ノルウェー連続テロ犯、独房が処遇改善。職員と政治の話など交流時間が増加。だが本人は未だに不満足
77人の命を奪った連続テロ、アンネシュ・ブレイビク受刑者。4月、刑務所内での隔離収監を人権侵害と訴え、裁判所が認めたことは、国内外で大きな驚きをもって報道された。裁判所は、長期的な隔離、定期的な裸体検査、苦情申請の権利を制限したことなどが、第3条に違反していると判断。外部との通信を訴える第8条は退けられた。
法務・危機管理省、また受刑者側の両者は、裁判所の判決を不服とし控訴。2017年1月に新たな裁判が行われる予定。
12月19日報道のノルウェー国営放送局NRKによると、4月の判決以降、受刑者が滞在するシーエン刑務所では、独房での生活が改善された模様。ノルウェー政府は、環境改善と判決に関係性はないと否定している。
判決後、ブレイビク受刑者は職員と交流する時間が増加。対話する相手との間にあった「ガラスの壁」が撤去され、檻ごしで会話できるように。「ガラスの壁」超しでのマイクを使っての対話については、人との距離を感じさせ、厳しすぎるとして、政府は裁判所に批判されていた。
NRKの調べによると、職員との交流の時間は、檻越しで、テーブルゲームをしたり、政治・ニュース・勉強の様子・独房での状況について話したりする。手錠がされていない状態で、食事を作り、コーヒーを飲み、ゲームをすることも。
初回の裁判中は、ブレイビク受刑者の「快適な独房環境」が明らかとなり、人々を驚かせた。
受刑者は日差しが十分に当たる3つの独房を、日中は自由に行き来が可能。合計30平方メートルに及ぶそれらの個室は、生活をする個室、仕事などをする個室、トレーニングの個室で構成される。そこには、机、DVDプレーヤー、Xbox、電子筆記器具が揃う。トレーニング室には、ランニングマシンと、有酸素運動マシンであるクロストレーナーが設置されている。
ブレイビク受刑者の本来の目的は、独房での人権の訴えではなく、自身の思想を広めるための法の利用という批判もある。
受刑者の弁護士は、NRKに対し、「彼はもっと人間的なコンタクトを望んでいます。以前より交流の時間が増えたことはポジティブだと、ブレイビクは話しています」と回答。
しかし、隔離収監されていることには変わりなく、他の受刑者と接する時間がないとして、未だに人権侵害を主張。国側は、独房での環境が人権侵害であるという訴えを否定している。