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欧州で猛烈な暴風雨 日本でも

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2013年10月28日12時(現地時間) イギリス気象庁

ヨーロッパでは28日、発達した低気圧の影響で、広い範囲で激しい暴風雨となりました。ロンドン市内では30メートルの突風が吹き、倒木が相次ぎました。イギリス気象庁によると、冬にはこのような激しい嵐はあるものの、木々に葉が残るこの時期に、低気圧が発達して暴風雨になるのは珍しいそう。1987年10月以来、26年ぶりとしています。

この猛烈な暴風雨をもたらしたのは、デンマーク付近にある非常に発達した低気圧です。中心気圧は967hPaで、今年、本州に接近した台風並みに発達しています。ヨーロッパも、日本も、同じ中緯度に位置しているため、春と秋は低気圧が発達しやすい時期です。

低気圧は冷たい空気と暖かい空気がぶつかりあうことで発達します。とくに、暖かい秋は気温も高い上に、海の温度も高いため、低気圧が発達する条件がそろうのです。

ヨーロッパの暴風雨は日本でも

2004年12月5日午前9時の天気図(気象人)
2004年12月5日午前9時の天気図(気象人)

このヨーロッパの暴風雨で思い出したのが、2004年12月5日の嵐です。猛烈に発達した低気圧により、東京都心では40メートルを超える暴風が吹き荒れ、交通機関が大きく乱れました。

2004年というと、自然災害が多く、特別な年として知られています。この年は台風の上陸が過去最高の10個を数え、大雨、暴風、土砂災害、竜巻など各地に大きな爪あとを残しました。また、夏は記録的な猛暑となり、山梨県甲府市で40.4度(7月21日)、東京都心でも観測史上最高となる39.5度(7月20日)を記録しました。

当時のまとめをみると、「記録破りな暑さ・集中豪雨・台風上陸」と話題の多い夏だった」とあります。

今年も、似たような天気だった?

8月には高知県四万十市で41.0度、9月、10月には相次いで台風が接近、上陸し、大雨被害が相次ぎました。今月も全国的に気温が高く、季節の歩みはゆっくりです。11月になると、寒くなるという予想ですが、少なくとも、この先1か月間は気温が高めになりそうです。暖かい空気は低気圧を発達させるエネルギーになります。もちろん、2004年と同じようなことが起こるわけではありません。でも、暖かい秋から冬への移行期は、天気が荒れる条件がそろいやすいと思います。

11月になって、北極から強い寒気が南下してくるようになると、日本付近で低気圧が発達しやすくなるかもしれないと、今から注視しています。

【参考資料】

イギリス気象庁(MetOffice) 「Major Atlantic storm to impact UK」

2004年12月5日の天気概況

2004年夏のまとめ(気象人)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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