新聞の購読料は高いのか安いのか、世間一般の考えをさぐる(2023年度版)
新聞離れと呼ばれる現象の一因は、新聞の相対的な価値の下落により、コストパフォーマンスが悪化し、購読料に値する価値を見出せなくなったからとの指摘がある。それでは現状の新聞の購読料はどのように思われているのだろうか。新聞通信調査会が2023年10月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果を基に確認する。
次に示すのは新聞の一か月の購読料において平均的なモデルとして3000~5000円(朝刊と夕刊のセット)を設定し、その金額についての考えを選択肢から選んでもらった結果。「かなり高い」「少し高い」を合わせた割高派は53.0%、「かなり安い」「少し安い」を合わせた割安派は1.7%。圧倒的に割高派が多い結果となった。
回答時点で月ぎめの新聞を取っているか否か別の購読料への考えを知りたいところだが、残念ながらその値は非公開。しかしながら取っていない人において割高派は多いだろうし、取っている人は割安派や妥当だと考えている人が多いことは容易に想像できる。割高か否かのみが新聞の月ぎめをする判断材料ではないのだが、大きな要因には違いない。割高、つまり支払った対価に見合う価値を見出せない人が、そのまま支払いを継続する状況は想像しにくい。
この新聞の購読料への考えを属性別に区分した結果が次のグラフ。
新聞の情報は仕事で使うことが多いのを想像すると、現役世代で価値を見いだし、コストパフォーマンスがよい、妥当である、むしろ割安だとの意見が強くなりそうだが、実際には若年層を中心とした現役世代において割高感を覚える人が多い。インターネットを用いた情報収集に長けている、あるいは慣れていて、新聞を月ぎめで購入する必要性は無いとの判断をしているのだろうか。
男女別では「かなり高い」こそ男性の方が多いものの、「少し高い」まで合わせた割高派では女性の方が高めの値を示している。実際に片づけをしたり家計を預かるのは女性の方が多いからかもしれない。
また、新聞を好む人が多い高齢者でも、割安感との回答者はごく少数。「妥当である」がおおよそ年齢とともに増えている形となっている。現状でちょうどよい価格だとの認識はあるが、それ以上の価値を見いだしているわけではなさそうだ。ある意味、あって当たり前、空気のような存在と考えているのかもしれない。
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※メディアに関する世論調査
直近分となる第16回は2023年7月21日から8月20日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は2871人。有効回答者の属性は男性1377人・女性1494人、18~19歳53人・20代225人・30代324人・40代454人・50代515人・60代506人・70代以上794人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。
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