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沖縄と奄美は梅雨明けへ、ただ気になる南方の巨大な積乱雲群

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
沖縄の夏空(写真:イメージマート)

梅雨前線が東シナ海を北上へ

雲と雨の予想(ウェザーマップ)
雲と雨の予想(ウェザーマップ)

沖縄や奄美地方の梅雨明けが近づいてきました。上図は梅雨前線に伴う雲と雨の範囲を示したものですが、あさって25日(日)正午には那覇や名瀬の北側に北上し、沖縄や奄美地方は夏空領域に覆われる見込みです。

早ければ、沖縄地方ではあす24日(土)、奄美地方ではあさって25日(日)にも梅雨明けの発表がありそうです。(ただそれまではまだ局地的な激しい雨に要注意です。)梅雨明けの平年日は、沖縄地方で6月21日頃、奄美地方で6月29日頃ですから、沖縄地方では平年よりやや遅く、奄美地方では平年よりやや早い梅雨明けとなるでしょう。

太平洋高気圧が勢力拡大

太平洋高気圧の予想(ウェザーマップ)
太平洋高気圧の予想(ウェザーマップ)

なぜ梅雨前線が北上するのかというと、上図のように東シナ海で太平洋高気圧の勢力が北側に拡大するからです。この太平洋高気圧が梅雨前線を北側へ押し上げることになります。

沖縄や奄美地方は、この太平洋高気圧にしばらく覆われる可能性が高いのですが、さらに南方に眼を向けると、やや不安材料が見受けられます。

南方に巨大な積乱雲群

ひまわりによる雲の様子(ウェザーマップ)
ひまわりによる雲の様子(ウェザーマップ)

日本の南海上に広がるよく晴れている領域が太平洋高気圧の勢力下ですが、さらにその南方に眼を向けると、赤い丸の中に巨大な積乱雲群が発生している状況です。この雲域の動向はまだまだ不確実で、このあとまとまって発達するのか、まとまらず消散するのかなどは予想がバラバラですが、なかには気になる計算をしているモデルもあります。

最新の気象庁の予想天気図では、この雲域付近で、あさって25日(日)午前9時までに低圧部が発生する予想です。低圧部とは、周囲より気圧が低く、雲の循環は認められるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近が推定できるようになると、熱帯低気圧に名前が変わります。

アンサンブルでは熱帯擾乱が北上する計算も

アンサンブル予報一部抜粋(ウェザーマップ)
アンサンブル予報一部抜粋(ウェザーマップ)

上図は気象庁が計算しているアンサンブル予報の一部を抜粋したもので、今から1週間後の6月30日(金)午前9時の予想を示しています。

あくまでも参考ではあるのですが、左側のように雨雲はあるものの、特に発達を示していない計算がある一方、右側のように台風と思われる勢力に発達しながら北上を示す計算もあります。台風を含めて熱帯擾乱として顕在化している計算は、今のところ、3割程度とあまり多くはないのですが、今後の計算を注視したいと思います。

梅雨のステージが進行

10日間予報(ウェザーマップ)
10日間予報(ウェザーマップ)

ウェザーマップによる10日間予報をみると、石垣島や那覇など沖縄地方はあす24日(土)以降、連日晴れマークが並んでいます。また奄美地方の名瀬も、あさって25日(日)以降、晴れマークが並びます。

ただ来週の週末頃は、曇り時々晴れと、安定した夏空ではない予想となっているところが、熱帯擾乱の影響を受ける可能性があることを示唆しています。

一方、本州付近に注目すると、来週は傘マークが付いている日でも最高気温は30度以上の日が多くみられます。これは梅雨前線が日本海側までジャンプアップするため、本州付近に南からストレートにかなりの暖湿気が流れ込んでくるためです。梅雨のステージが進行しますので、本州付近はいっそう、大雨や熱中症に警戒が必要な時期に突入しそうです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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