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【年度内六冠ロード】藤井聡太二冠(19)盤石の勝利で棋王戦ベスト16進出

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月2日10時。東京・将棋会館において第47期棋王戦挑戦者決定トーナメント2回戦▲藤井聡太二冠(19歳)-△斎藤明日斗四段(23歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は19時20分に終局。結果は105手で藤井二冠の勝ちとなりました。

 藤井二冠はこれで棋王戦ベスト16に進出。3回戦で斎藤慎太郎八段(28歳)と対戦します。

 藤井二冠の今年度成績は25勝5敗(勝率0.833)となりました。

 藤井二冠は年度内に最大六冠まで獲得できる可能性を残しました。

藤井二冠、あわてず着実に前進

 藤井二冠先手で戦型は相掛かり。互いに腰掛銀に組む形となりました。

 23手目、藤井二冠は端9筋に角を出て揺さぶりをかけます。

 34手目、斎藤四段は端1筋に桂を跳ね、藤井二冠の攻めを受け止める驚きの構想を見せました。

 43手目。藤井二冠は1筋からつっかけ、相手の桂頭から攻めます。うまく戦機をとらえたか、形勢は次第に藤井二冠よしとなりました。

 藤井二冠は右辺でポイントをあげたあとの67手目。相手の1筋の角を取らず、じっと3筋、相手玉に近いところに歩を垂らします。指されてみれば、いかにも本筋という一手でした。

 また直後の69手目。置き駒の桂を跳ねて攻めていきます。手番を渡して相手の反撃がくる可能性があるので怖そうなところ。しかしそれで十分と見切った、やはりこちらも本筋と思わせる落ち着いた一手でした。

 進んでみれば駒得も果たし、盤石の態勢で最終盤を迎えた藤井二冠。自然に寄せて、着実に勝利に向かいます。

 斎藤四段は持ち時間4時間をすべて使い、96手目から1手60秒未満で指す一分将棋。藤井玉の横に銀を打って、一手違いの形を作りました。

 残り24分の藤井二冠はいったん席を立ちます。そして席に戻って、最後の確認をします。消費時間3分で角を打ち、斎藤玉に王手をかけました。

 103手目。藤井二冠は自陣の飛車を切って相手の成香を取ります。香が手に入れば斎藤玉が詰むという仕掛け。いつもながらに、最後まで鮮やかでした。

 斎藤四段はペットボトルの水を紙コップに注いで飲みます。

 105手目、藤井二冠が歩を打って王手した手を見て、斎藤四段は投了しました。

 藤井二冠、棋王戦参加5期目にして、初のベスト16進出です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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