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触手を伸ばして襲い掛かるモンスター!不気味さナンバーワン候補のイボタガ幼虫#イモムシ

天野和利時事通信社・昆虫記者
エイリアンが触手を伸ばしたような異様な姿のイボタガ幼虫。

 前回は気味悪さ日本一の蛾としてイボタガを紹介したが、イボタガの幼虫も気味悪さナンバーワン候補(これに匹敵するのはシャチホコガ幼虫ぐらい)のイモムシだ。

 5月上旬にイボタの木(キンモクセイなどにもいるらしい)に姿を見せる小さな幼虫は、結構かわいい。しかし、5月半ばぐらいから次第に怪物の片鱗を見せ始め、終齢幼虫一歩手前の段階になると、妖怪らしさを一気にレベルアップさせる。

 この頃のイボタガ幼虫は、まさにモンスター。頭部近くの異様に長い4本の突起は、エイリアンの触手のようにも見える。怖いもの見たさの虫好きの間では、この時期の幼虫の人気が特に高い。

イボタガの小さな幼虫は、結構かわいい。
イボタガの小さな幼虫は、結構かわいい。

かなり気味悪さを増してきたイボタガ幼虫。
かなり気味悪さを増してきたイボタガ幼虫。

イボタガ幼虫のエイリアンの触手のような突起は威嚇用か。
イボタガ幼虫のエイリアンの触手のような突起は威嚇用か。

終齢になる直前のイボタガ幼虫は、気味悪さマックス。
終齢になる直前のイボタガ幼虫は、気味悪さマックス。

指の上を這わせるとゾワゾワする。
指の上を這わせるとゾワゾワする。

 この不気味な突起は一体何のためにあるのか。恐らくは外敵を威嚇するための装備なのだろうが、突起に毒があるわけでもないので、全くの「こけおどし」だ。それでも、ちょっと意気地なしの鳥を震え上がらせる程度の威嚇効果はありそうだ。虫嫌いの女性にこの幼虫を見せて「キャーキャー」言わせて面白がる悪趣味なやから(すいません、私です)もいるかもしれない。

 威嚇目的なら、最後まで突起を維持すればいいのに、イボタガ幼虫は6月上旬ごろに終齢になると、この突起を捨てて、わりと普通のイモムシになってしまう。その後間もなく土に潜って蛹になるので、長過ぎる異様な突起は邪魔になるのかもしれない。

イボタガ終齢幼虫は突起を捨てて、わりと普通のイモムシに。
イボタガ終齢幼虫は突起を捨てて、わりと普通のイモムシに。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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