台風16号の進路はやや東寄りに 不確実性は小さくなる
台風16号はこれまでの予想より東寄りか
台風16号は、きょう25日(土)午前9時に強い台風となりました。中心気圧980hPa、最大風速35メートル、最大瞬間風速50メートルの勢力で、北西に時速15キロで進んでいます。
今後も海水温が30度以上ある暖かな海域を進みながら急速に発達を続け、週明け28日(火)午前9時には、中心気圧910hPa、最大風速55メートル、最大瞬間風速80メートルの猛烈な勢力となる予想です。
その後も勢力を維持しながら北上を続け、予報円の真ん中を進むと、30日(木)午前9時には、伊豆諸島の南海上、北緯30度近くに到達する見込みです。
最新の予報円の特徴は、これまでの予報円のやや東側を進む予想となり、しかも5日後の予報円の直径がひと回り小さくなってきたことです。きのうの5日後の予報円は直径1300キロもありましたが、きょうは880キロまで狭まってきました。
これは紛れもなく、不確実性(進路のブレ幅)がだんだん小さくなり、進路予想が比較的、まとまってきたことを表しています。
なお30日(木)以降は、上空の偏西風に徐々に流され、速度を上げながら北東方向へ進む可能性が高いとみられ、今後東日本にどこまで接近するのかが最大のポイントになるかもしれません。
アンサンブル予報は東へずれる
上図は台風16号を含んだ日本のアンサンブル予報で、南海上の赤い丸一つ一つが台風16号の中心に相当します。ともに来週29日(水)午後3時の予想を示したものですが、左側がきのう24時間前の計算、右側がけさ発表された最新の計算となります。
きのうの計算では、赤い丸が西日本の南海上に集中していたのに対し、けさの計算では、東側にそれて、東日本の南海上に集中しているのが分かります。
諸外国の最新の計算でも、きのうよりは東側を指向するモデルが多くなっており、気象庁の予報円もこれに見合うように東寄りにシフトしてきた格好です。
今後の鍵は太平洋高気圧の壁と偏西風
台風16号の今後の進路の鍵を握るのは、主に太平洋高気圧と上空の偏西風(強い西風)だと思われます。
現在は25日(土)昼のように、台風16号の行く手に太平洋高気圧が張り出しているため、西から北西方向へ進んでいますが、このあと27日(月)昼の予想にあるように、太平洋高気圧の勢力が弱まるため、ゆっくりと北寄りに進むことになるでしょう。
その後は29日(水)昼の予想のように、台風16号の東側で再び太平洋高気圧が顕在化し、これが壁のような感じとなり、しばらく北上した後、北から南下してくる偏西風に流されるように北東方向へ進む見通しです。
もし東側の太平洋高気圧があまり強まらなければ、早めに東寄りに転向し、関東の南をかなり離れて通る可能性がある一方、太平洋高気圧が強まれば、西側に押されるように北上するため、それだけ西寄りのコースをとり、関東などへ接近する可能性が高まることになるでしょう。
なお今後もアンサンブル予報や諸外国のモデルなどが一転して計算変わりをし、進路が大きく変わる可能性もありますので、引き続き、最新の予報円を頼りにして頂きたいと思います。