島野製作所対アップルの特許訴訟はアップルの全面勝利で終結
アップルの部品サプライヤーの小規模企業、島野製作所がアップルを電源プラグのピンの構造に関する特許権の侵害で訴えていた件については、以下のように過去に何回か書いています。
- 侵害訴訟の一審:島野製作所対アップルの特許裁判の判決文が公開されました(2016/4/3)
- 侵害訴訟の二審:アップルと戦う島野製作所、侵害訴訟の第二審でも敗訴で窮地に(2016/10/26)
- 無効審判:アップルと戦う島野製作所、特許無効により厳しい状況に(2016/9/5)
既に島野製作所側の勝ち目はない状態だったのですが、先日公開された無効審判の審決取消訴訟の判決文により、島野側はほとんどの主張が認められることなく敗訴した(特許権の無効が再確認された)ことがわかりました。最高裁に上告できないことはないですが、もう道は閉ざされたといってよいでしょう。
一般に、日本では、特許訴訟の原告(権利者側)の勝率が低い(3割程度)と言われており、特に個人や中小企業が原告で大企業が被告というパターンですと権利者側の勝率は1割以下です(ソース:知的財産推進計画2015)。とは言え、実際には原告有利で和解することもありますので、中小企業または個人が大企業を訴えてもまったく無駄ということはありません(個人発明家がアップルから(日本の事例としては)巨額の賠償金を勝ち取った例もあります(参照過去記事))。要は特許がどれくらい強力かです。
今回は、アップルが使用している部材(導電性のキノコ型押付け部材)と元々の特許発明で中心になっていた部材(絶縁性の球状部材)が違いすぎたので、今にして思えばちょっと無理筋の訴訟だったと言えます。