上新粉だけではなく、小麦粉と本葛粉も合わせるという独自の拘りも。白い、と一口に申しても、こちらの外郎はほんのりと向こう側が透けているのがわかりますでしょうか?本葛粉のおかげか、ぷるんと軽やかな弾力を感じつつも、上新粉と小麦粉が織り成すもちもちとしたしっかり芯のある外郎らしさもきちんと兼ね備えています。
また、外郎生地そのものがあっさりとシンプルな味わいのため、惜しげもなく敷き詰められた小豆のふっくらとした舌触りや小豆そのものの美味しさもしっかりと堪能。
昨今は抹茶や黒糖、フルーツなどをあわせた新しい水無月も世に出回るようになりましたが、シーズン中一度は王道まっしぐらの水無月も味わいたいと思う次第です。