立てこもり事件の犯罪心理学:埼玉県ふじみ野市猟銃立てこもり事件から
■ふじみ野市猟銃立てこもり事件:人質の男性医師死亡
報道によると、1月27日の夜、埼玉県ふじみ野市で、猟銃もった男が医師を人質をとって立てこもり、28日朝、警察が突入して男を逮捕しましたが、人質の男性医師は死亡しました(FNN:1/28Y!)。
■立てこもり事件解決のために
被害者がお亡くなりになったとのことは、本当に残念です。警察の突入時には、すでに意識不明の状態だったのでしょうか。そうすると、もっと早く突入すべきだったという意見もあるかもしれません。
しかし一般的に、立てこもり事件の被害者の命をまもるためには、時間をかけます。事件発生直後は、犯人も興奮して何をするかわからないからです。犯人を興奮させず、自暴自棄にさせず、時間をかけて落ち着かせ、交渉を進めるのが基本です。
犯人が落ち着き、人質にトイレの使用を許したり、警察からの飲料水や食料を受け入れたりするようになれば、さらに建設的に交渉を進めることができます。
その結果、誰も傷つかずに人質の解放、犯人の投降になれば、事件解決です。
ただし時間がかかりすぎると、人質の体力の問題もありますし、犯人の否定的感情が高まり絶望感に陥ってしまうと、破滅的行為にでることもあります。警察は、慎重にタイミングをはかるわけです。
今回は、とても残念な結果になってしまいました。
■立てこもり事件の分類、立てこもり犯の心理
立てこもり犯罪は、「犯罪失敗型」「情緒型」「計画型」に分けることができますが、日本ではテロリスト等による計画的立てこもり事件はほとんどなく、多くは情緒型です。
警察(社会)に向けての要求も、「別れた妻を連れてこい」など、ほとんどは個人的要求です。生活が破綻している人による犯行もよく見られます。
■立てこもり事件を防ぐために、最悪の結果を防ぐために
情緒型の犯人の心は、悲しみ、苦しみ、怒り、恨みなどでいっぱいです。凶悪な事件を起こしたわけですが、実は加害者も困っていることもあります。どうしたら良いかわからない状態なのです。
怒りは、心理学的には二次的感情と言われています。愛する人を失ったり、信頼していた人に裏切られたり、自尊心を傷つけられたり。それは加害者の逆恨みだったりもするのですが、そこから激しい怒りや攻撃が生まれることがあります。
たとえば元妻も、あるいは医師も、本来ならもっとより良い人間関係を持てたはずなのに、それが壊れた、思い通りにならなかったと思い込むことで、悲しみから怒りが生まれ、犯罪に走ることもあるでしょう。
立てこもり事件のほとんどは、犯人が逃げ切ることはできません。犯罪の隠蔽もできません。こんな犯罪が起こると、犯人に厳罰をの声が高まりますが、逮捕や刑罰を冷静に避けようと思える人は、こんな犯罪を起こさないでしょう。
最悪の結果になる前に、事件を起こす前に、心の整理ができること、冷静さを取り戻し建設的な問題解決を考えられることが、被害防止につながるでしょう。