アップルと戦う島野製作所、特許無効により厳しい状況に
「ダビデとゴリアテ」にもたとえられそうな島野製作所による対アップルの特許侵害訴訟の第一審が島野側敗訴(その後、控訴)となったことは既に書きました。
その時点では特許(第5449597号)(追記:Google Patentsの日本公報対応記念に固定リンクを貼ってみました)の無効審判が行なわれているのはわかっていたのですが、結果は明らかではありませんでした。その結果(審決)が8月16日に出ていました。島野の特許が無効と判断されています。
審決文は、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」のトップメニューから審判→審決速報を選び、文献番号に審判番号2015-800030を入力すると見ることができます。かなり長くて専門的な内容で、かつ、図面や証拠物件が省略されていますのでぱっと見てわかるというものではありません。
かいつまんで説明すると元の出願を分割して、アップルの実際の製品に権利行使できるようにしたことが分割要件違反とされ、出願日が訴求しなかったことが無効とされたポイントです(もっと詳しい話を弊所ブログで書くかもしれません)。
特許訴訟の争いは大きく侵害論と無効論に分かれる(さらにその先のステップに損害賠償金額算定に関する争い(損害論)もあります)のですが、その両方について、島野側は敗れてしまいました。前者については侵害訴訟の控訴審で、後者については審決取消訴訟で争えますが、正直、厳しい状況になってしまったと思います。
一般論ですが、(物理的な)物の構造の発明は、特許化は比較的容易ですが、広い権利範囲を取るのはなかなか難しいです。また、これも一般論ですが、アップルは米国で最も特許訴訟をしかけられている企業でもあり、その知財部隊はかなり手強いと言えそうです。
なお、島野製作所とアップルの訴訟は、特許侵害訴訟以外にも独占禁止法に関連したものがあります。こちらについては、日本を裁判管轄とするという島野側に有利な判断が出て以降、今のところ全然情報が出てきていません。