グーグルの狙いは50億人の非スマホユーザー、「100ドル端末」をまずはインドで販売開始
米グーグルは今週、インドで「アンドロイド・ワン(Android One)」と呼ぶスマートフォンのプロジェクトを発表した。
同国をはじめとする新興国市場で、低価格ながら一定の品質を持つスマートフォンを普及させるのが狙いで、モバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド」を取り巻くエコシステム(生態系)の拡大を目指している。
第1弾製品、インドの3社が発売
インドの大手携帯電話メーカーである、マイクロマックス ・インフォマティクス、カーボン・モバイルズ、スパイス・リテールの3社が、グーグル提案のハードウエア設計を採用した端末を今週発売した。いずれも価格を6399インドルピー(約105米ドル)に抑えている。
スマートフォンの世界出荷台数に占めるアンドロイドの割合は85%に達しており、同OSは世界のスマートフォン市場を支配している。
だが米ウォールストリート・ジャーナルによると、新興国のスマートフォンメーカーはこれまで、古いバージョンのアンドロイドを採用し、低コスト端末を市場に出していたため、使い勝手がグーグルの目指す水準に達していないという。
こうした端末は処理性能が非力で、ストレージ容量も少なく、しばしばジャンク端末と揶揄される。ソフトウエアがアップデートされるかどうかはメーカーや端末によってまちまちで、アンドロイドのエコシステムには一貫性がない状態。グーグルはこうした状況を改善したいと考えている。
このプロジェクトでは、メーカーを介すことなく、グーグルがソフトウエアの自動アップデートを行ったり、不具合を迅速に修正したりする。
これにより同社は、アンドロイドのブランドイメージを守れるほか、自社ネットサービスの利用者を増やすことができると、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
年内にインドネシアやフィリピンでも展開
同紙によると、インドには携帯電話の利用者が9億人いる。だがスマートフォンを使っている人はわずか1割程度。
グーグルは、ヒンディー語に対応したソーシャルネットワーキング/メッセージングサービスを提供したり、FMラジオ内蔵端末といった同国で人気ある製品の市場投入を後押ししたりし、エコシステムの拡大を図るという。
またこのプロジェクトはインド市場だけにとどまらない。グーグルの計画では、今年末までにはインドネシア、フィリピン、バングラデシュ、ネパール、パキスタン、スリランカでプロジェクトを開始する。2015年以降も対象国を増やしていきたい考えだ。
同社によると、現在、世界でスマートフォンを利用している人は17億5000万人。だが世界人口の大多数を占める50億人以上はまだスマートフォンを持っていない。アンドロイド・ワンはそうした「次の50億人」に向けたプロジェクトなのだという。
なおグーグルの資料にはプロジェクトへの参加メーカーとして、台湾のエイサー(宏碁)やエイスース(華碩電脳)、中国レノボ・グループ(聯想集団)、「アルカテル・ワン・タッチ」ブランドの中国TCL通訊科技、インドのラバ・インターナショナル、パナソニックなどが載っている。
今後はこれらメーカーから多種多様な端末が登場するとグーグルは期待している。
(JBpress:2014年9月17日号に掲載)