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トレード・デッドライン当日に移籍した「不振のスラッガー」が、左右の両打席からホームランを打つ

宇根夏樹ベースボール・ライター
グリフィン・ベネディクト(左)とジョシュ・ベル Aug 9, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月9日、ジョシュ・ベル(マイアミ・マーリンズ)は、4回表と8回表にホームランを打った。1本目は左打席からのソロ、2本目は右打席からの3ランだ。マーリンズは、5対4で勝利を収め、シーズン60勝に到達した。116試合で60勝56敗だ。

 トレード・デッドラインの8月1日に、ベルは、クリーブランド・ガーディアンズからマーリンズへ移ってきた。その時点では、97試合で打率.233と出塁率.318、11本塁打、OPS.701だったが、移籍後の8試合は、打率.323と出塁率.400、3本塁打、OPS1.077だ。

 後者のサンプル数はわずかながら、もしかすると、昨年の夏から続いていた不振を抜け出したのかもしれない。ベルは、実績のあるスラッガーだ。2021年は、打率.261と出塁率.347、27本塁打、OPS.823。ベストシーズンの2019年は、打率.277と出塁率.367、37本塁打、OPS.936を記録している。現在の年齢は30歳。5日後に、31歳の誕生日を迎える。

 昨オフ、FAになったベルは、ガーディアンズと2年3300万ドルの契約を交わした。2023年も2024年も、年俸1650万ドルだ。この契約には、今オフにオプト・アウトできる権利がついている。ここからも好調を維持した場合、契約を打ち切り、再びFA市場に出る可能性もありそうだ。

 ちなみに、2019年7月1日の1試合3本塁打を含め、「マルチ本塁打」は8度目だが、左右の両打席から打ったのは、今回が初めて。それまでの7度は、左打席から3本が1試合、左打席から2本が4試合、右打席から2本が2試合だった。

 1試合に両打席からホームランは、今シーズン、ベルが6人目だ。4月18日にテイラー・ウォールズ(タンパベイ・レイズ)、5月5日にアンソニー・サンタンダー(ボルティモア・オリオールズ)、5月15日にカル・ローリー(シアトル・マリナーズ)、6月8日にホゼ・ラミレス(ガーディアンズ)、7月23日にルイス・レンヒーフォ(ロサンゼルス・エンジェルス)が記録している。

 なお、上の写真のグリフィン・ベネディクトは、「三塁コーチ代行」だ。先月下旬、三塁コーチのジョディ・リードがファウルを右足に受けて骨折。その後は、クオリティ・コントロール・コーチのベネディクトが代わりを務めている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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