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立春は光のみの春 週末は強い寒波が襲来で北陸中心に積雪増加に注意

饒村曜気象予報士
日本海の寒気南下に伴う筋状の雲(令和4年(2022年)2月3日15時)

寒波で北陸を中心に積雪増加

 日本付近は西高東低の冬型の気圧配置が続いており、日本海には寒気の南下を示す筋状の雲があります(タイトル画像参照)。

 この冬型の気圧配置は、週末にかけて強い寒気が入ることで、より強まる見込みです(図1)。

図1 予想天気図(2月4日9時の予想)
図1 予想天気図(2月4日9時の予想)

 このため、北陸や北日本の日本海側では雪が続き、北陸を中心に降雪量が増えるでしょう(図2)。

図2 72時間予想降雪量(2月4~6日)
図2 72時間予想降雪量(2月4~6日)

 これまで、多くの地方では、平年より多くの雪が積もっています。

 そこに、多い所で72時間で100センチ以上という降雪が加わりますので、雪崩等に注意が必要です。

 特に北陸付近には発達した雪雲が流れ込みやすく、大気の状態が不安定となりますので、落雷や突風にも注意してください。

 西日本の日本海側もにわか雨やにわか雪がありそうです。

 冬型の気圧配置が強まってくるため、太平洋側では晴れる所が多くなりますが、関東など晴れる地域でも最高気温が一桁の厳しい寒さとなりそうです。

 また、大陸から張り出してくる高気圧の南縁にあたる沖縄県では、曇りや雨の天気が続きます。

日本上空の気温

 日本の上空約5500メートルの気温は南下してくる寒気の強さの目安として使われます。

 上空約5500メートルで氷点下39度以下という寒気が北日本を通過し、大雪をもたらす目安とされる氷点下36度以下という寒気は、東北北部から能登半島付近まで南下してくる見込みです(図3)。

図3 上空約5500メートルの2月5日朝の気温分布予想
図3 上空約5500メートルの2月5日朝の気温分布予想

 また、日本の上空約1500メートルの気温も南下してくる寒気の強さの目安として使われます。

 平地でも雪となる目安とされる、上空約1500メートルで氷点下6度以下という寒気は、週末にかけて、北日本から東日本、西日本の広い範囲をおおう見込みです(図4)。

図4 上空約1500メートルの気温分布予想(2月4日朝~9日朝)
図4 上空約1500メートルの気温分布予想(2月4日朝~9日朝)

 つまり、ほとんどの地方で、降水現象があれば雪として降ることを示しています。

 そして、氷点下6度以下という寒気は、3日ほど居座ったのち、西日本から北上してゆきます。

 このように、上空約5500メートルと、上空約1500メートルで南下してくる寒気を考えるのは、寒気が立体的な構造をしているからです。

 気象庁では、周りの空気に比べて低温な空気を寒気とし、寒波を次のように定義しています。

 「主として冬期に、広い地域に2~3日、またはそれ以上にわたって顕著な気温の低下をもたらすような寒気が到来すること」。

 今回の寒気は、3日程度はきますので、寒波になります。

福岡市の気温の推移

 福岡市では、令和3年(2021年)12月以降、日による寒暖差が大きい状態が続いており、12月21日に最高気温17度を記録したあと、クリスマス寒波によって気温が急下降し、12月26日には最高気温が4.3度までしかあがりませんでした(図5)。

図5 福岡市の最高気温と最低気温の推移(2月4~10日は気象庁、2月11~19日はウェザーマップの予報)
図5 福岡市の最高気温と最低気温の推移(2月4~10日は気象庁、2月11~19日はウェザーマップの予報)

 そして、今回の寒波が襲来する週末は、最高気温が6度と、クリスマス寒波並みの寒さとなる見込みです。

 週明けにはほぼ平年並みになるとはいえ、一年で一番寒い頃の平年並みです。

 47都道府県のうち、平年の最低気温が4度以上の県庁所在地は、那覇市(14.4度)と鹿児島市(4.5度)しかありません(図6)。

図6 県庁所在地の最低気温の平年値
図6 県庁所在地の最低気温の平年値

 福岡市では、平年並みの最低気温が3.6度です。

 今年の2月4日は立春で、暦の上では春となりますが、まだまだ寒い日が続きます。

 正月の頃に比べると、日の出が早くなっていることた、日の入りが遅くなっていることが実感できると思います。

 昼間の時間は確実に長くなっている「光の春」は到来していますので、「暖かい春」は、すぐそこまで来ています。

タイトル画像、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図5、図6の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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