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函館本線(山線)存続は政治的な解決を図るべき 蘭越町での住民集会は全国から注目

鉄道乗蔵鉄道ライター
蘭越駅(写真:Mister0124 CC BY-SA 4.0)

 2024年7月28日、函館本線(山線)沿線の蘭越町では、同路線の存続運動が再燃し住民集会が開かれた。この日は、午前中には蘭越町の住民団体「蘭越あくてぃぶねっと」が開催する駅ナカフリマ+で筆者のトークショーを開催させていただいたほか、午後からは別の住民団体である「山線存続蘭越住民の会」の総会も5年ぶりに開かれた。

 特に、午後の「山線存続蘭越住民の会」の総会についてはメディアからの注目も高く、札幌から北海道放送(HBC)と時事通信社の記者の方が取材に訪れていたほか、北海道新聞と読売新聞の記者の方の姿もあった。蘭越での存続運動の再燃については、YouTubeの【北海道】乗り物大好きチャンネルさんのほうでも総会開催前の7月26日に動画公開が行われた。この動画は公開から3日で2万回に迫る再生回数と400件に迫る応援コメントが寄せられており、全国的な注目の高さも伺えた。

 総会の会場では筆者も各メディアの記者の方々と意見交換をさせていただいたが、取材に来られていた記者の方で、「【北海道】乗り物大好きチャンネル」を定期的にチェックしているという方もおられた。

 北海道新幹線の並行在来線問題は、北海道庁が主導する密室の並行在来線対策協議会で廃線ありきの協議が進められ、沿線自治体の首長は鉄道維持のためにはその財政規模を上回る財政負担が必要になるとして強引に廃止の方針が決定された。しかし、北海道庁は協議の場に、バス会社を呼ばず、同程度の第三セクター鉄道のおよそ7倍にのぼる経費での杜撰な試算に基づき沿線自治体に対して廃線の合意を迫ったことが明らかとなっており、そのうえで、北海道中央バスを始めとした地元のバス会社からは鉄道代替バスの引き受けを断られるという異常事態となっている。

 北海道外の事例では、例えば、福島県の只見線や熊本県の肥薩線では、ローカル線の再生については県が積極的にかかわり、財政規模が脆弱な沿線自治体に配慮をして、鉄道の維持については自治体が負担できる範囲でしか費用負担が求められないことが多いが、北海道庁の対応はこれとは真逆で、自ら地域の利便性を低下させ、活性化のチャンスを奪うことを行っており、もはや行政としての政策能力を疑わざるを得ないお粗末さである。

 熊本県の肥薩線の事例では、鉄道に対して道路や河川の予算を活用するといった取り組みもおこなわれているが、山線問題についてはもはや政治的な解決を図らざるを得ない状況となっていることから、そうした政治を動かすためにも、地域から鉄道存続を望む声がさらに上がることを期待したい。

鉄道乗蔵としては初のイベント開催となった(画像:蘭越あくてぃぶねっと)
鉄道乗蔵としては初のイベント開催となった(画像:蘭越あくてぃぶねっと)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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