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ひとり旅におすすめ! 「ソロ温泉」にやさしい宿5つの共通点

高橋一喜温泉ライター/編集者

ひと昔前に比べて、圧倒的にひとり旅のハードルは低くなった。

その背景には、もちろんひとり旅を厭わない人が増えたこともあるが、ひとり旅を受け入れる宿が増え、旅の選択肢が増えたことも大きな要因である。

とはいえ、依然としてひとり旅を受け付けていない宿もあるし、場合によっては宿で肩身の狭い思いをすることもある。

ソロ温泉(ひとりでの温泉旅)を愛する人にとって「やさしい宿」とはどんな宿だろうか。その共通点を5つまとめてみた。

常時一人泊を受け付けている

ひとり泊を受け付ける宿はたしかに増えているが、そうはいってもひとり泊であることで、一気に選択肢が狭まるのは事実だ。試しに「じゃらん」や「楽天トラベル」などで、宿泊人数を2人から1人に変更すると、一気に検索にヒットする数が減る。

たとえば、ある予約サイトで熱海エリアを検索すると、2人泊の場合は123件ヒットしたのに対し、1人泊の場合は89件だった。この数字を多いととるか少ないととるかは微妙なところだ。昔に比べれば圧倒的にひとり泊でも泊まれる宿は増えた。

人気のある宿はひとり泊を受け入れなくても部屋が埋まるのだから仕方ないが、予約数が少ない日や閑散期などに限り、ひとり泊を受け付けてくれる宿もある。そういう宿はひとり旅にやさしいといえるだろう。

なお、予約サイトに掲載されていないような家族経営の小さな宿は、多くがひとり泊OKである。電話で問い合わせる必要はあるが、お目当ての宿があれば気軽に相談してみるといいだろう。

一人泊でも料金があまり変わらない

宿の立場になれば、ひとり旅の人を泊めるよりも、グループや団体客を泊めたほうが効率的に利益を上げることができる。ひとり客を泊めるのも2人客を泊めるのも用意する部屋や料理、手間はそれほど変わらないのに、売上は倍違うのだから当然だ。

したがって、ひとり泊を受け入れている宿でも、その宿泊料金は割高に設定されているケースが多い。場合によっては料理や部屋は一緒でも、2人泊の倍近い料金を請求されることもある。どんなに泊まってみたい宿でも、それだけ割高になると、二の足を踏まざるをえない。

宿の事情は理解できるが、それでも良心的な価格設定をしてくれている宿もある。同一料金はめったにないが、1000円~3000円くらいしか価格差がない宿はかなり良心的で、一人客にやさしいといえる。そういう宿は嬉々として予約したくなる。

規模が大きすぎない

宿のサイズ感は一人客の居心地を左右する要素のひとつだ。

100部屋以上あるような大型ホテルや旅館は、当然ながら宿泊客が多くなり、部屋以外のスペースではほぼ他の宿泊客と出くわすことになる。

家族連れやカップルが楽しそうにしている姿は気にならない人はよいが、目に付いてしまう人はどうしても心が落ち着かないだろう。

また、一人の時間を愉しむというソロ温泉のコンセプトの観点から言っても、浴室が常に人でいっぱいである状態は好ましいとは言えない。

ソロ温泉が目的なら、10室未満の小規模の宿がベストであり、少なくと20室以下の宿を選びたい。

「ぼっち飯」に配慮がある

ひとり旅の不安として食事の問題を挙げる人は少なくない。場数を踏めば「ぼっち飯」にも慣れるものだが、それが苦痛でソロ温泉を断念する人もいる。

実際、広間や食事会場に一堂に会するようなケースで、ひとり客が自分だけだとさびしい思いをする。隣のテーブルが賑やかなグループや家族連れだったりすると、いよいよ気まずい。

だが、ひとり旅にやさしい宿であれば、それなりの配慮をしてくれる。もちろん部屋食なら気楽に食事を楽しめるが、部屋食が叶わない場合でも、別の個室を用意してくれたり、仕切りのあるスペースを提供してくれるところもある。また、大広間であってもグループ客から遠い席や視界に入りにくい席を用意してくれたりする。

ひとり客なので特段のサービスは求めないが、こうしてぼっち飯への心遣いをしてくれる宿は好印象である。

プランの選択肢が多い

ひとり客を受け付けてくれている宿であっても、プランが限定されているケースがしばしばある。たとえば、「ビジネスプラン」「ひとり旅プラン」などが典型的である。

これらのプランは、価格もリーズナブルに抑えられている代わりに、その扱いも淡泊であることが多い。

料理は定食風の簡素なものだったり、狭い部屋限定だったりする。この場合、「仕事などの事情があってひとりで泊まるのだから他の客のように快適さや豪華な料理は求めていない」という宿側の決めつけがあるように思える。

先日、ある温泉自慢の宿に泊まろうとしたのだが、ひとり客は料理の数が少ない簡易プランしか選べず、通常プランの料理よりも数段落ちる内容だった。せっかく宿泊するなら少々割高でも地のおいしいものをいただきたかったので、あえなく他の宿を探すこととなった。

ソロ温泉に出かける人のニーズはさまざまだ。「温泉さえ入れれば安いに越したことはない」という人もいれば、「せっかくのひとり旅なのだから少々値が張っても贅沢したい」という人もいる。

だから、「ひとり旅だから」とプランを限定せず、部屋や料理のグレードアップも選択できるように配慮している宿はひとり客にやさしいといえるだろう。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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