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最多勝のタイトルを「獲得していない」投手の通算白星ランキング。1位は254勝。2位と10位は現監督

宇根夏樹ベースボール・ライター
桑田真澄 FEBRUARY 24, 2008(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 通算200勝以上を記録した24投手のうち、梶本隆夫工藤公康(現・福岡ソフトバンクホークス監督)の2人は、最多勝のタイトルを一度も獲得していない。梶本の254勝は、最多勝がない投手の通算最多だ。工藤の224勝は、20勝以上のシーズンが皆無の投手では最も多い。工藤のシーズン最多は、1991年の16勝だ。山本昌広/昌もシーズン20勝以上なしで200勝以上(219勝)を挙げたが、こちらは最多勝が3度。1993年(17勝)と1994年(19勝)、1997年(18勝)に獲得している。

 15勝以上のシーズンがない投手の通算最多は、塗り替えられたばかりだ。2019年までは三浦大輔(現・横浜DeNAベイスターズ監督)の172勝が最も多かったが、昨シーズン、石川雅規(東京ヤクルトスワローズ)が9月30日に三浦と並び、10月21日に三浦を追い越した。ちなみに、昨シーズンの石川は15試合に登板し、手にした白星はこの2つしかなかった。

 130勝以上の75人中、最多勝なしの投手は、梶本と工藤、石川と三浦を含め、30人を数える。そのうちの8人は、あと1勝多ければ最多勝、というシーズンがあった。176勝の星野伸之と173勝の桑田真澄は、それが2度ずつだ。

筆者作成
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 1991年のパ・リーグは、近鉄バファローズの野茂英雄が17勝を挙げ、オリックス・ブルーウェーブの星野と西武ライオンズの工藤は16勝。3人とも、10月5日にシーズン最後の白星を記録した。1997年のパ・リーグは、西武の西口文也と近鉄の小池秀郎がそれぞれ15勝でタイトルを分け合い、14勝の星野は3位に終わった。10月を迎えた時点では、西口と星野が14勝、小池は13勝だったが、2人がそこから白星を増やしたのに対し、星野は2登板とも黒星を喫した。

 1991年のセ・リーグは、広島東洋カープの佐々岡真司が17勝を挙げ、読売ジャイアンツの桑田は16勝。1998年のセ・リーグは、ヤクルトスワローズの川崎憲次郎が17勝、桑田は再び16勝。どちらのシーズンも、桑田は最後の登板で16勝目を挙げ、その時点では単独トップに立っていた。佐々岡の17勝目と川崎の16勝目と17勝目は、読売がレギュラーシーズンの全日程を終えた後だった。

 なお、173勝の石川と132勝の岸孝之(東北楽天ゴールデンイーグルス)は現役投手なので、これから最多勝のタイトルを獲得する可能性はゼロではない。最多勝がない通算100勝以上の現役投手は、彼らの他に3人。104勝の能見篤史(オリックス・バファローズ)、102勝の大竹寛(読売)、100勝の中田賢一(阪神タイガース)がそうだ。36歳の岸は、この5人のなかでは最年少。昨シーズンの7勝も、最も多かった。

 こちらは、本塁打王がない選手の通算本塁打トップ30。

本塁打王を「獲得していない」選手の通算本塁打ランキング。トップ3は500本以上、中田翔は29位

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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