インドのムンバイで開催中の国際オリンピック委員会の理事会で、2028年ロサンゼルス五輪組織委員会から追加競技として提案されている野球・ソフトボール、フラッグフットボールなど5競技を承認。来週の総会で是認されれば、28年LA五輪での野球採用が決定する。

　世界野球ソフトボール連盟のリカルド・フラッカリ会長はムンバイで取材に応じ、メジャーリーグ・ベースボール機構からトップ選手の五輪参加を確約した文書を受け取ったと報じられている。報道によると、MLB機構だけでなく、選手会の合意も得ており、トップ選手による本気の戦いがLA五輪で実現する可能性は高い。

　オリンピックでの野球は、2000年シドニー五輪からプロ選手の参加が解禁されたが、メジャーリーグはシーズン中なこともあり、選手の派遣を拒否。

　シドニー五輪では松坂大輔や松中信彦などプロ野球選手8人とアマチュア選手16人のプロアマ混合チームで臨んだが、4位に終わり、メダルを逃した。

　2004年アテネ五輪では全員がプロ野球選手の強力布陣で挑んだが、準決勝でオーストラリアに敗れて銅メダル。リベンジを誓ってオール・プロ野球選手で再び臨んだ2008年北京五輪でも4位と、日本はプロ野球からトップクラスの選手を派遣しても、結果は奮わなかった。

　しかし、3大会ぶりに野球が五輪に復活した2021年東京五輪では、稲葉篤紀監督の下、悲願の金メダル獲得に成功。だが、決勝で対戦したアメリカは元メジャーリーガーとマイナーリーガーの集まりで、アメリカ国内ではほとんど注目されていなかった。

　5年後の28年LA五輪には大谷は34歳になっているが、故障さえなければ、まだメジャーリーグのトップ選手として活躍しているはず。

　その大谷が6年間を過ごしたロサンゼルスの地で、オールスター軍団であるアメリカ代表チームと真剣勝負を行えば、今春のWBC決勝戦を超える盛り上がりをみせることは間違いない。

　バスケットボール、そしてNBAが今のような世界的人気を誇るようになったのは、1992年バルセロナ五輪で金メダルを獲得した『ドリームチーム』の存在が大きい。

　野球ではアメリカ代表だけでなく、日本、ドミニカ共和国など複数のチームがドリームチームを結成でき、高いレベルの試合が期待できる。

　WBCはシーズン開幕前なので、投手の球数規制があったり、選手の調整が間に合わないなどの問題もあったが、メジャーリーグのシーズン真っ盛りに行われる五輪では、真の真剣勝負が繰り広げられそうだ。

　LA五輪の野球開催期間中に、MLBシーズンがどうなるかは、まだ発表されていないが、MLBと選手会が全面バックアップするのであれば、シーズン中断する可能性は高い。他のスポーツでは世界中からトップ選手が集うNHL（アイスホッケー）は、冬季五輪のアイスホッケー開催期間中はシーズンを中断している。

　シーズン中断によって、シーズン開催期間が伸びることを懸念しているのであれば、LA五輪開催の28年だけはオールスターゲームを中止するという案はどうだろうか？夢の対決は五輪の舞台で行われるので、オールスターゲームを中止にするのはありだと思う。

　また、自国開催のため、選手の移動時間も少なく、時差調整も必要ないので、メジャーリーグの選手はスムーズにレギュラーシーズンの戦いから五輪の戦いへと移行できるはずだ。

　WBCで見せたような国の威信をかけた真剣勝負が五輪で行われば、野球人気の向上に大きく貢献する。

　野球、そしてMLBが世界的人気スポーツになるためのキーマンは、大谷翔平が相応しい。