【富田林市】開業初年度で金賞3つはすごい!1周年の万里春ビールが世界的格式のビールコンテストで
現在、南河内地域の日本酒の酒蔵は天野酒さんだけとなっていますが、クラフトビールについては複数の名前を聞くようになりました。例えば河内長野の道の駅くろまろの郷で販売している「A-YANビール」、それから酒蔵にしおかさんが主にイベントで提供している藤井寺・道明寺の「美陵ビール」です。
つい最近ですが、美陵ビールと南天苑とのコラボで、あの楠木正成のビールまで登場しました。南天苑の山崎社長の話では、今回はラベルだけですが、ゆくゆくは奥河内のヒノキの香りをつけたビール醸造も面白いと考えているそうです。さらに千早赤阪村の金剛山ビールもあり、ますます南河内地域のクラフトビールが盛り上がりそうです。
それらよりいちばん新しいクラフトビールが、富田林寺内町で醸造している「万里春(バンリノハル)」です。かつて黄金の水が湧き出たといわれていた富田林寺内町。数多くあったとされる日本酒蔵は今はありません。しかし、昭和50年代まで日本酒を醸造していた万里春は、クラフトビール醸造所兼レストランとして寺内町に昨年復活しました。
その場で飲めるとこもあり、味もとてもおいしい万里春ビール。最近はイベントに出店していることも多く、いろんなイベント会場でビールが飲めるようになりました。先日も南海金剛駅近くの久野喜台1号公園で行なわれたイベントOpen Street+に万里春ビールが出店していました。
このイベントに出かけたときに万里春さんのエールビールをいただいた帰りのこと。万里春さんのブースでこちらのPOPを見ました。これはこの時は頂かなかった知覧茶ゴールデンエールの看板ですが、そこに金メダルのようなマークと「IBC2024金賞受賞」と書いてあります。いったいどういうことでしょうか?
IBC2024(インターナショナルビアカップ2024)とは日本のクラフトビール界の中では、規模も大きく歴史のある日本地ビール協会(外部リンク)が行っているビールのコンテストです。1996年から毎年開催されており、世界で3番目に古く、毎年開催となれば世界で最も古い歴史を持つ格式あるビールコンテストです。そして日本のクラフトビールに加えて、世界中のビールが出品可能とのこと。
日本酒でも金賞受賞酒などがありますが、クラフトビールでも同様にコンテストがあり、優秀なビールに金、銀、銅といった認定制度があります。
クラフトビールには数多くの「ビアスタイル」と呼ばれるものがあり、これはどのような風味(フレーバー)や味なのかといった項目が、あらかじめ定義されています。そしてその定義されたビアスタイルに出品されたビールが、その定義に近いかどうかが審査のポイントです。
万里春さんといえば、昨年クラフトビールの醸造を開始したばかりですが、初年度でいきなり金賞を受賞したというので、とても驚いた私は万里春さんに取材を申し込みました。ちなみに、今年の受賞ビールの一覧が公開されている(外部リンク)をご覧いただければわかりますが、すべてのスタイル部門に金賞が受賞されるとは限りません。それだけ金賞をとるのは難しいということです。
万里春ビールの醸造責任者の南さんにインタビューをしました。そして驚いたことに知覧茶ゴールデンエールだけが金賞を受賞したのではなく、複数のビールが受賞したというのです。
1.知覧茶ゴールデンエール(日本緑茶部門:金賞)
知覧茶とは鹿児島県南九州市で生産されるブランド緑茶です。知覧茶の紹介ページ(外部リンク)によると、茶摘み後の蒸し工程において、一般的な煎茶の蒸し時間の倍の時間をかけるのが特徴で、長く蒸すことにより渋みが抑えられ、まろやかなコクが出るとのこと。さらに葉が細かくなるため、抽出すると濃い緑色になり、水出しで淹れるお茶にも適しているそうです。南さんによると、お茶のインパクトを強くするために、軽めのエールビールをベースにしたとのこと。
2.ライヴァイツェン(ライビール部門:金賞)
ライビールとは、ライ麦を30%以上使用して作られるビールのことです。ベースとなる大麦モルトに加えています。ヴァイツェンはドイツの伝統ビールで小麦を50%以上いれるフルーティーなビールを指すことから、ライヴァイツェンは通常使う大麦に加えてライ麦と小麦が多く入っています。南さんが初めて挑戦したドイツのクラシックビールとのことです。
3.スモークアンバーエール(スモークビール部門:金賞)
スモークビールとは麦芽を煙で燻して使うビールで、完成したビールにもスモークの香りが付きます。スモークつながりで燻製料理との相性が良いとされます。南さんの話では、スモークのフレーバーが強くなりすぎないことを意識したとのこと。
4.セゾン(クラシックセゾン部門:銀賞)
セゾンビールとは個性豊かなビールがあるベルギービールの一種です。本来はベルギーの南部、ワロン地域で醸造されていたビールで、地域の農家が畑仕事をしている際、夏の水分補給を目的として冬に醸造されるとても飲みやすいビールです。そういえば富田林も農業が盛んな自治体なので、農家さんに飲んでいただきたいビールでもありますね。
万里春さんはこれだけではありません。インターナショナルビアカップカテゴリーチャンピオン(外部リンク)にも万里春さんは選出されました。これは様々なビアスタイルを大きなカテゴリーに分類し、カテゴリーの中でもっともよかったビールに贈られる称号とのこと。つまり「スタイル」という区分の上位に位置する「カテゴリー」という大区分の中でトップの成績に選ばれたビールということです。
金賞を受賞した知覧茶ゴールデンエールが「J.Japan Origin」、スモークアンバーエールは「K.Other Specialties」というカテゴリーでチャンピオンになったとのこと。これは本当にすごいことのようで、「よなよなエール」という日本のクラフトビール業界でトップクラスにいるヤッホーブルーイングさんでもチャンピオンに選ばれたことをとても喜ぶほど栄誉ある賞(外部リンク)なのです。
このように輝かしい結果を収めた万里春の南さん。ここで醸造始めて1年も経過していない段階で得たもののというのですから、とにかく驚きです。とはいえ全てのビールで受賞したわけではありません。
- ヘイジーIPA
- アメリカンアンバー
上のビールについては残念ながら受賞を逃しました。「正直悔しかった」と、南さんは本音を漏らし、同じものか別のものにするかわからないけど、またチャレンジしたいと語っていました。
実は、南さんが万里春の前に働いていた上方ビールの時代に出品したビールの最高は銀賞止まりだったので、今回金賞を取れたことがとても嬉しかったそうです。
南さんは「ビアスタイルより、お客さんへの飲みやすさ」と重視しているとのこと。確かに醸造する人や審査員にとってビアスタイルに忠実なのは大事なことですが、それがお店で美味しいクラフトビールを求めてくるお客さんと必ずしも一致するとは限りません。
南さんの言うように、飲みやすい美味しいビールがとにかく重要ですね。今回出品したビールは、飲みやすいビールの中でもスタイルに合致しているものをセレクトしたそうです。いずれにしても複数の金賞受賞やカテゴリーチャンピオンをとったのですから、万里春さんは非常に実力の高いビール醸造所あることは間違いないでしょう。
またもうひとつ言えることは、黄金の水と言われ、多くの酒造りに利用された寺内町の地下水を使って醸されるクラフトビールであるということ。ビールづくりにとって重要な要素である「水」の良さも影響している気がします。そういえば南河内地域には清流の代名詞「四万十川」クラスと同等水質の石見川もありますね。南河内の自然豊かな場所だからこそできた素晴らしいビールなのかなと思いました。
「もしよろしければ味見でも」南さんのご厚意に甘えて、知覧茶ゴールデンエールの試飲をさせていただきました。鼻に入るアロマにうっすら感じていたお茶の香り、口に含んで飲むと、本物のお茶以上にお茶のフレーバーが口の中に広がりました。冷たさと炭酸が影響して温めて飲むお茶と比べて口の中で茶葉のフレーバーが増幅しているのかなとさえ思いました。
南さんは「富田林のものを使ったビールをつくってみたい」と言います。私に相談してきたので、私は以前紹介したことのある龍泉ファームのバナナを使ってみたらどうかと提案しました。南さんは「バナナ、最近その話をよく聞くんです」と言いました。龍泉のバナナかどうかはわかりませんが、近い将来万里春ビールにバナナビールが新たに誕生するかもしれません。
さて、金賞受賞ビールがこれから店でも飲めるか否かうかがったところ、知覧茶ゴールデンエールはまもなくなくなるかも知れないとのこと。南さんによると次は番茶で作ってみたいとのことでした。対照的にライヴァイツェンは取材した10月下旬の時点ではまだ提供しておらず、500Lのビールがそのままあるそうなので、これから美味しくいただけそうです。
南さんは、万里春にゲストハウス構想があることを告げました。当初は醸造所とレストランのある建物の上の階に残っている、かつて酒蔵で働いていて従業員の宿泊スペースをゲストハウスに考えていたそうです。
となればヨーロッパにある「イン」と呼ばれる宿泊所が誕生することになります。ただ残念なことに、上の階をゲストハウスにするのにはいろいろと手間がかかり、できたとしても当分先になりそうなので、とりあえず先に別の場所でゲストハウスができればとのことでした。
万里春さんではすでにケグ(樽)を他のお店に卸しているそうですが、まもなく缶のビールも販売したいとのこと。缶は瓶と比べて軽くて持ち運びにも便利ですが、それだけでなく完全密封なので紫外線対策になります。かつては缶の臭いの問題もあったのですが、今はそれがクリアになるほど缶そのものの品質が向上しているとのこと。
缶の販売が始まれば、わざわざお店に行ったり、イベントの機会を見つけることもなく、大手のビールのように万里春のクラフトビールを自宅で気軽に飲めるようになります。そうなるとますます楽しみですね。
最後に南さんは「まもなく1周年になります」と。11月10日がちょうど1周年なのです。その前の11月8日(金)・9日(土)・10日(日)の3日間は周年を記念してオリジナルグッズ、お食事券等が当たる抽選企画を考えているとのこと。
このタイミングに金賞受賞クラフトビールを味わいに万里春さんに行ってみてはいかがでしょう。余談ですが私は開業の初日に行きました。もうあれから1年が経過したと聞くと、時の流れの早さを感じて少し驚きました。
バンリノハルビアホール(外部リンク)
住所:大阪府富田林市富田林町21-22
TEL:0721-24-0009
営業時間
平日:11:30-14:00(Lo13:30)、17:30-22:30(フード Lo21:30 、ドリンク Lo22:00)
土日祝:11:30-22:30(フード Lo21:30 、ドリンク Lo22:00)
定休日:火曜日
アクセス:近鉄富田林駅から徒歩8分、富田林西口駅から徒歩10分
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