Yahoo!ニュース

伊藤匠五段(19)竜王戦6組ベスト4進出! 今年度勝率は藤井聡太竜王(19)を抜き現時点トップ!

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月24日。大阪・関西将棋会館において第35期竜王ランキング戦6組準々決勝▲伊藤匠五段(19歳)-△今泉健司五段(48歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は21時32分に終局。結果は135手で伊藤五段の勝ちとなりました。

 伊藤五段はこれで6組ベスト4に進出。5組昇級まであと1勝、本戦出場まであと2勝としました。

 藤井聡太竜王(19歳)の将来のライバル候補と目される伊藤五段。このまま勝ち進めば、最後は藤井竜王への挑戦権を獲得できます。

 伊藤五段の今年度勝率は0.815(44勝10敗)となりました。

 現時点では藤井聡太竜王の勝率0.813(52勝12敗)を抜いて、全棋士中トップに立っています。

 伊藤五段は3月30日、王位戦リーグ紅組で西尾明七段と対戦します。

 伊藤五段は藤井竜王の5年連続勝率1位を阻止するのでしょうか。

伊藤五段、相穴熊の難解な終盤制す

 今泉五段は現代将棋史上最年長、41歳で四段になりました。五段昇段は46歳のときです。

 一方現在19歳で、現役最年少の伊藤五段。今年度はC級2組で1期通過を決め、早くも五段に昇段しました。

 対照的な経歴の両者は今年度、銀河戦で対戦しています。

 棋譜は公式ページをご覧ください。結果は大熱戦の末、110手で今泉五段が勝っています。

 本局は東京在住の伊藤五段が移動して、今泉五段のホーム、大阪での対局となりました。

 振り飛車党の今泉五段、本局は三間飛車で臨みました。両者互いに穴熊に囲い合う、相穴熊の戦型です。今泉五段が積極的に動いて難しい進行となり、夜戦に入りました。

 今泉五段は駒損ながら猛攻を浴びせ、伊藤陣の穴熊を解体し、相手玉が見える形にします。伊藤五段は、あと1枚でも相手に駒を渡せば自玉が詰んでしまうというきわどい状況から、ギリギリでしのぎ続けます。今泉五段も必死に食いつき、勝敗不明の最終盤となりました。

 寄せの速度計算の教材となりそうな局面から、伊藤五段は一手勝ちへの道を歩み続けます。最後は穴熊に収まったままの今泉玉が受けなしに。今泉五段が投了して、熱戦に終止符が打たれました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事