評論家タイプの部下を撃退する!「それでそれで分析」
私は企業の現場に入り、目標予算を絶対達成させるコンサルタントです。「絶対達成」というわけですから、かなり大胆な組織改革をする場合も出てきます。その際に、困るのは評論家ぶった人の存在。新しいアイデアに対する評論・コメントは出すのに、代替案を示さない。「どうすれば変えられるか」「どうすれば達成するか」という前向きな思考がなく、とにかく批判だけする人がいます。経営幹部やベテラン社員が言うならともかく、まだ経験が浅い部下などに言われると腹立たしい気持ちになるものです。
「もう少し効率的なやり方だったらいいでしょうけど」
「そういう方法は、みんな苦手なんじゃないですかね」
「みんな納得しますかね。少なくとも私は腹落ちしませんが」
……などと、どこか「上から目線」的な部下のコメントは、上司にとってストレスそのものです。こういう部下に対して「なぜなぜ分析」をしてはいけません。「なぜなぜ分析」とは、「なぜ?」を5回以上繰り返すことで、問題の真因を探ることができる考え方です。
「なぜ、非効率的なやり方だと思うんだ?」
「なぜ、みんな苦手だと言うんだ。やってみないとわからないだろう」
このように問いただすと、部下は気分を悪くします。ひどい場合は逆ギレされて終わりです。
「なぜ、って……! そんなこと当然でしょう! ちょっと考えればわかるじゃないですか。やるまでありませんよ」
こんなことを部下に言われたら、上司はさらにキレそうです。「なぜなぜ分析」は、問題を深く掘り下げるときに役立ちますが、その気のない相手に「なぜ」を繰り返しても怒らせるだけです。ですから「なぜ?」ではなく、「それで?」を繰り返してみましょう。「それでそれで分析」です。
気分で仕事をしているホワイトカラーは、「それで?」を5回以上唱えるべきに書いたとおり、「それでそれで分析」は思考を前進させる働きがあります。
「もう少し効率的なやり方だったらいいでしょうけど」
「それで?」
「え?」
「だから、それで? 君はどうすればいいと思ってるの? 君の意見は?」
「そ、それで……。ですから、もう少し効率的なやり方であれば、みんな賛同すると思いますが、課長が言っているような方法だと、非効率的なので……」
「それで?」
「それで……ですね。もっと効率的なやり方を考えたほうがいいと思うんです」
「それで?」
「それで……その、私も、そのやり方を考えてみたいと思います」
「それで?」
「それで、ええと……。明日までには、そのやり方を考えてみたいと……」
「それで?」
「それで、明日の夕方に、もう一度、このような打合せの場を作ってもらえないでしょうか」
「わかった。そうしよう」
評論家やコメンテータータイプの人は、単純に相手が言っていることの感想を述べているだけで、すべて「他人事」だと受け止めているのです。ですからそれを「自分事」にさせるために、「それで、あなたはどういう意見なの?」「それであなただったらどうするの?」と問い掛けるのです。
もちろん、普段から「それで?」で部下に問い掛ける習慣が必要です。そうすることで部下に、「評論家的な態度で意見をすると、必ず課長は『それで?』と問い掛けてくるから気をつけないと」という思考を植え付けることができます。
思いつきのように「それで?」「それで?」「それで?」「それで、何だよ?」……みたいに突っかかっていくと、これまた部下を逆ギレさせるだけです。評論家タイプの人には「それでそれで分析」で対抗しましょう。