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監督のミスで先発投手が早期降板。継投の失敗ではなく…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アレック・マノーア(トロント・ブルージェイズ)May 20, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月20日、先発投手のアレック・マノーア(トロント・ブルージェイズ)は、6回表の1死一、二塁から、アダム・フレイジャー(ボルティモア・オリオールズ)を三振に仕留めたところでマウンドを降りた。この時点のスコアは、2対2。マノーアは、2回表と3回表に1点ずつを取られただけで、投球数は85球だった。

 故障に見舞われたわけではない。ジョン・シュナイダー監督のミスにより、マノーアは交代を余儀なくされた。

 マノーアとフレイジャーは、打席が終わった後、激しい口調で何かを言い合った。シュナイダー監督は、その直後にマウンドを訪れた。マノーアを落ち着かせようとしたのかもしれない。

 ただ、このイニングは、すでに、投手コーチのピート・ウォーカーがマウンドを訪れていた。同じイニングに2度、監督あるいはコーチがマウンドへ行った場合、投手を交代させる必要がある。これは、ルールだ。

 マウンドからダグアウトへ戻ろうとしたシュナイダー監督は、球審に呼び止められ、そのことを告げられた。落ち着く必要があったのは、シュナイダー監督のほうだったようだ。

ジョン・シュナイダー監督(トロント・ブルージェイズ)Apr 24, 2023
ジョン・シュナイダー監督(トロント・ブルージェイズ)Apr 24, 2023写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 マノーアに代わり、急遽登板したティム・メイザは、最初の打者に、長打となりそうな打球を飛ばされたものの、センターを守っていたケビン・キアマイアーの好守に救われ、無失点で切り抜けた。ブルージェイズは、6回裏と7回裏に計3点を挙げ、その時点では5対2とリードしていた。

 だが、8回表に追いつかれ、試合は延長戦に入った。10回表、オリオールズのオートマティック・ランナーは生還したが、その裏、ブルージェイズは、先頭打者から3人続けて空振り三振を喫した。

 マノーアがもう少し長く投げていれば、試合の展開と結末は違っていた可能性もある。この黒星により、ブルージェイズの連敗は3となり、それでも25勝21敗――この勝敗はア・リーグ中地区の首位に立つミネソタ・ツインズと同じ――ながら、4月3日以来となる、ア・リーグ東地区の単独最下位に転落した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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