「仙台―苫小牧間」フェリー15時間の旅 「船内Wi-Fi」はサービス終了も、意外につながった携帯電波
筆者はこの年末年始、年越し大回り乗車をはじめ関東地区のほうぼうを旅してきたことはこれまでの記事で触れてきた。帰りは、大幅にルールが変更された「青春18きっぷ」の使い勝手を検証するため、高崎から日本海岸線ルートで青森を目指し、そこから北海道へ戻る計画だった。しかし、奥羽本線の大館―弘前間が雪害により運休となってしまったことなどから、急遽この日の行き先を仙台に変更し、仙台から太平洋フェリーで苫小牧まで戻ることにしたことは筆者の記事(新「青春18きっぷ」の使い勝手を検証 旅行中の予定ルートに災害運休発生で、元が取れなくなるリスクも?)でも詳しく触れている。
仙台―苫小牧間の太平洋フェリーに乗船
太平洋フェリーの予約は、高崎から小山へと向かう両毛線の車内からスマートフォンで、4席だけ残っていた1万円の2等和室をインターネット予約したのだが、太平洋フェリーではまだQRコード乗船には対応しておらず、仙台港フェリーターミナルの窓口で紙の搭乗券に引き換えてから乗船が必要であった。なお、2025年1月26日から太平洋フェリーでもインターネット上だけで完結できるQRコード乗船を順次スタートさせるという。
仙台港へのアクセスはJR仙石線の中野栄駅が最寄りとなり、18時18分発の宮城交通のバスで所要時間は10分ほどであった。宮城交通では交通系ICカードが使え、運賃の160円を支払った。そして、苫小牧行のフェリーの仙台港の出航時刻は19時40分であるが、筆者がフェリーターミナルに到着した18時30分頃にはすでに乗船ができる状態となっており、窓口での乗船手続きの終了後、そのままフェリーに乗船することができた。苫小牧港の到着時刻は翌日の午前11時で、所要時間は15時間20分ほどだ。
沿岸近くの航行で意外に圏外にならなかった携帯電波
長時間の船旅で気になるのは、やはり船内のネット環境だ。筆者が先月、新日本海フェリーの新潟小樽航路に乗車した際に、「船内無料Wi-Fi」なるものがあったことは、記事(新潟―小樽フェリーの「船内無料Wi-Fi」は、16時間半の長距離航路の救世主!? ネックは通信制限…)でも詳しく触れたが、太平洋フェリーではどうなのであろうか。2024年5月30日までは、有料の船内Wi-Fiサービスがあり、1,078円を払えば24時間利用可能であったが、現在ではこのサービスは廃止されてしまった。しかし、乗船してみるとほとんどのエリアで筆者のスマートフォンは1本から2本程度の電波を常に拾っており、YouTube動画なども問題なく視聴可能であった。
気になってGoogleマップでフェリーの現在位置を見てみると、陸地の10~20km程度の沖合を航行していることが分かり、携帯電話の電波を拾いやすい場所を航行していることがわかった。ただし、青森県の下北半島を過ぎ陸地から遠いところの航行になると圏外になってしまったが、苫小牧港の入港1時間ほど前には再び電波がつながるようになった。
パブリックスペースが広くコンサートもある太平洋フェリー
太平洋フェリーの大きな特徴は、乗客が自由に過ごせるロビーなどのパブリックスペースがかなり広く取られていることに加えて、ピアニストが乗船しており、筆者が仙台港から乗船した際にはロビーで生演奏中であった。さらに、20時30分からは無料のコンサートも開かれ、旅人を飽きさせない工夫が随所にあると感じさせられた。
苫小牧港には定刻通りの11時に入港。フェリーに接続する形で、苫小牧駅前行の道南バスと札幌駅前行の北海道中央バスの高速バスの接続があり、筆者は苫小牧駅前行のバスに乗車。道南バスでは交通系ICカードは使えず、降車時に280円を現金で支払った。そして、苫小牧駅からは再び「青春18きっぷ」の旅に戻り札幌方面を目指した。
(了)