ノルウェー連続テロ犯 刑務所内での隔離収監を人権侵害と訴え、裁判所が認める
ノルウェーで77人の命を奪った連続テロ、アンネシュ・ブレイビク受刑者。同受刑者は、刑務所で隔離収監されているとして、「非人間的だ」と国を訴える裁判を起こしていた。裁判は3月15日に始まり、国内のメディアは連日大きく報道。多くの命を奪われた労働党の代表たちは、嫌でも目に入ってくる報道が関係者を動揺させるとして、「互いを思いやりましょう」とコメントを出していた。4月20日、オスロ裁判所は主張を認める判断を下した。
「驚きだ」
人権問題におけるエキスバートが国営放送局にコメントした一言が、同局の電子版のトップを飾った。同受刑者が主張していたのは、欧州人権条約の第三条と第八条だ。
裁判所は、長期的な隔離、定期的な裸体検査、苦情申請の権利を制限したことなどが、第3条に違反していると判断。第8条は退けられた。NTB通信局によると、国は33万938ノルウェークローネ(約446万円)の訴訟費用を負担する。
裁判所が独立した機関であることの証明ともなったが、現地報道では驚きをもって伝えられている。「7・22のサポートグループ」代表は、国営放送局に対し、「驚いたが、第八条についての通信の訴えが退けられてよかった。極右などに彼のメッセージが伝わるようなことだけは避けたい」とコメント。
「あのブレイビク」だとしても、他の犯罪者と同様に扱われるべきだという、平等国ノルウェーの考え方
アンネシュ・アーヌンセン法務・危機管理大臣は、国営放送局に対し、人々の動揺は「理解できる」としながら、「我々の法のシステム下で、通常通りに案件が処理されることが重要」とした。
生存者と遺族の憤りはどこへ?
ウトヤ島では、銃乱射事件により69人の命が奪われた。その多くは労働党青年部の若者たちだ。当時の青年部代表ペーデルセン氏は、現在は地方議員としてオスロ市議会に座っている。今回の判決を受けて、国営放送局に「動揺している」と話し、「今日、多くの生存者や遺族が怒り、動揺したことを私は知っています。私たちには怒りを覚える権利があるということを、全ての人に伝えたい」。「彼は公的な勝利を勝ち得てしまった」とした。
Photo&Text: Asaki Abumi