ハリケーン「デルタ」15年ぶりの勢力でメキシコ・カンクン上陸へ
白い砂浜と透き通る青い海を眼前に、豪華なホテルが立ち並ぶメキシコ・カンクン。ため息の出るような世界有数の高級ビーチには、毎年300万人もの観光客が訪れます。しかしそんな楽園に、いまハリケーン「デルタ」の危機が迫っています。
デルタの実況
日本時間7日(水)15時時点「デルタ」の中心は、カンクンの南東150キロにあります。
中心気圧は970hPa、最大風速は54m/sで、ハリケーンの勢力は上から3番目に強い「カテゴリー3」となっています。日本時間7日(水)夜にもカンクン周辺に上陸する見込みです。当局は、観光客や住民にホテルや海岸から避難するよう指示しています。
大荒れの予想
予想される最大雨量は、10月の月間降水量を優に超える300ミリに及びます。さらに最大瞬間風速は72m/sと、新幹線並みの速度となる恐れがあります。
そのうえ、高波や2メートル超の高潮が予想されています。プンタカンクンと呼ばれる地区は、海抜ゼロメートルの細長い砂州が20キロにわたって続いています。こうした地域に2メートルの水の壁が押し寄せるとなると、その被害は甚大なものになる恐れがあります。
またカンクンは、先週末にトロピカルストーム「ガンマ」の影響で洪水が発生したばかりです。度重なる嵐の直撃で二次災害も心配されます。
15年ぶりの最強ハリケーン
カンクンから80キロ圏内に地域に、カテゴリー3以上のハリケーンが上陸したのは、1910年以降ほかに2例しかないとのことです。
それは1988年の「ギルバート(Gilbert)」、2005年の「ウィルマ(Wilma)」です。特に「ウィルマ」は、西半球の24時間降水記録となる1,633ミリの大雨をもたらし、カンクンだけでも30万人が家を失ったと伝えられています。
デルタはアメリカへ
メキシコ直撃後、デルタはアメリカ南部のルイジアナ州周辺に上陸するもようです。アメリカは今年これまでに9つのハリケーンが上陸しており、デルタが上陸すると観測史上最多の10個目となります。
追記(10/8): デルタは日本時間7日20時頃メキシコのプエルトマデーロ周辺に上陸した。幸い上陸前に弱まり「カテゴリー2」での上陸であったこともあり、被害が少なく死者もけが人も報告されていない。