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お気軽にご相談ください、では相談できない若年無業者の悩み。

工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長

無業の若者について調査を進めるなかで、「無業期間が3年を越えると、90%以上がどうしたらいいのかわからなくなる。」を前回は挙げました。

そもそも、多くのひとは仕事を失ったり、就職活動すらできなくなってしまった際に、「支援機関」の利用に迷わないかもしれません。自身の人脈をたどることができるひと。人材紹介企業の扉を臆せず開けられるひと。またはハローワークや地域若者サポートステーション、そして、育て上げネットのような若者支援NPOにさらっと問い合わせができる。活用できるリソースは活用すればいいだけで、何を迷うのかわからないという方もいるかと思います。

実際、若年無業者もほぼ半数(51%)は支援機関の利用に迷っていません。

支援機関の利用に迷ったか
支援機関の利用に迷ったか

逆に言えば、同じくほぼ半数(49%)は利用に躊躇しています。

さまざまな支援機関のウェブサイトやリーフレットを見ると、「お気軽にご相談ください」「まずはご連絡を!」と少しでも相談者のアクセスハードルを下げるべく、言葉が並んでおります。

しかし、実際に支援機関の利用に迷った若者の「理由」を見ていくと、”お気軽”に”相談する”ことそのものが高いハードルとなっています。

支援機関の理由に迷った理由
支援機関の理由に迷った理由

そもそも、「人に相談するのが苦手」な方が51.7%となっており、お気軽に相談くださいと言われても、苦手なのだから気軽にはできないわけです。もうひとつ相談に迷う理由として「何を話したらいいかわからない」が挙がります。55.9%ともっとも高くなっています。特に、若年無業者のなかでも、求職行動をとっている求職型は目的が明確であり、相談する内容は就職に関することでしょう。

しかしながら、仕事はしたいが就職活動ができない状況の「非求職型」や、仕事について考えることができない状態である「非希望型」の若者にとっては、そもそも何を相談すべきかわからない状態であることがうかがえます。そのような心境に対して、「何でも相談してください」と呼びかけても、相談する内容が整理されていないため二の足を踏んでしまうようです。

※今回の調査に各地から協力していただいたNPO法人は、厚生労働省の政策である、ほぼ唯一の国としての若年無業者対策である地域若者サポートステーションを運営しているところが多く、冒頭にも書きましたが調査対象者はそれらの支援機関にアクセスできた方にほぼ限られています。

※当該調査は現在まとめにはいっており、3月下旬を目標に公開準備をしています。

※調査対象者はこちら下部をご参考にしてください。

認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長

1977年、東京都生まれ。成城大学中退後、渡米。Bellevue Community Colleage卒業。「すべての若者が社会的所属を獲得し、働くと働き続けるを実現できる社会」を目指し、2004年NPO法人育て上げネット設立、現在に至る。内閣府、厚労省、文科省など委員歴任。著書に『NPOで働く』(東洋経済新報社)、『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『若年無業者白書-その実態と社会経済構造分析』(バリューブックス)『無業社会-働くことができない若者たちの未来』(朝日新書)など。

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