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アイデア出しが不可欠なビジネスパーソンが、寝室に暗闇でも書けるペンを常備すべき決定的理由

舘神龍彦デジアナリスト・手帳評論家・歌手

○暗闇でも字が書けるボールペン「LightWrite」

 ゼブラのボールペン、LightWriteシリーズは、先端部にLEDを内蔵。これがノックによって発光し、暗いところでも書くことができる。そのラインナップは2018年に登場した「LightWrite」(以下無印)と、2021年3月1日に新登場した「LightWriteα」(以下α)の2種類がある。電源としてボタン電池2個を利用する。これは本体に内蔵されており、必要に応じて交換する。
 今回はやや特殊な用途に思われるこのペンを、表題のような理由でオススメする理由について説明していこう。

 新登場のαの特徴は、先端部と後端の蓄光パーツの存在だ。ここが暗闇で蛍のように控えめに発光している。これによって、暗いところでのペンの所在がすぐに把握できる。

暗闇で蓄光パーツが発光しているところ。これぐらいの光があればすぐに見つけることができる
暗闇で蓄光パーツが発光しているところ。これぐらいの光があればすぐに見つけることができる

 操作感はちょっと面白い。まず一回ノックするとペン先が出る。もう一回ノックするとペン先は引っ込む。さらにもう一回ノックすると、ライトがオンになる。つまり手に取って何回かノックすれば必ずペン先が出てくる。そしてその光は暗闇の中でも、メモ帳の表面の紙を照らし、そのまま筆記するのに十分な明るさを持っている。

 また、旧ラインナップ(無印)にはなかった赤色LEDのモデルもある。これは赤色LEDが暗いところで白い光を見ることで起こる明順応によって、あたりが見えにくくなることに対応している。

 LightWriteαは、アイデア出しが必要なビジネスパーソンにお勧めしたいペンだ。以下にその理由を説明していこう。

○アイデアの三上(北宋 欧陽脩)

 アイデアの三上(さんじょう)と言われるものがある。古代中国・北宋時代の欧陽脩によれば、アイデアが出やすい3つの場所があるという。

 それが「馬上、厠上、枕上」だ。

 現代と北宋時代ではいろいろな条件が異なるが、それでも現代に置き換えて読み替えることはできる。

 まず馬上。これは移動中のことだ。北宋時代ならば文字通り馬での移動だが、現代では、在来線や新幹線、飛行機、自動車での移動中となるだろう。これは、普段いるオフィスとは目に入るものが異なるため、発想が生まれやすくなるらしい。

 次に厠上。これは、トイレのことだ。これまた、そのことに集中するが故に、普段気にしていることから解放され、アイデアが出ると言うことらしい。

 そして、枕上だ。これは寝室、寝床においてアイデアは思い浮かびやすいということだ。

 厠上や馬上はともかく、現代における枕上はなかなかやっかいな問題を抱えている。

 直裁に言えば、枕上に関して=寝室でのアイデアの記録のために、現代人の必需品たるスマートフォンで記録するには、いろいろな問題がある。

○寝室におけるスマートフォンの各種の問題

 まず、スマートフォンのブルーライトには覚醒作用があると言われている。
 夜中の就寝直前、またはふと目が覚めた瞬間にスマートフォンを取り出してメモをとることには、そのアイデアをメモすることのメリットに反して、大きな不利益がある。液晶の光を浴びることで覚醒状態になり、その後の睡眠の質が落ちるかもしれないのだ。それが故に、スマートフォンはメモのツールとして適当ではないかもしれない。

 この問題に関しては、『スマホ脳』(アンディシュ・ハンセン 新潮新書)が取り上げている。以下に引用してみる。

 体内リズムはどのくらい光を浴びたか等によって制御される。眠りにつく時間を身体に知らせるメラトニンというホルモンの働きだ。メラトニンは松果体という分泌器で合成される。分泌量は日中は少なく、夕方になると増え、夜に最多になる。
(中略)
 だが分泌量を左右するのは、浴びた光の量だけではない。どういう種類の光なのかも関係がある。ブルーライトにはメラトニンの分泌を抑える特殊な効果がある。
(『スマホ脳』 第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響 P121)

 またナイトモードにして、その光を減じても、別の問題は残る。スマートフォン自体がもたらすある種の緊張感の存在だ。昼間ならば各種の通知は別段問題にならないとしても、そしてお休みモードにして一定時間通知が来ないようにしていても、独自の緊張感を発していることからは逃れられない。それに関しては以下のように書かれている。

 そばにあるだけで集中や記憶が妨げられるのと同じく、スマホが寝室にあるだけで睡眠が妨げられるようだ。小学校高学年の児童2000人にベッド脇のテーブルにスマホを置いて寝てもらったところ、スマホを側に置かなかった児童よりも睡眠時間が21分短かった。
(前掲書 P123)

 つまり、寝室でアイデアをメモするには、スマートフォンはあまり推奨されないと言うことになる。
 スマートフォンでメモしてもいいのだが、その行為またはスマートフォンの存在自体が、睡眠の質や時間を脅かす可能性は高い。それはまた昼間のパフォーマンスに大きな悪影響があるだろう。

 スマートフォンの名誉(?)のために付け加えておけば、例えばiPhoneのSiriを音声で起動して、スマートフォンの画面やその光を見ることなくメモをすることはできそうだ。ただしそれには、通常よりは判断力の劣っているであろう、夜中に目がさめた心理状態で、スマートフォンを手にとって各種SNSを見る誘惑に打ち勝つ必要がある。

 さてでは、普通のペンとメモで解決するかと言えば、そうでもなさそうだ。まず室内の照明をつけてペンとメモをどこに置いたのかを、確認する必要がある。そしてその間に肝心なアイデアが失われてしまうのは、ありうることだ。また、スマートフォンの光ほどではないかもしれないが、一度明るくなった室内でもう一度寝付こうとするにはそれなりに努力が必要になりそうだ。


○LightWriteαのアイデアツールとしての強力な存在意義

 そこで、このLightWriteαを寝室に常備したい。スマートフォンを追い出しても、だ。
 まず、LightWriteαとメモ帳をセットにしておいておこう。そうすれば、夜中にふと目が覚めてアイデアを思いついたときにも、すぐに体を動かしてメモをとれる。室内の照明を明るくすることなく、思いついたことが簡単にメモできるのだ。そのときに役に立つのが、LightWriteαの先端と末端の2カ所の蓄光パーツだ。これは、闇の中でも、光を蓄えて発光。どこにあるのかを控えめに教えてくれる。そばにメモ帳さえ置いてあれば、スマートフォンのようなブルーライトで無理矢理覚醒させられることなく、メモがとれるのだ。

 もし夜中、就寝中に目が覚めてアイデアを思いついたら、LightWriteαの蛍のような蓄光パーツの光を頼りにペンを手に取ろう。そして数回ノックしてセットで置いてあるメモ帳にメモをする。LightWriteαの先端もLEDだが、液晶の大きな面全体から発せられるそれとは比較にならないほど小さな光だ。メモをとったら、LightWriteαをノックすれば、光はペン先とともに消える。メモ帳をおいて再び眠りにつけばいい。

 どんなによいアイデアを思いついたとしても、その記録に際しては、眠りの質が低下するリスクは最低限にしたい。そのためにこそLightWriteαは役立つだろう。

○LightWriteαのラインナップと価格

価格 660円(税込み)

本体色:(白色LEDライト)ブラック、ブルー、ホワイト、レッド

(赤色LEDライト)ブラック

※LEDライトは白赤それぞれ1色のみ搭載

デジアナリスト・手帳評論家・歌手

デジアナリスト・手帳評論家・歌手。著書『手帳と日本人』(NHK出版新書)は週刊誌の書評欄総ナメ。日経新聞「あとがきのあと」登場ほか大学受験の問題に2回出題。『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)等著書多数。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)「HelloWorld」(J-WAVE)はじめテレビ・ラジオ出演多数。講演等も。手帳ユーザーを集めた「手帳オフ」を2007年から開催する等トレンドセッター的存在。手帳活用の基本をまとめた「手帳音頭」をYouTubeで公開中。認知症対策プロダクト「おぼえている手帳」は経産省オレンジイノベーションプロジェクト事業採択。

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