【泉南市】大通りから「見えない」「入りづらい」のに昼時はいつも満車。『活魚料理店』の意外すぎるランチ
お店の前にそびえ立つ大きな看板が死角となり、大通りからほとんど見えない。
旧国道26号線に入口が面しているわけではなく、山側に一旦曲がらないといけないから入りづらさもある。それなのに、お昼時の駐車場はいつも満車。
このお店の「お昼」にどんな魅力があるのかずっと気になっていました。
創業25年「活魚料理鍋物まつり」
今回ご紹介するお店は、旧国道26号線「中小路南」交差点角にある「活魚料理鍋物まつり」。
この写真からもわかるように、旧国道26号線(写真左)側からの視認性は壊滅的な状況で、店の入り口も奥まっているため健気にがんばるのぼりと大きな看板の裏に隠れちゃってる小さな看板が目印のお店です。
コロナ禍を経て、この立地条件で、このお昼の賑わいは気になります。
店名からもわかるように魚料理がメインのお店。ですが、なにやら気になるメニューがあります。「今日の日替わり」の「牛すじ赤ワイン煮入り まつり特製オムレツ定食」(小鉢2品付)1000円。ご存知でしたか? 洋食メニューもあることを。口コミをチェックすると、魚料理を絶賛するコメントが寄せられていてその評価は4.3とかなり高め。でも、“昼人気”の理由は、それだけではないようです。
(お昼時は混雑するため、時間をずらして取材をさせていただきました)
老舗活魚料理店らしい店内
店内は、カウンター10席と半個室空間の小上がり席が4部屋。老舗らしい年季も感じますが、しっかり手入れされていて清潔な印象です。
入口付近には魚を新鮮な状態でストックしておくための活魚水槽があり、取材日はハモとアジが元気に泳いでいました。
活きのいい魚を食べてほしいから注文が入ってからさばくスタイルを貫いてきた。維持管理は大変だけど、それだけはこだわってやってきた、と話すのは女将の徳和目 馨(とくわめ かおり)さん。この水槽に大きなクエが入ることもあるというから、ライブ感たっぷりの食事は子どもも喜びそうですね。
右上に「魚のお店 まつり」と書いてある通り、「特大サザエ」「マグロ」「サバ松前寿司」「活うなぎ」など、やはり海鮮メニューが充実しています。
お昼のメニューは、「まつり定食」(お造り2種盛り、天ぷら盛り、日替わり小鉢2品) 2000円や「まつりスペシャル定食」(お造り3種盛り、天ぷら上盛り、日替わり小鉢2品、茶わん蒸し) 2500円などが人気。ほかにも、焼き魚や揚げ物、お子様メニューなどもあり、その内容は多彩です。
意外すぎるランチ
美味しそうな定食にも心惹かれますが、「大将が久しぶりに牛すじを赤ワインで煮込んでるんですよ」という女将の言葉がトリガーになり、やはりあの「日替わりランチ」をオーダーしてみることに。
小上がり席の一室に座り一服していると、ほどなくして料理が運ばれてきました。
あら、可愛らしい! というのが料理到着直後の感想。
ですがこのオムレツ、可愛いだけでなくかなり本格的な美味しさなのです。
お箸を入れると、トロトロの牛すじがあふれ出します。
赤ワインが香るデミグラスソースのような濃くて甘い味付けは、ふんわり卵とベストマッチ。やわらかく煮込んだ牛すじは、家庭で主婦がつくるそれとは違い、やはりプロだなぁと感心させられます。次から次へと食べたくなる美味しさで、口に運ぶ手が止まりません。魚料理メインのお店で、まさかこんな本格的な洋食が食べられるとは思ってもいませんでした。
地元の農家さんのお米を精米し、ガス釜で炊きあげたごはんは、米一粒一粒がしっかりとしていて食べ応えがあります。
脇をかためる小鉢たちは女将作。大将のお母様が育てた野菜を使用したゴーヤチャンプルーや筑前煮など、ほっこり優しい美味しさ。
そして、この「あさりの味噌汁」の美味しさで この店が“魚のお店”だったと我にかえりました。美味しすぎます…この味噌汁。
日替わりメニューは、ほかにも「いか焼き定食」や「トマト煮込みハンバーグ」「カンパチのかま塩焼き定食」「ミルクコロッケ」など、その日仕入れた食材で、大将と女将が手際よく調理します。
めんつゆの美味しさを絶賛する口コミもありましたが、とびあら、じゃこ、甘エビ、昆布、鰹で出汁をとって手作りしているとのこと。
取材中、お客さんから野菜の差し入れが届いたり、25年夫婦で通う常連さんがいたりと、視認性が低い店であっても信頼して足繁く通うお客さんがたくさんいることを知りました。
食事を終え、いよいよ「あのこと」を聞いてみたいと思います。
―あの大きな看板は、創業当時からあったのですか?
「ないない。いつの間にか建てられたんです」
―あの…建てられたとき、どう思われましたか?
「隠れたな…と 笑」
ユーモアたっぷりの女将の返しに優しいお人柄を感じました。
どうしようもないしね、とにっこり微笑む姿も印象的です。
大通りから「見えない」「入りづらい」のに昼時はいつも満車の「活魚料理鍋物まつり」は、魚料理メインのお店でありながら、その日仕入れた食材で大将と女将が腕を振るい、とんでもなく美味しい日替わりランチを提供する魅力あふれるお店でした。