小さなきっかけで借金漬けに… 知っておきたい5つの相談所
「生活費が足りない」など、ちょっとしたきっかけで借金は積み上がってしまうものです。
借金は決して人ごとではなく、普通の会社員が問題を抱えることも多いものです。私自身も20代の会社員時代に洋服や靴などを買い過ぎてしまい、クレジットカードの残債が200万円に膨らんでしまった経験があります。
借金問題を膨らませてしまう一番の原因は周りの人に相談をしづらいということがあります。その結果、情報不足になりやすく、状況を悪化させてしまうケースも多いのです。
借金の返済に充てるために他の金融業者から借り入れる行為を繰り返す多重債務に陥ると、自分の努力だけで問題を解決することが非常に困難になる場合もあります。
そうなってしまった場合は、すぐに信頼できる借金相談機関に相談をすることが非常に重要になります。借金問題の解決方法は自己破産以外にもたくさんあって、場合によっては住宅などの資産を失わずに借金を整理する方法もあります。
借金問題の相談窓口はたくさんあるのでまずは勇気を出して相談をしてみることが大切です。守秘義務も守られ、最初は無料で相談できるところも多いです。
<借金問題の相談窓口>
日本司法支援センター「法テラス」
国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所です。
解決に役立つ法制度や地方公共団体、弁護士会、司法書士会、消費者団体などの関係機関の相談窓口をサポートダイヤル「0570−078374」(通話料は有料)などで案内します。
借金の返済方法、債務整理、二重ローンなど幅広い相談も可能です。また、弁護士、司法書士による法律相談が必要な人で経済的に困っている場合は条件を満たすと法テラスの民事法律扶助による無料法律相談を受けられる場合もあります。法テラスサポートダイヤルの利用件数は303万件(平成28年3月現在)と幅広く利用されています。
公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会
クレジットや消費者ローンを利用して多重債務に陥った人を消費者保護の立場から公正・中立的なカウンセリングを行います。多重債務ほっとライン「0570−031640」があり、相談料は無料(通話料は有料)。
公益財団法人のために電話相談やカウンセリングは無料で、希望によって無料で任意整理と家計管理の改善を手伝ってくれます。多重債務に苦しんでいた人がどのように完済できたかという事例もホームページで紹介しているので参考になります。
独立行政法人国民生活センター
全国の消費生活センター等と連携をして、消費者からの相談を専門の相談員が受け付けており、公正な立場で処理を行います。消費者ホットライン「188」(通話料は有料)に電話をかければ全国の最寄りの消費生活相談窓口を案内してもらえます。消費者契約に関するトラブルの相談や専門の相談窓口の紹介などを受けることができます。
日本弁護士連合会
ひまわりお悩み110番(法律相談の予約)ダイヤル「0570-783-110」(通話料は有料)があり、最寄りの弁護士会の相談センターにつなげてくれます。センターに相談や予約をする場合は無料ですが、担当弁護士が付いた場合の相談料は30分につき5000円(消費税別)程度になります。一部の東京都内百貨店でも弁護士会の法律相談業務を行っていることがあるようです(相談料は有料)。
日本司法書士連合会
ホームページでは司法書士相談センターの一覧があります。原則として有料相談ですが、無料相談を行っている相談センターもあるようです。
<改正貸金業法の改正後は>
2010年6月に改正貸金業法が完全施行され、お金を借りる仕組みが大幅に変わりました。
「総量規制」が導入され、年収の3分の1を超える融資を禁止し、借り入れの際に基本的に年収を証明する書類が必要になります。
返済能力を超える過剰な貸し付けを行わないように制限をしました。ただし、住宅ローンなど低金利で返済期間が長い一部の貸付に関しては総量規制の適用はありません。
法律上の金利の上限が改正前の29.2%から借り入れ金額に応じて15~20%に引き下げられました。
利息制限法の上限金利(借り入れ金額に応じて15~20%)を超える金利帯での貸付けは民事上無効で、行政処分の対象にもなります。
出資法の上限金利(改正後は20%)を超える金利帯での貸付けは、刑事罰の対象です。これまで、貸金業者の場合、この出資法の上限金利(改正前は29.2%)と利息制限法の上限金利の間の金利帯でも、一定の要件を満たすと、有効となっていたが、グレーゾーン金利が撤廃されました。
カードローンやキャッシングなどで、貸金業者に支払い過ぎていた利息のことを過払い金と言います。
改正貸金業法完全施行前後は「過払い金返還請求」に関してメディアでも大きく取り上げられることがありました。過払い金の対象だったかもしれない人も完済から10年以内であれば過払い金の返還請求ができる可能性があって、弁護士や司法書士など専門家に相談をして取り戻したいというニーズが多かったからです。
貸金業法が改正された後も借金で苦しむ人は後を絶ちません。クレジットカードのキャッシングや銀行カードローンが普及し、借金は以前よりもカジュアルになっています。銀行のATMで気軽にお金を借りることができたり、クレジットカードの支払いを後からリボ払いに変更できたりするからです。
「1回払い」のはずがなぜリボに?自動的にリボになる仕組みとはにも書きましたが、初期設定からリボ専門カードや申請をしてリボ払いにする仕組みもあり、無自覚の間にリボ払いになっていることもあるようです。
借金に苦しまないで済むためには日頃から家計管理をしっかり行う必要がありそうです。
「総量規制」では借金は年収の1/3以内ですが、家計を健全に回す上では借金は年収の1/4以内に留めないと返済が難しくなります。
年収400万円なら貯金がある人は別ですが、100万円以内が上限と考えるべきでしょう。年収から税金、家賃などの固定費が引かれ、生活費を払うと、貯金や借金返済などにまわせる余裕資金は100万円程度になるからです。
また、金利の負担にも注目をしたいものです。100万円を年利15%で借り入れ、毎月2万5000円を返済する場合、総返済額は約139万円になり、返済期間は4年8か月に及びます。
借りるのは簡単ですが、返済は容易ではないことを十分に心得たいものです。家計管理に自信がない人は一切カードを使わず現金払いや預金の範囲内に利用額を留めるデビットカードを利用するのも手です。キャッシュレス時代なのでより慎重な家計管理が必要になりそうです。