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イスラエル支持・支援は米国にとっても有害無益

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
昨年10月、バイデン大統領(左)はイスラエル訪問し同国のネタニヤフ首相と対談(写真:ロイター/アフロ)

 開始から8カ月になろうとしているイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃。ガザ保健省によれば犠牲者数は約3万6000人で、その大半が女性や子どもであるという。大虐殺と言うべき攻撃をやめようとしないイスラエルの振る舞いは、同国の国際的な孤立を深めつつある。そして、これまで揺るぎない親イスラエルの姿勢を取ってきた米国にとっても、何があってもイスラエルを支持する外交方針は有害無益なものとなってきたとの見方も出てきている。

〇孤立深めるイスラエル

 「イスラエルを伝統的に支持してきた国々の間でイスラエルが外交的に孤立を深めていることを懸念している」―米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)が、今月22日の会見でこう語ったのは、アイルランドやスペイン、ノルウェーの動きを受けてのものだった。同日、この3ヵ国は、パレスチナを国家として承認することを決定したと発表した。元々、1993年のオスロ合意による中東和平のゴールは、「二国家共存」、つまりパレスチナが国家として独立し、イスラエルと共存するというものであったが、今回の3ヵ国の決定は、イスラエルに対する圧力でもある。ネタニヤフ首相をはじめとする、イスラエルの右派政治家達は、現在のパレスチナ自治区もイスラエルのものだとし、「二国家共存」を認めない立場であるが、だからこそ、それに相反するメッセージをアイルランド等がアピールしたというかたちだ。こうした動きは、上述3カ国のみならず、EU各国やG7諸国にも拡大していくかもしれない。すでに、スロべニアが承認を決定した他、フランスは同国のマクロン大統領が「パレスチナを国家承認するのは『タブー』ではない」と発言している。

〇対イスラエル制裁も検討され始める

 国際社会からの停戦圧力にイスラエルは強く反発しているが、同国への風当りは強い。国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルに対し、ガザ南部ラファへの攻撃をただちに停止するよう命令。これについて、EUのボレル上級代表は、イスラエルに対しICJの命令に従うよう求めている他、日本もICJの命令を支持することを表明している。ICJは国連の主要機関の一つであり、その命令には法的拘束力がある。今後、イスラエルがICJの命令を無視し続けるのならば、同国に対する制裁も検討されることになるかもしれない。

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フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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