米宝くじ史上3番目の7億ドル超を手にした24歳に「ついに若者が...」の声
20代の働き盛り。「この先約35〜40年、気が遠くなるような年月だけど、しっかり働いていかねば」と腹を括った矢先、手元に突然800億円もの大金が降って湧いたら、あなたならどうするだろうか?
アメリカの数字選択式宝くじ「パワーボール」の抽選会が先月27日に行われた。今回の大当たりくじ(ジャックポット)は米国史上3番目の高額の7億6,800万ドル(日本円で約858億9,000万円相当)に膨らみ、その巨額の行方が話題になっていた。ジャックポットはウィスコンシン州で販売されていたことまではわかっていたが、4月23日ついにそのベールがはがされた。
7億ドル超えの巨額を手にしたのは、同州に住むマニュエル・フランコ(Manuel Franco)さん(24歳)。マニュエルさんは弁護士とともに、この日記者会見を開き、「(購入した日は)運が降ってきたような何だか不思議な気持ちがして、午後2時に仕事が終わって、ガールフレンドとスピードウェイ(ガソリンスタンド)にパワーボールを買いに行った」そうだ。
「ジャックポットが出たくじがウィスコンシン州で販売されたと聞き『自分もウィスコンシン州に住んでいるぞ』と思っていた。購入した何枚かのくじをチェックしたところ、まず4ドル当たったので驚いたんだ。だって普段はその金額でさえ当たらないから。そうしたら最後のくじの番号が全部(16、20、37、44、62とパワーボールの12と)マッチして...」と、時折事前に用意したシナリオをチェックしながら、興奮冷めやらぬ様子で語った。
超高額当選者、マニュエル・フランコさんの喜びの会見。
最初は緊張していたマニュエルさんに、「微笑んでいただけますか!?」と記者からのジョークで和む様子も。
同席した弁護士の判断で、マニュエルさんの住まい、両親以外の家族構成、職業、学歴は一切明かされなかったが、同州は一般的にミドルクラス層が多く、彼自身の財政状況もこれまで思わしくなかったようで、「銀行口座に1,000ドル(約10万円)でさえ貯まっていない状態だった」そうだ。
くじは1枚2ドルで販売され、マニュエルさんは10ドル分(約1,000円)を購入し、それを元手に巨額を手にした。税金などを引かれ、最終的に手元に残るのはそれでも3億2,600万ドル(日本円で約364億5,700万円相当)とみられている。
このパワーボールの賞金は4ドルからで、7ドル、100ドル、5万ドル、100万ドル...と増えていき、ジャックポットは4,000万ドルからスタートする。ジャックポットが出ない場合は次回以降に繰り越しとなる。Wikipediaによると、ジャックポットの当選確率は、なんと2億9,220万1,338分の1なんだとか。
今回は、史上3番目に高い当選額にも注目が集まったが、それ以上に、お金持ちではないごく普通の24歳の若者が一夜にして億万長者になったウィナーストーリーに感嘆の声が沸き起こっている。
パワーボールとはアメリカで一般的に、安定した老後のための一攫千金的なイメージがあるし、これまで公表されてきた高額当選者たちも、軒並み年齢は高め。マニュエルさんのようなミレニアル世代の当選者は、かなりレアなケースだ。
このニュースを聞いた人々の反応はさまざま。
「年寄りでもお金持ちでもない普通の若者がやっと選ばれた」(「年寄りの当選者を非難しているのではなく、若者が出てきたことでイメージが一新した気がする」と同じ人がフォロー)
「(ついに)ヒスパニック系が出てきた」と、同じ人種からの喜びの声もある(記者会見の途中では、スペイン語でのコメントも求められていた)
また、その若さゆえに今後の人生の行方を懸念する声も上がっている。「彼の人生が狂ってしまいませんように」「高額当選者が一般的に陥るようなことになりませんように」
「あぶく銭はその使い道に要注意」
「遠い親戚がうじゃうじゃ出てきそう」「私も彼のいとこではなかったっけ!?」
「彼は24に見えないね。数週間したらもっと老けるかもしれない」
マニュエルさんは当選がわかった2日後には、すでに仕事を退職。「もう職場には戻らない」と、20代前半にして悠々自適なリタイア宣言をした。これからの人生については「とりあえずどこかを旅して休暇をとる」以外はまだ何も決めていないようだが、「悪い選択をしないように。できるだけ『普通の生活』を保ちながら、お金を使って人を助けることはしていきたい」と抱負を語った。
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