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日本代表が初のワールドカップ8強入り。会見詳報。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
リーチと抱き合うジョセフ(写真:アフロ)

 10月13日、神奈川・横浜国際総合競技場。ラグビーワールドカップ日本大会の予選プールA最終戦があり、日本代表がスコットランド代表を28―21で制して4連勝。初の決勝トーナメント進出を果たした。

 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチとリーチ マイケル主将が会見した。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

ジョセフ

「(会見場の拍手へ)ありがとうございます。試合のことを言う前に…。今回、日本が台風(19号)で甚大な被害にあいました。朝起きた時、多くの方がお亡くなりになられ、行方不明者もいると聞きました。私たちはそのことについてチームとして話しました。甚大な被害があったと思いますが、タフな時間帯にはそのことを思いました。今日は勝ちに喜びましたが、多くの方のおかげでこの試合ができました。スコットランド代表は真っ向勝負をしてきました。フィジカルで戦ってきて、拮抗する場面がありました。ただ私たちは最後まで諦めないで、正念場を乗り越えた。こういう状態で、ワールドカップで色々な人のサポートを感じながらやれたのは素晴らしいことでした」

――攻撃が見事だった。ゲームプランは。

ジョセフ

「アタックという言葉はしばしばボールを持っている時のことが考えられがちですが、ディフェンスもアタックのひとつと思っています。きょう、トライがどこから生まれたか。ディフェンスの圧力からチャンスができ、トライが生まれた(後半2分の1本)。私たちの戦術はボールキープ、スピードのコントロール、十分なテリトリーを取ること、裏をかくこと、相手にプレッシャー、トラブルを与えることです。スコットランド代表も最初のトライで私たちに問題を与えてきた。しかし選手たちは、自分たちのプレーを信じ、諦めず、プランを守り切ることができた。選手を褒めるべきです。負けたくない試合で、私たちが乗り切れたのはヘルプしてくれた皆のおかげです」

――アジア初の決勝トーナメント進出。2016年からスーパーラグビーに参加するサンウルブズの意義は。

ジョセフ

「この3年間、色々なことがありました。選手たちは、スーパーラグビーで世界大会に出るアスリートと戦うチャンスがもらえた。最初は苦戦を強いられましたが、ワールドカップでの期待には応えられた。負けていたことはサンウルブズとして大変でした。今年はコントロールをしながら、私たちの有益な状況を作るべくスーパーラグビーを使うことができた(主要な代表候補は別動隊で鍛錬)」

――この先は。

リーチ

「決勝トーナメント進出は、日本ラグビーにとって、ティア2ラグビー(2番手集団)にとっても素晴らしいことです。来週からまた準備を進めていきます。今回の勝因は準備。毎回同じメッセージを発し、やりきるということ。来週も勝つ気で行きます。勝つ気で準備していきます」

――新しい歴史、なぜ作れたか。

リーチ

「一番の理由は(やることを)信じたこと。対戦する相手のレベルが上がったこと、スーパーラグビーの影響がすごく大きいし、コーチングもどんどんよくなってきています。今回ジェイミーの下でやってきて、日本ラグビーが勝ったのはジェイミーとコーチ陣の指導のおかげだと思います」

ジョセフ

「チームは一夜にできるわけではない。タフな試合を潜り抜けてきました。個人的に難しかったことは、持っている時間枠でどうチームを作るかと言うことです。ただそれをした時、どう進めるかがある程度分かってきた。コーチ陣には疑いがありません。トニー・ブラウンアタックコーチ、長谷川慎スクラムコーチは素晴らしいです。長谷川コーチはなかなか日の目を浴びないが、セットピースでは拮抗できるように持ってこられました。他にも色々なコーチがいます。お互いが褒めあえるようになっていた。選手には自分自身で責任を持てるよう促しました。堀江も私も、信念を感じられた。痛みのある年もあった。痛みを感じたからこそ、いまがある」

――日本代表の課題にメンタリティを挙げていたが。

ジョセフ

「日本のメンタリティは変わった。私のメンタリティの定義は、いつも何をするか、です。ラグビーをするには、いい人格者であることが重要だと思っています。私たちはそのような心を持ってやってきた。メンタリティは変わりました。それによって自分たちのベストを引き出せる。私がやっていることは、選手にそれを言い続けること」

――国全体が応援していることについて。

ジョセフ

「ホテル、東京駅で100人、1000人が拍手をして肩を叩いてくれるというのはいままでとは違う状況。私は小さな町出身とあって、それをノイズと呼んでいました。私たちはしなければいけないことに集中しようという意味で(周囲の声を)ノイズと言いました。準備をする時それ(応援)はあまり助けにならないと言いました。でも大事にしようと負いました。国全体に応援してもらえるのはよいことです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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