国際宇宙ステーションの補給船から異臭が発生、内部では飛沫も確認、ISS内区画を緊急閉鎖する事態に
11月24日、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングしたロシアの補給船「プログレス」の内部から、異臭と飛沫が確認される事態が発生しました。本記事では今回の出来事と、プログレス補給船について解説します。
■補給船内から異臭が発生し、一部区画を緊急閉鎖
11月24日、ロシアの補給船「プログレス」は、約3トンの食糧などの補給物資を搭載し、ISSのロシア区画モジュール「ポイスク」ドッキングしました。ロシア人宇宙飛行士がハッチを開けたところ、補給船の内部から異臭と飛沫が確認されたとのことです。
その後、宇宙飛行士はISS内の一部区画を閉鎖する対応を取りました。発生した異臭の原因は不明ですが、宇宙船の何らかの材料から出たガスである可能性があるとのことです。一方で、補給船の燃料は人体に有毒なヒドラジンを使用していますが、燃料が漏れ出た可能性は低い見込みです。
ISS内では空気浄化装置を作動させ、宇宙飛行士への人体への影響はないと見られています。現在は異臭が消えたため、予定通り貨物の移送を行っているとの事です。
■ロシアのISS補給船「プログレス」を紹介
プログレスは、ソユーズ宇宙船を基に改良を加えて自動化した無人の貨物輸送船です。ロシアのエネルギア社が製造しています。世界で最初の補給船で、1978年に初めて打ち上げられました。今までのISS補給ミッションのほとんどはプログレスで、その数は100機を超えています。プログレス補給船で輸送する品目は、燃料、空気、水、食料、衣服、実験装置、修理用の部品、郵便などです。
プログレス補給船は、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地からソユーズロケットによってISSへ向けて打ち上げられます。通常はロシアのモジュールである、「ズヴェズダ」か、「ピアース」へドッキングします。 初代のプログレスに太陽電池パドルを取り付けるなどの改良を行ったプログレスMや、ISSミッション用に改良されたプログレスM1など様々なタイプが存在します。
プログレスM1で運べる荷物の量は約2~3ton程度です。ちなみに2015年からは改良型のプログレスMSに切り替えられています。 ちなみに、中国の宇宙ステーションである天宮2号への補給ミッションにも使われています。
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