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プロ野球のタイブレーク制、導入するべき?上原浩治が考える賛成反対の前に決めるべきこと

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:アフロ)

 日本のプロ野球でも延長戦でのタイブレーク制について、検討に入ったという報道を目にした。12球団と日本野球機構(NPB)が開いた理事会・実行委員会で、ゲームオペレーション委員会から報告があったという。メジャーリーグでは2020年から導入済み。日本のプロ野球でも公認野球規則に記載され、アマ野球では採用されているが、プロは採用を見送ってきた。導入の目的を明確にした議論が前提になるだろう。

 日刊スポーツの報道によれば、NPBの井原敦事務局長は「まだ検討を始めた段階」とした上で「目的を明確にしないといけない」と続けたという。試合時間の短縮か、勝ち負けをはっきりさせるためか、エキサイティングな展開をファンに提供できるかということを例に挙げてそれぞれにメリットとデメリットを認めているが、まさにその通りだと思う。

 個人的には、現状のように12回で引き分けというルールがある中で、延長に入った10回からタイブレーク制を導入するのは反対だ。無死二塁など最初から走者がいる状態で攻撃がスタートするタイブレーク制の導入は、得点機会を故意に創出し、白黒を決着させることが前提だと考えるからだ。引き分けをなくし、13回以降も決着がつくまで試合を続けるのであれば、ペナントレースの順位もわかりやすくなるだろう。トーナメント制のアマチュアや、引き分けのないメジャーが導入しているのもわかる。ただし、タイブレーク制は、得点が入りやすいので決着がつきやすくなるだろうが、13回以降も延長が続けば、試合時間の短縮という狙い通りにはならない。

 それでも、引き分けをなくすという視点であれば、私も導入を支持したい。

 プロ野球の世界に身を置いた立場でいえば、選手は常に勝負の世界にいる。これはチームも同じだが、勝負とは勝ち、負けという2文字からとっている。試合をする以上は勝つか、負けるか。引き分けという概念は、プレーする上で本来的には持ち合わせていない。

 タイブレーク制は、投手の立場でいえば、負担は大きい。いきなり無死二塁などで相手の攻撃がスタートするのだが、投手は先頭打者を出さない、そのために初球の入りを注意したり、ストライク先行を意識したりしてマウンドに立つ。

 投手からすれば先頭打者を出さないために投球を組み立てるという大前提を崩すルールで、本音を言えば、いきなり背負うピンチに「自分自身でピンチを作ってないのに、なぜ?」と言いたくもなる。投手には不利な制度だが、それでも導入されるなら、タイブレーク制に対応した戦術なども練られる。それが、ファンに野球を楽しむ新たな引き出しをもたらすのであれば、議論する意味はあるだろう。皆さんは、タイブレーク制の導入をどう考えますか。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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