流れ星☆ 恒例の全国ツアー開催。『THE SECOND』で敗れた盟友を作家に迎え「原点回帰」
恒例の単独ライブツアー『RED ZONE』を6都市で開催
人気お笑いコンビ・流れ星☆の恒例の全国ライブツアーが、今年も7月27日からスタートする。今年で8回目となるツアーは『RED ZONE』と名付けられ、全国6都市で7公演開催する。コンビ結成24年、老若男女、幅広い世代から支持される二人に「ひと味違う」という今年のツアーについて話を聞いた。
まずは2年連続で挑んだ『THE SECOND2024~漫才トーナメント~』(フジテレビ系)について。32組から16組に絞られる「ノックアウトステージ」に出場し、かもめんたると激突し、敗退。しかしこの戦いが全国ライブツアーへの序章になっていた。
『THE SECOND』でかもめんたるに負けた敗因は…?
――『THE SECOND2024~漫才トーナメント~』ではかもめんたるに負けてしまいました。
たきうえ かもめんたるの岩崎う大が作ったネタにやられました。う大が、対流れ星☆用に新ネタを練りあげたと言っていました。しかもそれを先行でやられたので、流れ星☆ワールドを完全に封じられました、う大ワールドに。
ちゅうえい う大ワールドというか、かもめんたるワールドな。でもかもめんたるが後攻でもウケていたと思いますよ、あのネタ。
「かもめんたるは流れ星☆対策をし、俺らは『THE SECOND』対策をして臨んだ。その差」(ちゅうえい)
――お二人はかもめんたる対策というのは特に…?
ちゅうえい イメージがコントの人達なので、昔から仲がいいですけど今回は勝ったなって思いました。
たきうえ 正直二人ともナメてました。コントだったらもちろんかもめんたるに軍配が上がるんですけど、漫才だから負けないだろうという感じはありました。今だから言いますけど、今年は優勝する気でした。決勝までいくとネタが3本必要なので、その出しどころも考えながら戦っていました。でも、かもめんたるは対流れ星☆のためだけにネタを3本作っていて。その時点で彼らの熱意というか本気度に負けてますよね。去年も三四郎相手に油断していましたけど、今年もかもめんたるがああやってなりふり構わずやって来たのは、僕らの油断でしかないです。
ちゅうえい 油断じゃないですよ。三四郎もかもめんたるも、俺らと対戦して覚醒したんですよ。去年は確かに油断してたけど、今年は去年のデータを基に研究して、単独ライブツアーでも『THE SECOND』対策用のネタもちゃんと入れたり、俺らは『THE SECOND』対策、かもめんたるは流れ星☆対策だったと。これは大分違いますよね。
「正直、今年は負けてもそんなに悔しくなかった。しっかり負けたから」(たきうえ)
たきうえ う大が言っていたのは、結局自分達が一番面白いと思っていること、あれこれ考えるより自分達の色に特化したものをやることが、何よりも流れ星☆対策になると。 しかもそのネタが、う大は僕ら対策って言ってくれていますけど、どこを切ってもかもめんたるらしい面白さがあるから、多分これからやり続けてもウケると思うし、すごくいいネタだなと思いました。
ちゅうえい 多分あいつら史上一番ウケたと思います。『キング・オブ・コント』で優勝したときよりもウケてました(笑)。
たきうえ だから正直今年は負けてもそんなに悔しくなかったんですよ。負け惜しみでもなんでもなく。去年三四郎に負けた時は本当に悔しかったです。
――その思いが溢れすぎて去年はSNSで炎上していました。
たきうえ そうでした。今年はあまりにも清々しい負けだったので、Xに発信しなかったら、芸人仲間から「まだ炎上してねぇじゃないか、たきうえ仕事しろ」って言われました(笑)。今年に関してはしっかり負けたので何も言うことがなかったです。
「『THE SECOND』という魔物がいよいよわからなくなってきた」(ちゅうえい)
「もうさっさと優勝して終わりたい」(たきうえ)
――『THE SECOND』というトーナメントは、お二人の中でどういう捉え方なんですか?来年も出場しますか?
たきうえ なんかもういよいよ今年でわからなくなってきました、『THE SECOND』という魔物が。でも今年はザ・ぼんち師匠が出場していて、芸歴50年を超えるコンビの戦う姿、憧れです。『THE SECOND』がスタートした時、どういう芸人が出場対象なのかぼんやりしていた部分があったと思いますが、ぼんち師匠が出場したことでそこが明確になりましたよね。
ちゅうえい 規定で『M-1』に出られなくなったら、すぐに『THE SECOND』で若手たちと一緒に戦ってるんですよ。すごくないですか?
たきうえ 本当に励みになるというか、ぼんち師匠が出ているのなら僕らもこの大会にもう出ないなんて言ってられないということですよね。だから戦いの場を諦めるという選択肢はないと思いますが、もうさっさと優勝して終わりたいです(笑)。
『RED ZONE』というツアータイトルに込められた意味
――今年も全国ライヴツアー『RED ZONE』の開催が決まりました。このタイトルの込めた意味は?
たきうえ このツアーは毎年その結果がすごく重要ですが、後がないぞっていう意味もあるし『THE SECOND』も負けたし、土俵際の流れ星☆です。何とかしなきゃいけないっていう危機感の意味もあります。
ちゅうえい 確かに本当にレッドゾーンに入ったな…。
たきうえ 燃えていきますよ。この渾身の一撃というか今までの単独ライヴツアーの中で一番面白いライヴにしなければ、という意気込みだし、望みです。
ちゅうえい 面白くなるのか、賛否両論を巻き起こす内容になるのか、とにかく振り切りたいです。
『THE SECOND』で敗れたかもめんたる・岩崎う大が作家としてライブツアーに参加することが決定。「少年マンガのような展開で、エモくないですか?」(たきうえ)
――流れ星☆のライヴは、若男女からファミリー、お笑い初心者まで誰もが楽しめるアミューズメントパークのようなライヴですが、今年は少し違う切り込み方をする部分もあると、ツアー紹介動画でおっしゃっています。
たきうえ 実は『THE SECOND』の後、かもめんたるのう大に今回のライヴツアーに作家として入って欲しいとお願いをしました。僕らの初期の単独ライヴツアーには、う大が作家として入ってくれていたので、今回話をしたら「いいよ」って言ってくれて。ここ見出しにしてください(笑)。少年マンガの展開みたいでエモくないですか? 戦った敵が味方、仲間になるみたいで。う大のことは認めているので。
ちゅうえい 認めてるって、偉そうに。向こうは『キング・オブ・コント』のチャンピオンだぞ。なんなら負けたばかりだよ。
「老若男女に喜んでもらえる流れ星☆らしいネタと、初期の頃にやっていた振り切った、マニアにもウケるネタ、両方を観せたい」(たきうえ)
たきうえ でも面白い流れですよね。なので今年の単独ライヴツアーは原点回帰です。今までの老若男女に喜んでもらえる流れ星☆のエンターテインメントは崩さず、そこにう大のエッセンスが入るので、当時の尖っていたというか、振り切っていた頃の流れ星☆も出てくると思います。より幅広い人に観て欲しいというか、去年まではそこまでお笑いマニアに向けたネタは作っていませんでした。でも今年は全方位に向けてです。お笑いマニアの方にも満足してもらえると思うし、お笑い初心者の方も満足できるという、ジブリのようなライブにしようと思います。
「昔の俺らのネタが好きだった人達にもまた観に来て欲しい。そういう意味で原点回帰」(ちゅうえい)
――ジブリ作品も老若男女から愛されています。
たきうえ そこだけではなく、マニアもたくさんいまから、ジブリって。
ちゅうえい 老若男女向けのネタが流れ星☆なんだと思って、俺らのライヴをもしかしてもう観なくなった人もいるかもしれないですけど、そういう初期のネタが好きだった人にもまた観て欲しいです。色々なことを気にしないというか、エゴが強いネタも出てくると思います。そういう意味でも原点回帰です。
――う大さんが今までの流れ星☆のネタ、プラスどんな空気を持ち込むのか、そしてちゅうえいさんをどう扱うのか、楽しみです。
たきうえ ちゅうえいのアドリブという最後の隠し味で、ネタが完成すると思います。でも隠し味が邪魔な時があるんですよ(笑)。
ちゅうえい 流れ星☆というパズルの最後のピースという自負もあります。
たきうえ いらない時も多いっていう自負も持ってくださいね(笑)。
ちゅうえい なくてはならないものでしょ。
たきうえ 楽しみなのが、う大が見ていた流れ星☆というのがもう10年ぐらい前の僕らで、その後かもめんたるは『キング・オブ・コント』でチャンピオンになって、もうう大先生ですよね。作家としてキャリアを積んで評価を得てきたう大先生から見た、今の流れ星☆という食材をどう料理してくれるのか、楽しみです。
「う大は人間の業の部分まで掘り下げるネタを書く。ちゅうえいが『嫌』って言うかもしれないけど、それが楽しみ」(たきうえ)
「う大に『久しぶりにお前のこと嫌いになるかも』って言いそう」(ちゅえい)
――ネタ作りの部分で、う大さんとぶつかる可能性はないですか?
たきうえ 友達なので歯に衣着せぬ感じでガンガン言ってくるはずです。う大が何か言ってきて、笑っちゃったらOKにします(笑)。「いや、それ流れ星☆っぽくないじゃん」って言いながら、面白かったらまず一回やってみます。ただう大のネタってご存知の通り、人間の業の部分まで掘り下げてくるので、意外とちゅうえいがこのネタ嫌だって言う可能性があると思います。ちゅうえいの根っこの部分を刺激するようなネタだった場合、どうなるのかなって個人的には楽しみです。お前のプライドの高いところをちょっといじってくる可能性はあるよね。
ちゅうえい 「ごめん、俺それやりたくないわ」「やろうよ、もう本当“RED ZONE”なんでしょ」「うっせえ、なんなんだよ」って、もうここまでは想像できますね(笑)。
たきうえ 僕がそういうネタを作ったら、ちゅうえいは絶対嫌だって言うと思いますが、う大が言えばやらざるを得ない感じになるのかな、と。
ちゅうえい う大に「久しぶりにお前のこと嫌いになるかも」って言っちゃうかもしれない(笑)。
「色々な活動をしていると、どこかで自分達のことを見失うこともあるので、単独ライブツアーは帰る場所」(ちゅうえい)
――まもなく結成25周年ですが、毎年単独ライヴ全国ツアーを開催できているのがすごいと思いますが、改めてお二人にとってこのツアーってどんな位置づけなんですか?
ちゅうえい もちろん単独ライヴはいつもやりたいと思うし、全国ツアーとなるとできる人できない人が出てくると思うので、すごくありがたいと思っています。どこかで自分達のことを見失うこともあるので、帰る場所として単独ライヴとツアーは、失くしてはいけないものです。
――その都市によってお客さんの反応も違うと思います。それをダイレクトに感じることができる場所がツアーですよね。
ちゅうえい 確かに同じ日本、同じ人間なのかと思うくらい、笑いのツボというか反応が違うので勉強になります。
たきうえ 東京や大阪、愛知、福岡とか大都市では、オール新ネタというのを待ってくれているような気がしますけど、普段行かないような北関東や東北、四国とかに行くと、いわゆる営業ネタをやる流れ星☆を観たいと思っている方もいて、逆に新ネタばかりより、テレビで観たことがあるオーソドックスでベタなネタをやったほうが喜ばれたりします。
ちゅうえい オチを知っていても笑ってくれます。でも大都市ではそれをやると引かれるというか、ウケないんですよ。
たきうえ だからミュージシャンみたいに「じゃあ今からオチ台詞みんなで叫ぼうぜ!」とか言ってみようかなと思ってしまいます。ただ残念なことに、今年は作家がう大なので、さらに地方のお客さんのことを置いてきぼりにしてしまう可能性がありますけど(笑)、僕たちが今までやってきたザ・エンタメと、う大の発想を融合させて、絶妙なバランスのものに仕上げようと思っています。それと、さっきの流れ星☆の単独ライブツアーってどういうものなのか、という質問に答えていなかったので、話していいですか(笑)。
全国ツアーは流れ星☆が戻ってくる港(たきうえ)
――お願いします。
たきうえ 流れ星☆が戻ってくる港にはしておきたいなって。お互いが違う船で一年間航海してきて、また一年後には戻ってくる場所という意味ではやっぱり大切にしておきたい港なんです。それがあることによって、僕も副業を頑張れるというか。副業を頑張ることによって、また単独ライヴも頑張れるという、いい意味での相乗効果になっています。
ちゅうえい こっちが副業でしょ?。
たきうえ こっちが副業です。そうですね、日本一漫才のうまい大家さんです(笑)。
――たきうえさんはそういうキャッチフレーズになったんですか?。
たきうえ なってるわけないでしょ(笑)。でも心の中でそう思ってます。
――25周年を前にいい刺激になりそうなツアーですね。
たきうえ そうですね。『THE SECOND』からいいストーリーが生まれてるなと思っています。負けてますけど(笑)。でも負けたからこそまたストーリーが始まったなって。
ちゅうえい 別に負け惜しみでも言い訳でもないですけど、やっぱり「RED ZONE」ということで単独ライブツアーに集中するために『THE SECOND』はわざと負けましたから。
――そうだったんですね。
たきうえ そうだったんですね、じゃないですよ。たまたまでしょ(笑)
「地元が一番アウェー(笑)」(ちゅうえい)
――今回も地元岐阜県・下呂公演がありますが、楽しみですね。
たきうえ 集客はちゅうえいのオカンに頑張っていただいて。
ちゅうえい 僕は地元の懐に入れないんですよ。うちのオカンが一番人脈あります。
たきうえ 地元が一番アウェー(笑)。今回割と大きなホールなので、ちゅうえいの知り合いを総動員してでも埋めなければ。
――東京・山野ホールから始まって、最後再び山野ホールに帰ってきますが、全く違う内容になるとお聞きしました。
たきうえ 全く違うというと少々語弊がありますが(笑)、全国津々浦々回って磨きに磨き上げたネタにプラス、また最後の山野ホールで「RED ZONE SUPER」だけのネタをやろうと思っています。ツアーをどこかで観てくれた人も、9月29日の「RED ZONE SUPER」はまた別物なので、楽しんでいただけると思います。
『流れ星☆ 単独ライブツアー RED ZONE supported by ナガセスッポン養殖場』
■7月27日東京・山野ホール
■8月3日大阪・ナレッジシアター
■8月10日岐阜・下呂交流会館アクティブ泉ホール
■8月17日群馬・高崎市文化会館
■8月25日埼玉・大宮ソニックシティホール小ホール
■8月31日北海道・共済ホール
■9月29日東京・山野ホール