ラポール形成の手段として漫画はとても有用です。
マンガHONZという漫画のレビューサイトで執筆させていただく機会をいただいております。本日もレビューをあげていただきました。
技術や根性、超人的なプレーよりも、技術や戦略、戦術を学べる、サッカーがもっと面白くなる漫画『BE BLUES!~青になれ~』(田中モトユキ)
小さい頃からとても漫画が好きで、記憶に残っている範囲では「コロコロコミック」や「コミックボンボン」を楽しみにしては、ジャンプやマガジンを読んでました(雑誌は「ファミ通」)。
学年があがって雑誌や書籍を読むようになっても、漫画を読む頻度は落ちず、米国留学中でもやけに高いマガジンを毎週楽しみにしていました。帰国の際には自宅の漫画を運ぶ始末。
とは言え、何か目的があって漫画を読み続けているのではなく、ただ好きだから読み続けています。いまの仕事をするようになってから、個人的趣味が暮らしや生活にとても活かされるようになってきた感じがします。
小さい頃から大人が読む漫画が読める環境だったため、年配の方が読む漫画で共通点を見つけることもできますし、自宅に「りぼん」や「マーガレット」などがあったため、読む漫画は少な目でしたが、少女漫画が共通の話題となることもあります。(「ご近所物語」が好きでした)
同世代はもちろんのこと、年下の学生でも漫画を読んでいるときには、コミュニケーションのきっかけになっています。最近では漫画やアニメが海外でも広く読まれているため、他国に行く機会があると、英語が不十分でも漫画の接点があれば結構仲良くなれます。
書籍や雑誌でも情報はたくさんインプットできますが、私の場合は「絵」と「ストーリー」のある漫画の方が記憶に残りやすいみたいです。企業社会、法律関係、職業理解、スポーツの世界、日常生活からは見えづらいけれども同じ時代で起こっている事件や事故(と背景)、そして最近では社会課題まで。
【ドリコムアイ.net】漫画からの学び~社会課題の現場を知れる~
本当の専門的な知識ではないかもしれませんし、あくまでも漫画のストーリーとして誇張した部分はあるかもしれませんが、浅はかながらも知識がないのとあるのでは、さまざまな場面でのコミュニケーションに違いがでます。
しかも、専門家の方は、自身の専門性に依拠する情報として漫画も読まれていたりします。そのような場合には、その漫画のストーリーや場面で例え話をしてくれたりするので、とても理解が進みます。
そういう意味で、話のきっかけになったり、共通点の発掘になったりと、何かと助けられている漫画ですが、大きく言えば、私にとっての漫画は他者とのラポール形成の手段でもあるようです。
「若者支援」や「対人援助」に関わる支援者の方々のために講演をさせていただくことがとても多い時期がありました。具体的な事例や手法、数値やデータなどに加えて、よりよい支援者になるために何を学ぶべきか、というご質問が少なからずありました。
求められているのは、有用な理論とか、役に立つ資格などだとはわかっていましたが、私は「漫画を読んでください」と言いながら、特に若者に関わる支援をされている、されようとしている方に、そのときのテーマや内容に近い漫画をいくつかピックアップしました。
挙げた漫画よりも、「漫画を読むこと」を回答にしただけで、あまりよい顔をされない方もたくさんいました。ディスカッションのなかで「若者に寄り添う」「若者の目線に立つ」「ラポールを形成する」などがあっても、なかなか”若者が読みそうとそこでは思われていただろう漫画というコンテンツ”は、それに資するものとして受け入れられませんでした。
それでも、本当にわずかですが、何十年ぶりに漫画を読んだり、試しに読んで見られた方から感想をいただくことも僅かながらありました。感想としてはポジティブなものも、ネガティブなものもありましたが、支援者としてのスキル形成につながることを期待して読んでくださいました。
特に信頼関係形成やコミュニケーションを深めるきっかけとして漫画でなければいけないわけではありません。私の知る限りでは、「音楽/楽器」や「スポーツ」、「釣り」「旅行」など、世代に関わらず、世代を越えているテーマを、個人的趣味かもしれませんが、引き出しに多く持っていられる支援者の方は、さまざまな個性の違いを持つ若者たちと、うまくラポール形成しているように思います。