「裏金議員は他人には厳しい」社民・福島氏が憤慨―在日外国人には「死刑にも等しい」罰則の不平等
「自民党の裏金議員達は、自分に甘く、他人に厳しい」―社民党の福島みずほ議員は、今月22日の会見でそう憤った。国会では、入管難民法改定案(以下、入管法改定案)が衆院で通過、参院で審議されているが、同法案では、永住資格を持つ在日外国人が故意に税金や社会保険料を支払わなかった等の場合に、永住資格を剥奪するとしている。こうした法案を、故意に裏金をつくり支払うべき税金を納めなかった自民党の議員達が成立させようとをしていることの矛盾を、福島氏が批判したかたちだ。
〇「スズメを大砲で撃つな」
長年、日本に暮らして生活の基盤を築き、永住資格を得た外国人は、現在、約88万人いるとされている。今回の入管法改定案では、永住資格を持つ在日外国人が故意に税金や社会保険料を支払わなかった場合や懲役・禁錮1年以下の刑罰法令に違反した場合、さらには在留カードを携帯していなかっただけでも、永住資格を剥奪しうることが盛り込まれている。これに対し、福島氏は「厳しすぎて比例原則に反します。税金等の未納は督促や差し押さえで対応すれば良いこと」と語る。
福島氏の言う比例原則とは、法における原則の一つ。例えば、誰かが国家等から処分を受ける場合、それを受けることになった行為と処分の厳しさとの均衡が取れていなければならないというものだ。よく、「スズメを撃つのに大砲を使ってはならない」と比喩されるように、目的と手段のバランスを欠くようなことは駄目だということである。
〇「死刑にも等しい」
その点、在日外国人から永住権を奪うことは、「何十年もの生活の基盤や家族関係をも奪うことになる」(福島氏)という極めて重大な結果をもたらす。「故意」であったとしても、例えばコロナ禍のような、個人では対応しきれない状況の中での失業や倒産により、一時的に税金や社会保険料を払えなくなる等は、誰にとっても起こりえることだ。税金等の未納に対する何かしらの対応や処分それ自体は必要だとしても、TBS系の報道番組「サンデーモーニング」(2024年5月26日放送)でジャーナリストの青木理氏が「死刑にも等しく、差別的」と語っていたように、永住権の剥奪は過大に重い処分であり、外国人ヘイトだと言えよう。
〇裏金議員達は自分に甘く、他人に厳しい
皮肉なのは、税金未納等で永住権を剥奪できるようにすべきだと言っている自民党の議員達が、自分達はせっせと裏金をつくり、脱税していたということだ。そう会見で振ると、福島氏も「裏金議員の人達は自分達は税金を払わなかったというにもかかわらず、他人にそんなこと言えるのかとは思います。自民党の裏金議員達は、自分に甘く、他人に厳しい」と語った。
実際、入管行政のトップである法務大臣も、一連の裏金問題の渦中にある。小泉龍司法務大臣は、参院法務委員会(2023年12月12日)、石川大我参議院議員(立憲民主党)の質問に対し、自民党二階派の政治資金パーティーでノルマを超えたキックバックの受領を認めている。
〇自民党の議員達がまずやるべきこと
福島氏が指摘するように、自民党の議員達がやるべきことは、まず自分達の裏金問題の実態解明を行い、裏金議員達が刑事も含む、しかるべき処分を受けるべく、情報をしっかりと公開していくことだろう。また、明らかに差別的で比例原則からも逸脱した法律をつくろうとすること自体、国会議員に相応しいことなのか、法学の基礎から学び直すべきでもあるのだろう。
(了)