【パラアイスホッケー】世界選手権明日開幕! 日本代表が2022年北京パラリンピック出場権獲得を目指す
アメリカとカナダが金メダルを懸け、激闘を繰り広げた「ピョンチャン(平昌)パラリンピック」の決勝から1年余りが過ぎ、パラアイスホッケーの新たな戦いが始まります。
それは「世界選手権」です!
▼パラアイスホッケー世界一決定戦
他競技と同様に、パラアイスホッケーでも世界選手権は、文字どおり世界一を決める戦い!
世界選手権の順位は「パラリンピック」の出場権獲得にもつながるため、毎回激しい戦いが繰り広げられます。
世界選手権は各国の成績によってカテゴリーが決まり(昇格と降格あり)、現在は上位8チームが集う「Aプール」から、それに続く6か国による「Bプール」。さらに、もう一つ下の「Cプール」まで、3つのカテゴリーで構成され、(基本は)各プールが隔年に開催されています。
▼世界選手権へ向けて強化合宿を開催!
チェコ東部の都市オストラバに、トップ8が集って行われる今季の「世界選手権(Aプール)」へ出場する日本は、先週末に活動拠点のやまびこスケートの森アイスアリーナで、強化合宿を開催。
北京への第一歩を踏み出す大事な戦いに挑むとあって、世界を股にかけるビジネスパーソンとして多忙な日々を送る 中北浩仁 (こうじん)ヘッドコーチも帰国し、氷上で精力的に指導。
さらに、シニア、ジュニア、女子とアイスホッケーの日本代表を率いた経験が豊富な信田憲司コーチも、病み上がりであるにもかかわらず、リンクサイドから大きな声で指示を送り選手を鼓舞すれば、リンク上では全ての合宿で、神戸から自家用車で通って指導にあたっている町井清コーチが、檄を飛ばすシーンもが見られました。
▼関西から世界へ
その町井コーチが監督を務めるクラブチームが、ロスパーダ関西。
昨夏に国内で5つ目のチームとして誕生した新しいチームで、競技歴は長くないものの有力な選手が在籍し、濱本雅也、坂本義仁(ともにFW登録)両選手が世界選手権の代表入り。
関西からステージを”世界”へ移し、日本代表での活躍が期待されます。
▼若い選手も台頭!
一方で、ロスパーダ以外も含め、次世代の核となりそうな若い選手も台頭。
まだ実戦では未知数ながら、練習メニューの合間に、若手選手同士でプレーの確認をする姿が見られるなど、パラリンピックへ出場するぞ! という気持ちをエネルギーにして、一生懸命パックを追い掛けていました。
現時点では日本代表を担い続ける主力選手との差は大きいと言わざるを得ませんが、練習メニューの合間に、真剣な表情でプレーの確認をしている姿が見られただけに、今後の飛躍が待ち望まれます。
▼フクちゃん健在!!
若手選手の台頭が期待される一方で、忘れてはならないのが、”フクちゃん”の愛称で(若手選手からも)呼ばれるGKの福島忍!
昨年のパラリンピックのテレビ中継などを通じて、ご存じの方も多いでしょうが、1956年12月14日生まれの「61歳」ながら、練習でのプレーぶりを見れば「今季も守護神の座を担い続けるのは間違いなし! 」と、太鼓判を打って差支えないほどのプレーぶり。
ソルトレイク大会を皮切りに、4度のパラリンピックに出場した”フクちゃん”健在は、得点力が高いとは言い難い日本にとって、何よりも心強い限り!!
「フクちゃんを中心とするチームディフェンスで、失点を極力少なくして、ロースコアの試合で競り勝つ!
世界選手権でも、これが日本の勝利への道となるのは間違いないでしょう。
▼世界選手権が変わる!
今大会から「世界選手権(Aプール)」のフォーマットが変更されました。
上位チームと、それ以外のチームの戦力差が大きいことから、女子アイスホッケーの世界選手権を参考に、アメリカ、カナダ、韓国、ノルウェーの、前回大会ベスト4がA組に入り、残るイタリア、スウェーデン、チェコ、日本は、B組に属し、それぞれのグループ内の対戦で順位を決めます。
A組の1位と2位は、決勝トーナメントにシードされる一方で、B組の下位2チームは、7位、8位決定戦を戦うことに・・・。
最下位チームはBプールへ自動降格となってしまうため、Aプールからの降格は避けたい日本は、チェコ、イタリア、スウェーデンとの試合で白星を勝ち取って、残留を決めることが第一目標となります。
▼大会の注目ポイントは?
世界選手権は全試合が動画配信されますので(予定)、各国のトッププレーヤーたちのプレーを、ぜひ一度、ご覧になってはいかがでしょうか?
なかでも必見なのは、何と言っても「アメリカvsカナダ」戦!
選手やルールを全く知らなくても、プレーのスピードと、スレッジ(氷上で移動するのに用いる そり)が激しくぶつかり合うシーンの連続に、きっと釘づけになってしまうはず!!
この両チームによる ”ガチの戦い”は、プレー中に生じる激しいコンタクトプレーも、他のカードならペナルティでも、「アメリカvsカナダ」ならOK!と思えるほど、全く異次元の試合となります。
一方、選手へ視線を向けると、「世界最速のスピードスター」と称されるアメリカの デクラン・ファーマー(FW・21歳)に注目!!
さらに、開催国チェコのゴールを守る「パラアイスホッケー界のドミニク・ハシェク」と呼ぶべき存在のパベル・バベンカ(GK・45歳)という二人に加えて、何と言ってもノルウェー代表のレナ・シュローダー(FW・26歳/タイトル写真中央)を、お見逃しなく!
▼女子選手も男子選手と一緒にプレーできる
シュローダーは、パラアイスホッケー協会が、普及と発展を目的に女子の活動にも注力する一環として設けられた「プラスワン枠=(女子選手は各国1名に限りロースターの別枠で選手登録できる)」によって、ピョンチャン パラリンピックに出場。
世界選手権でも同様の枠が設けられたことから、ノルウェー代表メンバーとしてチェコへ向かう予定です。
国内でも札幌で女子チーム創設の動きが見られ、冬季オリンピックとパラリンピックの招致活動を追い風に、女子パラアイスホッケーの新たなページが刻まれる日も、遠くないかもしれません。