なぜバルサは“夏の補強”をストップしないのか?B・シウバ、デ・ヨング…必要な新戦力と選手売却の噂。
新たなシーズンが、幕を開けた。
リーガエスパニョーラ開幕節、バルセロナはラージョ・バジェカーノと対戦した。本拠地カンプ・ノウでの一戦は、スコアレスドローに終わった。
この試合前、フォーカスされていたのがバルセロナの“選手登録問題”だ。結果から言えば、ジュール・クンデを除き、ロベルト・レヴァンドフスキ、アンドレアス・クリステンセン、フランク・ケシエ、ラフィーニャ、セルジ・ロベルト、ウスマン・デンベレ、新戦力と契約延長を行った全選手がピッチに立った。
■バルセロナの補強プラン
だがバルセロナは止まらない。
彼らに補強をストップするつもりはなさそうだ。ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)、マルコス・アロンソ(チェルシー)らが補強候補に挙げられている。M・アロンソに関しては、すでにトーマス・トゥヘル監督が移籍を認めており、ディテールを詰める段階に入っている。
B・シウバについては、交渉は簡単には行かないだろう。B・シウバは2025年夏までシティとの契約を残している。シティ側は移籍金1億ユーロ(約140億円)を要求するとみられ、それはつまりバルセロナ側に大金が必要になることを意味する。
一方、B・シウバ自身には移籍の意思が感じられる。先のボーンマス戦(4−0)後、スタンドに挨拶をして、サポーターにユニフォームをプレゼントした。その後、ソーシャルメディアを通じて「素晴らしい雰囲気の中で、チームの偉大なパフォーマンス! スタジアムに来てくれた人たちと、僕への声援に感謝したい」とメッセージを送っている。
シティは今夏、アーリング・ハーランドを獲得した。契約解除金6000万ユーロ(約84億円)をボルシア・ドルトムントに支払い、大型ストライカーを引き入れた。
ハーランドの加入で、シティは「ゼロトップ」の戦術をやめることになった。昨季までの戦い方とは異なり、実質上、ポジションの枠が1つ減った。これはB・シウバにも影響している。
■中盤の選手の特徴
他方で、バルセロナはチームビルディングに苦労している。
中盤では、ペドリ・ゴンサレスが絶対的な存在だ。しかし、近年、急成長を遂げたペドリは、スペイン代表の招集を含めトップレベルでの試合出場数が格段に増えてきている。それは負傷につながり、昨季は公式戦30試合を欠場した。
インサイドハーフでペドリの“相棒”になるのはガビだ。そして、フレンキー・デ・ヨング、フランク・ケシエが控える。
シャビ・エルナンデス監督は、技術に優れ、プレービジョンを備えた選手を求めている。現役時代に、彼とアンドレス・イニエスタが中盤に君臨したように、だ。
また、B・シウバは左利きである。さらに、ウィングやゼロトップでもプレーできるポリバレントさを有している。そういった特徴が、指揮官の関心を強める要因となっている。
ただ、「第四のレバー」を動かして選手登録を可能にしたバルセロナだが、B・シウバを獲得するための資金があるかは定かではない。
「私には理解できない。理由はいくつかある。もし『あなたにはお金がない』と言われたら、私は消費をしない。私には、人生で二度、そういう経験がある。クレジットカードで支払いができなかったんだ。数年前の出来事だけれどね。一人のフットボールファンとして、そういうのは理解できない」
「スタジアムを売却したり、権利を前倒しで売ったりしたクラブで、私が唯一知っているのはドルトムントだけだ。ドルトムントでは、最後にアキ・ヴァツケ(CEO)が到着して、クラブが救われた。バルセロナにヴァツケのような人がいるのかは、私にはわからない」
これはリヴァプールを率いるユルゲン・クロップ監督の言葉だ。
そこで、現実的に可能性として考えられるのは選手の放出と売却だ。
デ・ヨング、ピエール・エメリク・オーバメヤン、マルティン・ブライスワイト、セルジーニョ・デスト、メンフィス・デパイらに移籍の噂がある。マンチェスター・ユナイテッドやチェルシーがデ・ヨングに、ユヴェントスがメンフィスに、チェルシーがオーバメヤンに関心を寄せているように、ビッグクラブが触手を動かそうとしている。
最も高額な移籍金が発生しそうなのはデ・ヨングである。ただ、デ・ヨングには、減俸の上での残留あるいは移籍という二択が迫られており、非常なデリケートな状況だ。移籍になるとしても、選手をどのように扱うかをクラブはもっと考えるべきだろう。
なおシャビ監督は右サイドバックに関しても「補強が必要だ」と語っており、その扉も閉ざされていない。夏の移籍市場は8月31日まで開いている。残された時間、何が起こるかは予想できない。