主な新興国/米国経済ニュース(18日)
米21世紀フォックス、米タイム・ワーナーに8兆円買収提案示す
米メディア・娯楽大手21世紀フォックス<FOXA>は16日、米同業大手タイム・ワーナー<TWX>に対し、総額800億ドル(約8.1兆円)の買収提案を行ったことを明らかにした。買収提示は6月に行われたが、タイム・ワーナーも同日、フォックスによる買収提案を先週、拒否したことを明らかにした。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチなどが伝えた。
800億ドルの買収額はタイム・ワーナーの1株当たり85ドルに相当し、20%のプレミアム(上乗せ額)となっている。買収方法については、タイム・ワーナーによると、株式交換と現金の組み合わせとなっており、株式交換はタイム・ワーナー1株をフォックスの1.531株(議決権なし)と交換し、現金支払いはタイム・ワーナー1株を32.42ドルで買い取るとしている。
関係筋によると、タイム・ワーナーは今後も単独で事業を継続する方針。一方、フォックスを率いるルパート・マードック氏はタイム・ワーナーの買収は断念せず、買収額を引き上げていくと見られている。ただ、現時点では、両社の協議は行われていない。
このニュースを受けて、タイム・ワーナーの株価は16日、17.07%高の83.13ドル、他方、フォックスの株価は6.22%安の33ドルで引けている。
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米インテル、2014年4-6月期の利益と売上高はともに予想上回る
米半導体最大手インテル<INTC>が15日に発表した2014年4-6月期(第2四半期)決算は、純利益が前年比40%増の28億ドル(約2840億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同41%増の55セントとなり、アナリスト予想の52セントを上回った。また、売上高は同8%増の138億ドル(約1.4兆円)となり、アナリスト予想の127億ドル(約1.3兆円)を上回った。
また、同社は今期(7-9月)の業績見通しについては、売上高は139億-149億ドル(約1.41兆-1.5兆円)になると予想し、アナリストは140億2000万ドル(約1.42兆円)を上回った。
この四半期決算の結果や先行きの堅調な見通しを受けて、同社の株価は16日、9.27%高の34.65ドルで引けている。
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米イーベイ、2014年4-6月期利益は予想上回る―ハッキング攻撃後でも
米ネット競売大手イーベイ<EBAY>が16日に発表した2014年4-6月期(第2四半期)決算は、純利益が前年比6%増の6億7600万ドル(約690億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同8%増の52セントとなった。また、一時的な項目を除いた調整後1株当たり利益は同10%増の69セントとなり、アナリスト予想の68セントを上回った。
一方、売上高は、5月にイーベイの顧客情報が保存されていたサーバーが外部からハッキング攻撃を受けたセキュリティの問題や米インターネット検索大手グーグル<GOOG>の検索アルゴリズムの変更によるイーベイの検索トラフィック(通信量)の大幅減少の悪影響を受けたものの、同13%増の44億ドル(約4500億円)となり、アナリスト予想と一致した。ジョン・ドナヒューCEO(最高経営責任者)は、傘下の世界オンライン決済サービス最大手ペイパルの堅調な売り上げに支えられたとしている。
今期(7-9月)の業績見通しについては、同社は、調整後1株当たり利益は65-67セント、また、売上高は43億-44億ドル(約4400億-4500億円)と予想している。
イーベイの株価は16日、0.23%安の50.7ドルで引けたあと、時間外取引で、米東部時間午後7時59分時点で、1.46%高の51.44ドルと、上昇に転じている。
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米財務省、ロシア石油最大手ロスネフチなど対ロシア追加制裁導入へ
米財務省は16日、ウクライナ東部での政府軍と親ロシア武装グループとの戦闘が終結に向かっていないことを理由に、新たな対ロシア制裁措置の導入を決めた。
今度の対ロシア追加制裁措置には、ロシア開発対外経済銀行(VEB)や国営天然ガス大手ガスプロムの銀行部門であるガスプロムバンクの2金融機関に加え、国営石油・天然ガス開発大手ロスネフチとロシア2位の天然ガス生産大手ノバテクといったエネルギー大手2社も新たに制裁リストに加えられ、これらの企業は今後、米国金融市場での長期資金の調達が禁止されることになった。
米国のデービッド・コーエン財務次官(テロ・金融担当)は、「ロシアは表向きの発言とは違って、ウクライアの分離独立を求める反政府グループを支援し、政情を不安定にし続けている」とした上で、「ロシアのエネルギーと金融の両セクターに対する制裁措値を新たに導入し、米国での資金調達を制限するとともに、米国の銀行にあるロシア政府の上級幹部と軍事産業8社の資産を凍結する」としている。
この軍需企業8社には、軍用ライフル大手カラシニコフや地対空ミサイルシステム大手アルマズ・アンテイ、国営持ち株会社ロシア・テクノロジーズ(ロステック)傘下の電子兵器大手ラヂオエレクトロニック・テクノロジーズ、国営の戦車製造大手ウラルヴァゴンザヴォート(ウラル車両工場)などが含まれ、また、財務省は米国企業に対してこれら8社との接触も禁じる。
他方、EU(欧州連合)も16日の首脳会議で、欧州復興開発銀行(EBRD)と欧州投資銀行(EIB)はロシアを対象としたインフラ整備など各種の新規プロジェクトへの金融支援を禁じることを決めている。
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国際協力銀行の渡辺総裁、ベトナム大統領にODA継続の意向を表明
ベトナムを訪問した国際協力銀行(JBIC)の渡辺博史総裁は15日、首都ハノイで、チュオン・タン・サン大統領と会談し、ハノイの鉄道建設プロジェクトをめぐる日本のODA(政府開発援助)贈収賄疑惑に関し、日本政府の疑惑調査に対するベトナム側の協力姿勢を高く評価した上で、日本政府としては引き続きベトナムへのODAを継続する意向を示した。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が16日に伝えた。
この疑惑は、日本の鉄道コンサルタント会社、日本交通技術(JTC)がODAの対象となっているハノイの都市鉄道1号線建設プロジェクトの受注で有利な条件を図ってもらう見返りに、ベトナム鉄道公社を含む運輸当局の複数の公務員に8000万円の賄賂を贈ったとされるので、事情聴取を受けた10人の公務員の中には、レ・マイン・フン元運輸相やグエン・ドゥック・タン道路局長も含まれていた。ベトナムと日本の両国政府はこれまで今回の贈収賄疑惑について議論を重ねる一方で、ODA絡みの交通関連建設プロジェクトでの贈収賄防止についても話し合ってきている。
渡辺総裁は、日本政府がベトナムの大規模プロジェクトへの資金支援を重視している考えを伝えた上で、ビンズオンン省の火力発電所建設計画を支援するため、ベトナム政府への信用供与で合意を目指していることを明らかにした。(了)