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TUBE 34回目の夏恒例のハマスタライヴはまさに祝祭。ファンと久々に“本気の夏”を楽しむ

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
Photo/SHIORI AKIMA

声出し解禁になった通算34回目のハマスタライヴに、3万4千人が熱狂

TUBEの恒例のスタジアムライヴ『TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2023 ”TUBE JAMBOREE”』が、8月26日横浜スタジアムで行われた。

1988年から始まったハマスタでの通算34回目のライヴ。2020年はコロナ禍により無観客でのオンライン配信、2021年は感染症拡大により中止、そして昨年は3年振りに有観客での開催だったもののマスク着用、声出しNGという規制があったため、ファンは“本気”でスタジアムでの夏を楽しめなかった。そして今年――声出しも解禁となって、行く夏をTUBEと楽しもうと集まった3万4千人のファンで膨れ上がったスタジアムは、始まる前からワクワク感が熱気となって気温をさらに上げる。

「TUBEのスタジアムライヴが始まって以来の面白いことを散りばめた」

Photo/KIYOHIDE HORI
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おなじみのTUBEコールと手拍子が始まり、アリーナ(グラウンド)とスタンドは準備万端だ。全員でカウントダウンしメンバーを迎える。前田亘輝(Vo)、春畑道哉(G)、角野秀行(B)、松本玲二(Dr)が着物・浴衣姿でやぐらに乗って登場。オープニングナンバーは2020年リリースのアルバム『日本の夏からこんにちは』のリード曲で、今回満を持して初めてライヴで披露する「日本の夏からこんにちは」だ。前田が歌い、メンバーが踊るというまさかの盆踊りスタイルからスタート。続いて『湘南盆踊り』、そして北島三郎の「まつり」を派手にぶち上げ、「TUBEのスタジアムライヴが始まって以来の面白いことを散りばた」という前田の言葉通り、日本の夏、TUBEの夏を和の演出で盛り上げる新鮮なオープニングだ。

Photo/SHIORI AKIMA
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祭りの会場は、ディスコへ。『YMCA』と『海の家』のマッシュアップで、派手なディスコサウンドが響き渡り、『ダンス・ウィズ・ユー』へ。「みんなの知っている曲ばかりを並べた」と前田が語っていたように、この日はまさにベスト的なセットリストだった。TUBEは6月に、普段なかなか演奏されないSide Bの楽曲で構成された『TUBE LIVE AROUND 2023 "Be/Side"』を6公演行い、シングル曲オンパレードの横スタライヴへのアプローチ的な位置づけになった。

「Beach Time」を歌い始めると一気に気持ちが上がる。その開放感たるや…まさにTUBEの夏という趣だ。ホーンが心地よく響き渡る「夏を抱きしめて」は、春畑とサポートギターの遠山哲朗のWギターが交差し生まれる音像が、TUBEサウンドの輪郭を作り上げていることを改めて感じさせてくれる。スクリーンには客席のファンが映し出され、全員笑顔がはじけライヴを心から楽しんでいるのが伝わってくる。「夏を待ちきれなくて」は冒頭の前田のアカペラ、そして春畑の歌っているようなギターソロに引きつけられる。

「当時は夏のTUBEと呼ばれることに抵抗感があった。だから冬も活動したけどあきらめた(笑)」

Photo/SHIORI AKIMA
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高校時代からの付き合いだというメンバー同士が、“ワチャワチャ”楽しく話をしているMCの時間も、ファンは楽しみにしている。

ゆかりのあるハワイ・マウイ島火災の被災者に思いを馳せ、バラード曲「Purity -ピュアティ-」を披露し、少し涼しい風が吹いてきた中で聴く「チェリー」は切なさが広がる。「シャララ」では客席全員がダンスを楽しむ。これまでの野外ライヴを振り返る中で前田は「当時は夏のTUBEと呼ばれることに抵抗感があった。だから冬も活動したけどあきらめた(笑)」と語り、「季節に抵抗したTUBEのこの歌を久しぶりに歌ってみたくなった」と「BECAUSE I LOVE YOU」を披露。切ないメロディと厚いコーラスがセンチメンタルな空気を作る。

Photo/KIYOHIDE HORI
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Photo/SHIORI AKIMA
Photo/SHIORI AKIMA

ハマスタライヴ恒例の、前田が噴水を浴びながらバラード曲を歌う演出は、今年は「十年先のラブストーリー」だ。前田の突き刺さるようなハイトーンボーカルが感動を連れてくる。「-花火-」では花火が打ちあがり、ハマスタライヴには欠かせない演出に「やっぱりこれだよね」という声が客席から聞こえてきた気がした。

Photo/SHIORI AKIMA
Photo/SHIORI AKIMA

本編ラストの『Hot Night』は客席全員で歌い、前田がバンドを引き連れステージの端から端まで練り歩き、歓声があがる。そしてこの曲でのおなじみ水爆発で、再び水浸しになる前田。想像以上の威力に驚くシーンも。

アンコールで披露した新曲「WeTube~夏やろうの夏~」は、このライヴでコール&レスポンスをしたくて制作されたという楽曲。明るく陽気な夏ソングで、メンバーのことを歌った歌詞にファンも笑顔だ。「さよならイエスタデイ」、<あー夏休み>という大合唱が響いた「あー夏休み」と、まだまだ夏は終わらない、終わらせないとばかりに盛り上がる。

「再来年のデビュー40周年は、ハワイのとある場所を押さえている」

Photo/SHIORI AKIMA
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前田が「再来年のデビュー40周年は、ハワイのとある場所を押さえている」と語ると大歓声が起こる。ハワイは93年から毎年のようにレコーディングを行った、メンバー全員が大好きな場所。2000年のデビュー記念日にはオアフ島アロハスタジアムで日本人として初、バンドとしても初の海外公演を行ない、成功させた。2005年、20周年の時には米軍の軍事基地内施設「フォート・デ・ルッシー」でもライヴを行なった。実現すれば20年ぶりのハワイ公演になり、ファンの心はすでにハワイに向かっているが前田は「でもアメリカのハワイと言っては言ってないけど…」と、いたずらっ子ぽい表情で語っていた。そして「良いお年を」とラストは『シーズン・イン・ザ・サン』だ。ホーンの音色が気持ちを上げてくれる。色褪せない名曲でまさに大団円。

TUBEの夏の楽しさ、ハマスタでの楽しみ方が凝縮された34回目のハマスタライヴだった。ファンの心を解き放つTUBEの音楽の威力を再確認できた2時間半だった。来年はもちろん、再来年の40周年に向けた動きに注目が集まる。

このライヴの模様は9月29日WOWOWで独占放送&配信される。

TUBEオフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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