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トランプ政権より非道、法務省・入管の難民ヘイト-織田朝日さんトーク

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
東京入管前に難民の不当拘束、人権侵害をやめろと訴える人々 筆者YOUTUBEより

 迫害から逃れて来た難民や、日本に家族がいるなど、母国に帰るに帰れない事情を持つ在日外国人の人々。そうした人々を個々の事情を十分に鑑みることなく、法務省・出入国在留管理庁が次々に収容施設に「収容」し、かつ被収容者に医療を受けさせないなど、重大な人権侵害を行っている。そこで筆者は、在日外国人の人々に寄り添い、法務省・入管の問題に取り組み続けている織田朝日さんを招き、今年5月に勉強会を開催した。本稿は、その内容をまとめたものである。筆者と織田さんとのやり取りの書き起こしは2万字以上に及んだため、分割して配信する。本稿は前回*の続きである。

*法務省・入管こそヘイトクライム機関-医療ネグレクト、給食に異物、職員の暴力etc 織田朝日さんトーク

https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20190822-00139246/

本稿の主な内容は以下の通り。

・難民条約に違反して行われる強制送還

・入管の「全件収容主義」は入管法にも反する

・子どもの権利条約に反する親子引き離し

・入管によって精神崩壊させられた難民も

以下、講演録より。

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○難民条約に違反して行われる強制送還

織田さん(右)と筆者 撮影:藍沙
織田さん(右)と筆者 撮影:藍沙

織田:入管庁に今年からなったんですよね。名称が変わって、ちょっと偉くなったという感じですかね。ちょっと入管庁に4月からなって、なんかちょっと変わってきたなという、私が感じたところでですけれども、まず一つは強制送還ですよね。強制送還増えているんですけれども、1月ぐらいに、あれは執行部門か。チケットの担当と呼ばれている人がいて、収容されている方から、チケット担当のTさんっていう人が中にいるらしいんです。その人は、航空チケットを買わせることが仕事だから、帰すことが仕事だから、「飛行機のチケットを買いなさい、買いなさいと。日本にいたって外に出さないから買いなさい」って、結構ちょっと嫌なお仕事ですよね。好きでやっているんじゃないんだったらかわいそうだけど、好きでやってたら本当にこの野郎ですよね。それで難民の方が「日本人の奥さんがいるから帰れません」って言っても、入管側は「じゃあ奥さんと帰れよ」って。だって奥さん日本人でしょう。なんで奥さんまで追い出すのっていう。それちょっと違うんじゃないのって。奥さんも呼び出されたことがあって、入管に。その奥さん、「(入管側に)ちょっと気持ち分かるけど、彼氏のために帰れって言いなよ、とか言われたことがあるんですよ」って私に言っていました

そのTさんが、今年入った頃に、収容されている人たちに、「4月になったらトルコもイランも強制送還できるようにするからね」って言ったらしくて、できなかったんですよ。それは大使館が、本人の許可なくパスポートを再発行しませんよっていうのがあったので、トルコとイランは強制送還ができなかったんです。それを今年の初めTさんがみんなにそう言いだして、私も脅しじゃないかって思ってたんです。ところが、トルコ大使館が認めてしまって、それを、強制送還ができるようになってしまったんです。強制送還、つまりクルド難民(トルコやイラク、シリアなど国をまたがって暮らす少数民族。トルコで政府当局から弾圧を受けている)なんですけれども、脅しじゃなかったです。なんでかというと、どうも、特定技能、つまり外国人労働者が日本で5年間だけ働いて、5年たったら帰りなさいっていうのがあるじゃないですか。子どもつくんないでよ、結婚しないでよって、5年たったら帰るんだよっていう制度になったわけなんですけれども、それに対して日本政府は、トルコとイランは強制送還に協力しないから(特定技能から)除外しますって言ったんです。それに対して、トルコは日本政府側の要求を受け入れてしまった。イランは受け入れなかった。だからイラン人は強制送還はできないです。だけども、ある日、3月が今年最初だったのかな。クルド難民の方がいつものように仮放免手続きで入管に来たら、どうやら旅券、パスポートとチケットがもう用意されていたと。弟さんの話では。入管側が「あなたはもう帰ってもらいますよ」と言うので、「いえいえ、難民申請します」と言っても、「いや、帰ってもらいますよ」って入管職員10人ぐらいに縛られて、そのクルド難民の方は強制送還されてしまった。それが今年最初で、私は基本的に東京入管で面会しているので、情報が収容者の中で錯綜(さくそう)していて、1人じゃないよ、2人が送還されたんだよとか、いろんな情報が流れていて分かんないんですけれども、1人は間違いなく、最近クルド人が牛久(茨城県牛久市の東日本入国管理センターのこと)から強制送還されて、これも突然強制送還されてしまったらしいんですけれども、本人は難民申請をしたいと、弁護士と相談させてほしいって言ったんですけれども、それは拒否されて、やっぱり縛られて送還されてしまったらしいです。東京入管のほうでも、もう強制送還するからねと言われてしまった人がいて、でもそれは弁護士のほうに連絡がいったんですね。「5月13日から17日の間に帰すからね」っていう話を東京入管側が弁護士に言ったらしくて、それで弁護士は「どうする?裁判すればまだ残れるよ」っていうお話をしたんですけども、その方はもう2年ぐらい(入管の収容施設の)中にいて、もう疲れてしまったと。送還も決まってて、それでさらに裁判。裁判の間さらに(入管の収容施設の)中にいて、さらに負けたらやっぱり帰されちゃう。これではちょっと人生がもったいな過ぎる、とのことでした。強制送還されていると、向こうの警察に取り調べを受けて拘束されるらしいんです。それで、それだったらもう自分で帰るという決心をして帰るらしいんですけれども、すごいおびえてて、それでもどうしても帰りたくないし帰れない人たちは、入管の中で、クルド人たちは帰されることはないからとだけは心の支えにしていたのに、それすらもなくなってしまったんで、すごい今おびえています、みんな。それでもう、送還されるぐらいならっていって、やっぱりもう折れてしまって、心が。「もう帰ります、でも自分徴兵も行ってないし、帰ったら捕まる」とか言ってましたけど、そういうことです。

志葉:これは実は、非常に悪質、極めて悪質な国際法違反です。ノンルフールマン原則っていうのがあるんです。これは何かというと、難民を、迫害が予想される地域に追いやってはいけないという国際法上の原則であって、難民条約の要です

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フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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