主な新興国経済ニュース(4月1日)
【ロシア‐4月1日】3月25-29日のRTS指数、1460.04―2週続落=BRICs市況
前週(3月25日-29日)のロシア株式市場で、RTS指数(ドル建て)は29日終値が前週比0.7%安の1460.04と、2週続落し、その結果、1‐3月期は4.4%安の急低下となった。RTS指数は18日から10営業日連続で1500の大台を割り込んでおり、依然として昨年12月初旬の低水準に戻ったままだ。
週初25日のRTS指数は、同日未明に、債務・金融危機に直面しているキプロス政府と、いわゆるトロイカ(EU(欧州連合)とECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)の3国際機関)がキプロスへの100億ユーロ(1.2兆円)の金融支援で最終合意したことから、当面の危機が回避されたのを好感して相場は一時持ち直したものの、米証券大手バンクオブアメリカ・メリルリンチが最終合意したキプロス救済策では大口預金が凍結されるとして、ロシア企業の投資判断を引き下げたことや、米国でロシア新興財閥のロマン・アブラモビッチ氏が逮捕されたとのうわさが広がったため、結局、前週末0.8%安の1458.8と、3営業日続落となった。
RTS指数は翌26日も、ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)のイェルーン・ダイセルブルーム議長が預金者の負担を求めたキプロス救済策が今後、同様な危機が他のユーロ圏諸国に起きた場合に使われる可能性を示唆したことから、先行き不安が広がり下落した。
ようやく27日から週末にかけて、投資家がショート・セリング戦略を手仕舞う動きが広がる中で、株が買い戻され、28日以降もキプロスの銀行が12日ぶりに業務を再開したことや米国の強い個人所得・支出統計の結果などが好感され、RTS指数は週末にかけて3日続伸となったが、反発は小幅にとどまった。
今週(4月1日-5日)のロシア市場は、米国の株式市場の好調さがロシア株式市場にも良い影響が及ぶことが予想されるが、その一方で、米国市場では利食い売りの株価調整が起こることも予想される。また、アジアの株式市場では4日に開かれる日銀の金融政策決定会合が材料視される。
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【ロシア‐4月1日】長距離電話ロステレコム、新社長兼CEOにカルーギン氏を選出
ロシア長距離電話最大手ロステレコムは3月27日の取締役会で、アレクサンドル・プロボトロフ社長を解任し、新社長兼CEO(最高経営責任者)にCATV大手ナショナル・ケーブル・ネットワークス(NKS)のセルゲイ・カルーギン前CEOの選出を決めた。プライム通信(電子版)などが伝えた。
プロボトロフ氏は2010年8月からロステレコムの社長に就任していたが、情報技術・通信省から同氏の投資戦略に対し非効率的だとして批判を受けていた。カルーギン氏は2009-2012年までNKSのCEOだった。現在、NKSはロステレコムの子会社となっている。
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【インドネシア‐4月1日】自販大手インドモービル、昨年の売上高、24.5%増―日産車がけん引
インドネシア自動車販売大手インドモービルがこのほど発表した2012年度決算は、売上高が前年比24.5%増の19兆7800億ルピア(約1920億円)となった。このうち、自動車販売・サービス部門は前年比20%増の18兆0600億ルピア(約1750億円)と、全体の91.3%を占めた。ジャカルタ・ポスト(電子版)が3月30日に伝えた。
特に、インドモービルの自動車販売をけん引したのは日産<7201>で、日産車の売上高は前年比10.5%増の10兆4500億ルピア(約1010億円)と、自動車全体の売上高の約6割を占めた。日産は昨年、フルモデルチェンジの「エクストレイル」や新型モデル「グランド・リヴィナ」を導入し、販売台数は昨年1年間で前年比18%増の6万7542台となった。
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【インドネシア‐4月1日】中銀副総裁、来年の成長率は6.3-6.8%増と強気予想
インドネシア中銀のペリー・ワルジョ副総裁は先週、首都ジャカルタで開かれた講演会で、今年の同国の経済成長率は台頭している中産階級や若年層の強い国内消費需要に支えられて、昨年の6.2%増を上回る6.3-6.8%増になるとの見通しを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が3月28日に伝えた。
また、同副総裁は来年の総選挙からの経済浮揚効果も経済成長率を押し上げるほか、輸出も世界経済の回復とコモディティ(国際相場商品)の上昇で拡大すると見ている。今年のインフレ率見通しについては、3.5-5.5%(中央値4.5%)上昇と予想している。
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【ベトナム‐4月1日】日本電産、ベトナムに2015年までに最大1900億円追加投資へ
産業用モーター大手、日本電産<6594.T>の永守重信社長兼CEO(最高経営責任者)は先週末、ベトナム紙トイチェー(電子版)のインタビューで、対ベトナム投資を拡大するため、2015年までに15億-20億ドル(約1400億-1900億円)を追加投資する計画を明らかにした。ベトナム通信(電子版)が伝えた。
また、同社長はベトナムでの生産事業の成功のカギを握るのは、部品製造などのサポーティング・インダストリー(すそ野産業)の発展だとした上で、同社のベトナムでの生産活動への地場企業の参加(現地調達)比率を長期的には現在の20%から100%に引き上げたいとし、当面は50%を目標にする、としている。
同社は世界30カ国に投資をしており、ベトナムではこれまでに8億ドル(約750億円)を投資し、現在9つの生産工場を保有しており、従業員数は合計で2万人、年間売り上げも8億ドルとなっている。
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【ブラジル‐4月1日】中銀幹部:最も有効なインフレ対策は利上げ―物価見通し悪化で
ブラジル中銀のカルロス・ハミルトン・アラウジョ経済政策局長は、先週発表された四半期インフレ報告で、今年と来年のインフレ見通しがいずれも5%超の上昇と、下方修正(悪化方向)されたことについて、最も有効なインフレ対策は政策金利を引き上げることだとの認識を示した。
中銀は3月27日に発表した四半期インフレ報告で、標準シナリオの今年のインフレ見通しを昨年12月の前回予想時の4.8%上昇から5.7%上昇へ、また、2014年の見通しも前回予想時の4.9%上昇から5.3%上昇へ、それぞれ下方修正した。さらに、2015年の見通しを5.4%上昇とした。しかし、これらは、いずれも中銀の物価目標の中央値である4.5%上昇を上回っている。
同氏は、「2013年にインフレ率が物価目標に収斂すると考えるのは非現実的だ。しかし、来年末までに収斂させるために、多くのことがなされるだろう」と述べている。市場では中銀は4月の次回会合では政策金利を据え置き、利上げは5月会合になると予想している。
標準シナリオは、政策金利である翌日物金利誘導目標政策金利が現在の7.25%、レアル相場も1ドル=1.95レアル(前回予想時は2.05レアル)の水準で推移することを前提としている。
他方、今回の四半期インフレ報告では、今年の経済成長率見通しを3.1%増と予想している。これは昨年の成長率0.9%増を大幅に上回り、ギド・マンテガ財務相の予想3‐4%増の範囲内にある。ただ、今年度予算の前提となっている4.5%増は下回る。
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【ブラジル‐4月1日】独電力・ガス大手エーオン、ブラジル同業大手MPXへの出資比率を36%に引き上げ
ドイツ電力・ガス大手エーオンは3月28日、ブラジルの同業大手MPXエネルジアとの戦略的提携関係を強化するため、MPXへの出資比率を現在の11.7%から36.1%に引き上げることで合意したことを明らかにした。
合意では、エーオンは、まず、MPXの筆頭株主である大富豪のエイキ・バチスタ氏から持ち株24.5%を4月末までに、最大16億レアル(約740億円)で取得する。次に、MPXは今夏までに、12億レアル(約560億円)の新株発行増資を行い、エーオンがその30.6%を引き受け、4億レアル(約190億円)をMPXに投資する。この結果、エーオンはMPXに対し、合計で最大19億レアル(約880億円)を投資し、MPXの議決権の半分を握ることになる。(了)