タイトルのとおりで、やっぱりCX-60のトランスミッションは、まだまだ改善の途中なのだと思います。あるいはマツダの限界か。

決して安くないお金を払って買ったので正常性バイアスが働き、この車は問題ないはずだと思い込んでしまうのはある程度仕方がないことです。

けれども、それを以てしてもCX-60のトランスミッション問題は根深い気がします。足の硬さよりも全然こっちの方が問題（むしろ足の硬さは個人的には全然問題なし）。

納車当初からトランスミッションの制御がよくないことはたびたび話題にしてきたし、おそらくマツダもそれを認識して何回かのリコールやサービスキャンペーンで制御ソフトがアップデートされてきました。

その結果、ある程度はよくなっているし、快走路で乗っている分には気になる場面はほとんどなくなりました。納車1年半のレビューではほとんど解消されたと書きましたが、それは快走路という前提のもとで成り立つのであって、渋滞の酷い環八だと全然ダメでした。

いやほんとに。オーナーとして擁護したい気持ちはもちろんあるけれども、ダメなものはダメだと声を上げないといけない。

この渋滞中というのが、CX-60のトランスミッションの悪い部分がいちばん出る場面です。10〜20 km/hの速度域でだらだらと流れていて、「ちょっと加速してすぐアクセルを抜く」ようなときがもう最悪。

渋滞していると、クリープからすこーしだけ踏み増して、そのあとアクセルを抜いて、またクリープで走る、みたいな場面に多く遭遇するじゃないですか。そのアクセルを抜いた直後が最悪で、前に後ろにめちゃめちゃ揺られるんです。

観察してみるとこうです。

• おそらくギアは1速。
• たとえば14km/h→17km/hに少し加速してアクセルを抜く。
• アクセルを抜いた直後はエンジンの回転数がしばらく維持されるものの、トランスミッション側で半クラにする制御がなされるため、駆動力は伝わらなくなる。
• その後、エンジン回転数が落ちてクリープに切り替わるが、そのときに半クラの抜き方が雑なために前後に揺られる。

こんな感じ。つまり、1速の半クラからクリープに戻るときの制御が全然なってない。まるで運転に慣れてない教習中のマニュアル車に乗ってる気分で、とても600万円の車の動きとは思えないんですよ。

それともトルコンレスATってこんなものなんですかね？ メカニズム上仕方のない動きなのかもしれないけれども、いやいやそれならば「家族で乗ることが多く乗り心地が重視されるSUVに、なぜトルコンレスATを採用したのか？」という話になります。

確かに渋滞中（10〜20 km/hの速度域）以外は、アップデートである程度改善されてきました。しかし、渋滞も含めた総合的なCX-60のトランスミッション制御としては、まだまだ全然快適じゃないです。というか、一向に改善されない様子に辟易してきました。

もちろん、この記事で話題にしているのはトランスミッションだけなので、高速走行時の快適さとかワインディングの楽しさとか、CX-60のいい部分ももちろんあります。運転しているとそれを楽しいと感じる場面の方が多いから、これは声を大にして言いたい。

しかしながら、首都圏に住んでいると快走路ばかりじゃない。渋滞に巻き込まれる場面も多くあるので、そのときに悪い部分が目立ってしまうのです。

目立つだけならまだしも、乗員全員が前に後ろに揺られるので、一緒に乗っている家族や犬に申し訳なくなってきますね。運転手ですら不快なので、アクセル操作の事情が分からない同乗者はさらに不快でしょう。前に乗っていたCX-5は全然そんなことなかったから尚更。

マツダはこの問題を何としても直さないといけないと思いますよ。少なくとも10km/h台で渋滞しているときはまともな車じゃないです。

購入を検討している人は一歩立ち止まって考えた方がいいし、快走路での楽しさと渋滞中の不快さを天秤にかけて判断すべきです。僕はギリギリ前者が勝つので乗り続けているけれども、家族はそうではないかもしれない。

ただ、試乗では渋滞中の不快さを体験できないと思うので難しいところです。試乗中にもしできるのなら、10km/h台でクリープ→少し加速→クリープを試してみて、その挙動を確認してみてください。

そして、この期に及んで直っていないということは、同じトランスミッションを使っているはずのCX-80でもそのままなんじゃない？ こればかりは乗ってみないと分からないけれども、あまり期待値を上げずに乗った方がいいと思います。

という感じで、このような問題があるということについて声を上げないとマツダも認識しないと思うので、厳しい声ですが敢えて記事にさせていただきました。オーナーとして、CX-60が渋滞中も乗り心地のよい車になることを祈っています。