『塩味も 半分薄めの 秋の夜』浦和vs川崎【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■45分のために集まる人達とは
31年レッズ戦を見続けて、さすがに初めての経験だ。試合が半分だけの「ハーフマッチ観戦」とは。まさにタイムアップのなかった8月からはや3カ月。いったいどんな形で試合が展開するのか、楽しみなような、きっといつもとさほど変わらないだろうという気もするような。
埼スタに到着したのが試合開始30分前。さっそくいつもと違うことを発見。MDPが売り切れていたのだ。30分前で売り切れってことは、発行部数を絞ったのが、予想外に買い求める人が多かったのか。不明。
売り切れた ハーフマッチに マッチデイ
スタンドでも、思いのほか観客が集まっているのに驚く。平日の夜、しかも半分だけでこんなにいるとは予想してなかった。もちろん家族連れとかはいないものの、案外、若いカップルなんかは、いる。
しかし、正直、試合のテーマとしては、もはやレッズもフロンターレもJ1残留も決まっているし、得点王取りそうな選手もいないし、とにあえず「ハーフマッチ」でいいから試合を消化したい、といったことくらい。
先発メンバー発表も選手入場も、ほとんどいつもと同じペースで進行し、ちょっと違うのは、試合開始が「7時ジャスト」でいつもみたいに3分とか4分とかつかないくらい。
珍しや 7時ジャストの キックオフ
■試合後の大ブーイングの意味とは
オーロラビジョンを見たら、すでに「1-0」。開始して10分もしないうちにボコンとヘディングを決められて1-1の同点。まあ、それから交替ワクは45分の試合でもいつも通り5人みたいで、10分過ぎたくらいから目まぐるしくメンバーが変わる。
一生懸命やってる選手たちには申し訳ない。しかし正直言って、ろくに煮込んでもいない、ダシのあまりきいてないスープみたい。味を楽しむ時間もないまま、あわただしく試合は終わる。
優勝争いや残留争いなんかが絡んでくるなら別だが、ただ試合を消化するための「ハーフマッチ」はそれほどまた見たいと思わないな。試合終了後のサポーターのブーイングも、引き分けに持ち込まれただけでなく、試合自体が「薄味」だったことへの抗議かもしれない。
さすがに11月も下旬となれば、8時ころは冷えてくる。
塩味も 半分薄めの 秋の夜
動画:『雷雨と監督交代の夏』浦和レッズ川柳2024【7月、8月、9月編】
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。
代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、どん底地下芸人から中野区議会議員に転身している井関源二さんの単行本『井関が、中野区から日本を変える』と、元放浪少女で、群馬県・沼田の市会議員に転身している今成あつこさんの『日本の洗濯は沼田から!』をリリース。来年1月には、元GS(グループサウンズ)「オリーブ」のボーカル・マミーさんが著者の『GSラストサムライ』を発売予定。