グアム島近海で発生した低圧部の動向を注視
2つの低圧部の動向は?
タイトル画像をみると、フィリピン付近から日本のはるか南の太平洋上にかけて、相変わらず、積乱雲を伴った雲域が多数発生しているのが分かります。
このうち、きのう4日(月)の段階で、フィリピン付近にはすでに低圧部が発生していましたが、きょう5日(火)午前9時、グアム島近海(右側の赤丸)にも別の低圧部が発生しました。
低圧部とは、周囲より気圧が低く、低気圧性の循環は認められるものの、その中心がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心がハッキリとすれば熱帯低気圧、いわゆる台風のたまごに名前が変わります。
きょう夕方に発表された気象庁の予想天気図によると、フィリピン付近にある低圧部は今後南シナ海に進み、あす6日(水)午前9時には熱帯低気圧に変わる見込みで(天気図中のTDマーク)、その後台風に変わる可能性もありますが、中国大陸を指向する計算が多く、日本付近への直接の影響はほとんどないものと思われます。
一方、きょうグアム島近海で発生した新たな低圧部は、今後ゆっくりと西寄りに進み、あさって7日(木)午前9時にはフィリピンの東(日本のはるか南)に達する見込みです。この時点でもまだ低圧部の予想ですが、周辺の海水温は30度前後と高く、いつ熱帯低気圧に変わってもおかしくない状況です。
アンサンブル予報では?
日本の気象庁が発表しているアンサンブル予報によると、数十ある計算の多くが、週末にかけて、熱帯擾乱をフィリピンの東付近に進めています。
ただその勢力にはかなりのばらつきがあり、上図に示した10月10日(日)午前9時の予想をみると、例えばAのパターンだとまだ低圧部のままのような状態、Bのパターンだと熱帯低気圧として顕在化しているパターン、そしてCの状態だと更に発達し、おそらく台風の勢力として顕在化しているパターン。
今のところ、BあるいはCのような計算が多くなっていますが、計算変わりもあるため、今後の予想に注目です。
沖縄付近で太平洋高気圧が強い
仮に熱帯低気圧や台風として顕在化した場合はどうなるか?その鍵を握るのは北側に張り出している太平洋高気圧の存在です。
きょうはこの太平洋高気圧が西日本を中心に季節外れに強く、多くの所で30度以上の真夏日を観測しました。今後はピークの状態を過ぎるものの、引き続き、日本付近から沖縄方面を覆い、10日(日)の予想をみても、沖縄から台湾付近まで張り出している状態です。
このため、フィリピンの東で顕在化する可能性のある熱帯低気圧や台風は、今のところ、フィリピン付近を西進するようなコースを予想する計算が大勢を占めていますが、なかには太平洋高気圧の勢力がやや弱まり、その隙をついて沖縄方面にゆっくりと北上してくる計算も散見される状態です。
熱帯低気圧や台風が顕在化した場合は、この太平洋高気圧の動向にも注目です。