【NHL&NBA】キーアリーナ改修へ! シアトルにNHLチーム誕生? NBAチーム復活か?<後編>
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▼視線の先はラスベガス&シアトル!
NHLは、2011年6月にアトランタからウィニペグ(カナダ・マニトバ州)へチームが移転した翌年から、地理的な条件を考慮して、ウィニペグの所属カンファレンスをウエスタンへ変更しました。
ところが、NBAではイースタンに所属するシカゴをはじめ、ナッシュビル、セントルイスといったウエスタンの中で、東に近いホームタウンのチームの所属カンファレンスを移すことなく、
イースタン → 「16チーム」ウエスタン → 「14チーム」
というカンファレンス構成を、今季に至っても継続。
このようなアンバランスなチーム構成を続けたゲーリー・ベッドマン コミッショナーの視線の先にあったのは、他ならぬラスベガスとシアトルの存在です。
▼ウエスタンに2チーム加わりアンバランス解消へ
まずラスベガスは、NHLへの新規加盟申請の3ヶ月前には、シーズンシートの半数以上の予約を受け付けるなど積極的に準備を進め、大きな異論も出ずに、昨年6月のNHL理事会で、来季からの新規参入が認められました。
対して、ラスベガスとともに新規加盟申請をしたケベックシティ(カナダ・ケベック州)は、1994-95シーズンまで「ノルディックス」という名のNHLチームがあった強みもあって、こちらもNHLに申請が認められたものの、USドルとカナダドルとのレートの差による経済情勢などを重視して、これまで加盟を見送っています。
【参照記事】 筆者オフィシャルサイトへのリンク
それだけに、来季からNHLチームのホームタウンとなるラスベガスと、、、
前編でも触れたとおり、ゲーリー・ベットマン コミッショナーも、魅力を感じている模様のシアトルにチームが誕生すれば、
イースタン → 「16チーム」ウエスタン → 「16チーム」
となって、アンバランスなカンファレンス編成が解消されるのです。
▼コミッショナー発言の真意は!?
ラスベガスと対照的に、シアトルではNHLチーム招致への動きが、なかなか一本化せず、ベッドマン コミッショナーは、メディアからシアトル移転の可能性を問われる度に、「アリーナがないシアトルに注目する理由はない」と繰り返し答え続けていました。
しかし裏を返せば、「アリーナがあればNHLチームのホームタウンになりうる」と受け取れる発言だと言えるでしょう。
▼新アリーナのプランを公募
MLBのマリナーズがシーズンオフの間も、メジャースポーツで街が活気づくことを期待するシアトル市議会は、昨年から本格的な議論を重ねた末、新アリーナの建築プランを公募すると発表し、4月12日(現地時間)まで受け付けました。
現地メディアによると、公募開始前からプランを掲げていた、2つの案が有力視されていたとのこと。
そのうち一つは、ステイプルズセンター一帯のL.A.ライブや、NHLのキングス、NBAのレイカーズといったロサンゼルスのトッププロスポーツチームの運営などを手掛けるAEG(アンシュッツ・エンターテイメント・グループ)を核とする「シアトルパートナーズ」。
納税者に追加負担をかけず、5億2100万USドル(およそ575億円)を投じるプランを提出しながらも、今月4日に突然撤退を表明。市長と市議会宛に文書で知らせました。
▼リノベーションプランを発表
期せずして競争相手の離脱によって、俄然注目されたのが、同じくロサンゼルスを拠点とするオークビューグループによるプラン。
ティム・リウィキCEO(最高経営責任者)は、くしくも撤退したシアトルパートナーズの中核を担っていた AEG の出身。
その後、NHLのメイプルリーフスや NBAのラプターズなど、トロントのメジャースポーツチームと、ホームゲームを開催するエアカナダセンターの運営などを手掛けるメープルリーフ スポーツ&エンターテイメント社でもCEOや社長職に就いていたとあって、NHLやNBAチームの誘致に向けたコネクションを持つ人物です。
さらに、オークビューグループは、アメリカを中心に多くのアリーナの運営に携わる実績を武器に、キーアリーナのリノベーションプランを発表。
そのプランは、これまでのキーアリーナのシンボルになっている屋根のスタイルを踏襲。これまでの歩みを継承する案は、多くの地元住民からも好評を得たようです。
▼目算違いが・・・
しかしながら、オークビューグループにとって目算違いが・・・。
キーアリーナを改修するのに合わせて駐車場を整備し、収入を得る青写真を描いたものの、公的資金の支援の割合などで合意に至らなかった模様。
キーアリーナの改修へ向けたプロジェクトのために、オークビューグループからヘッドハンティングされた元NFLシアトルシーホークス副社長のランス・ロペスは、「駐車場の整備費用などの支出は、我々の計画に含まれている」と語ったものの、シアトル港の整備などには投じられた公的資金を、少なからず当てにしていたようで、目算違いが生じてしまったようです。
▼シアトルにチームが来る保証はない!
明言はしないまでも、公的資金を頼りにしていた様子が見て取れるのは、オークビューグループの一人がメディアの前で口にした、
「アリーナが完成しても、NHLやNBAのチームがシアトルに来る保証はない」
という言葉が物語っています。
2007年秋にカンザスシティ(ミズーリ州)の中心部に完成したスプリントセンターは、NHLやNBAのチームを招く青写真を描いていたものの、オープンして10年になる今でも、未だ実現に至らず。
アリーナのスケジュールは、ほとんど埋まっていない状況を見ると、公的資金のサポートを受けた上に、駐車場などの定期収入を見込むのは、現実的なプランだと言えるでしょう。
▼強気なプランも!
ところが、一転して強気なプランを掲げ続けているグループも!
前編で紹介した投資家のクリス・ハンセンらが率いるグループは、(撤退を表明した)シアトルパートナーズと、オークビューグループのプランとの違いを示して、公的資金を当てにすることなく、最新設備を揃え、2万人程度の観客を収容できる多目的アリーナを建設するという強気なプランを提示。
既存のキーアリーナを改修するのではなく、MLBのマリナーズがホームゲームを行うセーフコフィールドや、NFLのシーホークスの本拠地のセンチュリーリンクフィールドがあるソド地区に、アリーナを新設するプランを提案。
公的資金を必要とない代わりに、マリナーズやシーホークスの試合で徴収する入場税を課さないことなどを条件としています。
このように、それぞれの思惑が交錯する中から、どのプランが選ばれるのか?
そして、シアトルで再びNBAの試合が行われる日と、NHLの試合を見られる日は、やって来るのでしょうか?
<<<追記>>>
6月7日(現地時間)にシアトル市長のエド・マレーは、複数の候補の中から選択した改修プランを正式に発表しました。発表されたプランについては、当サイトに掲載した
をご覧ください。