一か月遅ければ春一番の天気図、ただ関東地方は
日本海低気圧
令和2年(2020年)は、西高東低の冬型の気圧配置で始まりました。
北日本を中心に強い北風が吹き寒気が南下していました。
しかし、大正月(1月1~7日、おおしょうがつ)が終わったとたんに、日本海に低気圧が入って発達するという春の天気図に変わっています(図1)。
発達中の低気圧の東進に伴い、西日本から強い南風が吹きはじめて気温が急上昇し、その後、寒冷前線に伴った雨雲の通過後は強い北風が吹くという、激しい天気変化となっています(図2)。
東京も1月7日の最高気温が8.2度と真冬並みの気温であったのに、翌8日は日本海の発達中の低気圧に向かって強い南風が入りますので、最高気温は18度の予想となっています。
前日に比べて10度も高く、桜が咲くころの春の気温です(図3)。
ただ、春の気温は8日だけで、その後は寒気が南下し、今週末の最高気温は、真冬に戻ります。
特に、12日(日)の最高気温は6度と、今冬一番の寒さを予報しています。
そして、平年より高めに推移していた最低気温も平年並みになります。
春を思わせる天気図
冬は、日本付近で低気圧は急速に発達しませんが、春は低気圧が急速に発達します。
これは、冬の特徴である北からの寒気が残っているところに、夏の特徴である暖気が入るなど、低気圧が発達する条件が重なるからです。
1月8日の天気図では、低気圧が日本海で発達していますので、春を思わせる天気図ということもできます。
春になって最初に吹く強い南風を「春一番」といいます。
気象庁が発表する春一番の基準は、地方により異なりますが、立春(今年は2月4日)から春分(今年は3月20日)までの間に日本海で低気圧が発達し、南寄りの風が強く吹いて気温が上昇することが目安です(表)。
なお、北日本と沖縄は春一番が吹きませんので、発表基準はありません。
1月8日の予報は、春一番の発表基準のうち、「立春から春分の間」という条件は満たしませんが、関東から西の地方では、それ以外の条件は満たしています。
つまり、あと一か月遅ければ、春一番です。
従って、8日の日本海低気圧に対する注意事項は春一番と同じ注意事項です。
つまり、「低気圧に向かって暖かい湿った南風が吹きますので、太平洋側では暖かい湿った強い南風と強い雨に、日本海側では気温が上昇して雪崩や融雪洪水に注意」です。
(追記:1月8日13時)
大きく外れた関東の気温予報
上記記事は、1月8日5時に書いたものですが、その後、関東地方の気温予報が大きくはずれました。
これは、日本海の発達中に低気圧に向かって吹く南風が、関東南岸までしか吹かなかったからです。
関東地方に滞留していた地表付近の寒気が見かけ以上に強く、春の南風を押し返した感じです。
このため、春のように気温が上昇したのは、房総半島南岸まででした(図4)。
その後、寒冷前線が通過し、北よりの風に変わっていますので、晴れて日射がでてきた12時すぎからは気温が上がり始めましたが、気温予報のもととなっているコンピュータの計算から大きくずれたままで、なかなか回復しません(図5)。
あす以降は、予想通りに推移すると思いますが、関東地方の1月8日の気温予報は、気象庁をはじめ、多くの気象予報士の完敗でした。
それだけ難しい予報でした。
タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図4の出典:気象庁ホームページの図に著者加筆。
図5の出典:ウェザーマップ提供の図に著者加筆。
表の出典:気象庁資料をもとに著者作成。