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【横浜市鶴見区】最新式抹茶マシン空禅抹茶があるパン屋さん「エスプラン」!江戸時代は茶屋だった?

日本茶ナビゲーター Tomoko日本茶インストラクター

空禅抹茶」という抹茶マシンをご存じですか?

数年前にアメリカで話題になり、日本に逆輸入する形で販売がスタートしたこれまでにない画期的な全自動の抹茶マシン

発売当初から注目していて「いつか見てみたい、飲んでみたい」と空禅抹茶のインスタを時々見ていました。

そしたらなんと、空禅抹茶が採用されているお店として以前から利用しているパン屋さん「エスプラン」の名前が!

これは取材せねば!と行ってまいりました。

「エスプラン」が新しくなった!

鶴見駅近隣でパン屋といえば「エスプラン」!というくらい有名な人気店です。

お客さんは老若男女を問わずひっきりなし。パンも次々に焼きあがり常時たくさんの種類が並びます。

これまでもメディアによく取り上げられ、生クリームと餡子のマリアージュが絶妙な「珈琲あんぱん」や「生ずんだあんぱん」が特に有名です。

JR鶴見駅東口から徒歩3分、京浜急行鶴見駅から1分というとても便利な立地で、地元の人々が買い物に訪れるベルロードという商店街に面しています。

ベルロードは旧東海道なのですが、今は全く江戸時代の雰囲気は残っていないため、言われないと気がつかないくらいです。

エスプランは私も以前からよく利用しており、種類の豊富なハード系パンや総菜パンなどこれまでいろいろ食べてきました(どれもおいしい!)。

昨年秋にリニューアルしたといううわさを聞いており、今回久しぶりに訪れてみると、あれ?

お店の前にドドーンと大きなのれんが!酒屋さんのようにも見えますが・・・
お店の前にドドーンと大きなのれんが!酒屋さんのようにも見えますが・・・

ここ、パン屋さんですよね?

中をのぞくとパンがずらり!上のESPLANの字は17年前のリニューアル時からそのままですが、扉も内装も和風になりました!
中をのぞくとパンがずらり!上のESPLANの字は17年前のリニューアル時からそのままですが、扉も内装も和風になりました!

パン屋さんなのにとっても和風!

酒屋さんかと一瞬思ってしまいそうな外観に変貌を遂げていました。

以前は外観も店内も和風テイストは皆無だったはずですが・・・?

エスプランに何があったのでしょう?

エスプランの前身は江戸時代の茶屋!

そうでした!忘れてはいけない大事なこと!

エスプランの前身となる覇王樹茶屋(さぼてんちゃや)は江戸時代1679年創業の旧東海道の茶屋なのです!

ここ鶴見は川崎宿と神奈川宿の間に位置し、江戸時代には珍しい4メートルの大きなうちわサボテンが店先にあったこちらの茶屋で休憩する人も多かったとか。

当時の東海道は、お江戸日本橋から京都までを結ぶ人々と物流の主要な道ですから、有名な浮世絵「東海道五十三次」を描いた歌川広重はもちろん、参勤交代の武士や幕末の志士もたくさん通ったのではないでしょうか。

創業から数えて12代目の塩田悠樹さんに茶屋のころから現代までの歴史をうかがいました。

茶屋から花の種屋を経てパン屋さんに

江戸時代は鶴見にはたくさん茶屋があり、東海道を通る旅人の休憩の場として栄えたのだそうです。

2度の大火により当時の資料は残ってはいないのですが、鶴見駅前の現在のお店がある一帯が塩田家の土地だったとか。

明治時代に入り、東海道の徒歩での利用が少なくなったと同時に茶屋はなくなり、その後、塩田家は花の種を売る商売をしていたとのこと。

そして時を経て昭和になり、戦後、塩田さんのお祖母さまのご実家が都内でパン屋さんを経営していたことから、鶴見の同じ場所で喫茶店を開きケーキやコーヒーを出していたそうです。茶屋のハイカラバージョンですね。

その後少しずつパン屋さんに移行していき、塩田さんのお父様(11代目)が名物パンである「珈琲あんぱん」や「生ずんだあんぱん」を編み出します。

大人気のこちらの2つは売り切れることも多いので予約が確実だそうです。とってもおいしいので鶴見のお土産としても喜ばれます。
大人気のこちらの2つは売り切れることも多いので予約が確実だそうです。とってもおいしいので鶴見のお土産としても喜ばれます。

根強い人気を持つこちらのパンは生クリームがポイント。コーヒーやお餅に生クリームと餡子の組み合わせは前身の喫茶店時代があったからこそ生まれたアイディアなのだそう。

17年前に今の洋風の建物に建て替え、人気とともに知名度もアップしていきます。

コロナ禍を機に原点回帰!「空前抹茶」との出会い

しかし2020年からのコロナ禍では人気店にも経営面で課題が生まれます。

これからどうすべきか考えているうちに、やはり江戸時代の茶屋がルーツであることはエスプランの原点であり、家族みんなの希望として「覇王樹茶屋」の歴史をもっと大切にしたい!という想いが強くなり、リニューアルを決意!

お客様が安心してパンが買えるスタイルに店内を変えると同時に、塩田さんご自身も和菓子が好きだったこともあり「茶屋にはやはりお茶は必要不可欠!」と日本茶の提供を考え始めたそうです。

しかしそこで1つの壁にぶち当たります。

煎茶にしろ抹茶にしろ、パンがメインのパン屋においてお客様の対応をしながら全てのスタッフが同じ味のお茶を提供できるか?

茶葉の質やいれ方でお茶の味は随分変わってしまうし、舌の肥えたお客様にも満足のいく味にできるか?

いろいろ悩んでいたところ、あるニュースサイトで画期的な抹茶マシン「空禅抹茶」の情報を見つけて「これだ!」とすぐに問い合わせ、空禅抹茶の社長さんに熱い想いを伝えて掛け合い、コラボにこぎつけたそうです。

偶然とはいえそのタイミング、空前抹茶との出会いは必然だったのですね!

全自動抹茶マシン「空禅抹茶」のすごさ

パン屋さんで抹茶ラテを置いているお店は最近は増えてきましたが、抹茶マシンで挽きたての抹茶を使った抹茶ラテが飲めるお店は他に聞いたことがありません。

そもそも空禅抹茶の何がすごいかというと、その仕組みです。

今までは茶葉を粉にするミルやコーヒーマシンのように茶葉をセットして煎茶などが飲めるマシンはありましたが、空禅抹茶は抹茶の原料茶葉である碾茶(てんちゃ)を挽いてお茶を点てるところまで全自動でやってのけるすごいマシンなのです。

初めて知ったときはなんて画期的なんだ!と私も度肝を抜かれました。

通常の抹茶の流れ

通常の抹茶は抹茶用に加工された茶葉である「碾茶(てんちゃ)」を石臼で挽いて作られています。

青のりのように見えますがこれが抹茶の原料の碾茶(てんちゃ)。特別な栽培方法で、加工も茶葉を揉まずに乾燥させ葉脈などを取り除いて作ります。一般にはあまり出回りません。
青のりのように見えますがこれが抹茶の原料の碾茶(てんちゃ)。特別な栽培方法で、加工も茶葉を揉まずに乾燥させ葉脈などを取り除いて作ります。一般にはあまり出回りません。

碾茶を石臼で挽くと抹茶になります。

抹茶専用の石臼で挽くとこのように細かい粒子になります
抹茶専用の石臼で挽くとこのように細かい粒子になります

そして抹茶をお茶碗に入れお湯を注ぎ茶筅を使って点てる、というのが一般的です。

茶せんを使って点てた抹茶
茶せんを使って点てた抹茶

でも家に茶筅がないと点てられない・・・など少しハードルが高いですよね。

抹茶も粒子が細かいため煎茶などに比べると酸化しやすいので、開封したら早めに使い切らなければなりません。

しかし空禅抹茶なら、原料となる碾茶を挽くところからスタートして点てるところまで完了するので、限りなく新鮮な状態の抹茶が飲めるとのこと。

千利休が見たらびっくりすることでしょう!

さらに空禅抹茶専用の碾茶は鹿児島産の有機栽培のもの。どんな味か気になります。

実際にその様子を見てみたい!マシンで作られた抹茶も飲んでみたい!と、実際にエスプランで提供されている抹茶と抹茶ラテを飲んでみました。

空禅抹茶が自動でお茶を挽いて点てる!

空禅抹茶の上部に抹茶の原料となる碾茶がセットされています。

この部分は茶筒になっておりふたを閉めると光や匂い、湿気から茶葉を守ることができます。

あらかじめ碾茶を必要な量入れておくのだそうです
あらかじめ碾茶を必要な量入れておくのだそうです

下の丸窓のような部分に水の入った容器を置いてスイッチオン!

水を入れる透明容器の下の部分にスクリューが取り付けられています。透明フィルムはお店で使うためほこりが入らないように付けたそうで、空前抹茶の備品ではないとのこと。
水を入れる透明容器の下の部分にスクリューが取り付けられています。透明フィルムはお店で使うためほこりが入らないように付けたそうで、空前抹茶の備品ではないとのこと。

容器の中のスクリューがが回転し始め、上から少しずつ挽かれた抹茶が投入されていきます。

上から少しずつ出てくる抹茶。容器の中の水が回転しているので、思わず「洗濯機みたい!」と(笑)
上から少しずつ出てくる抹茶。容器の中の水が回転しているので、思わず「洗濯機みたい!」と(笑)

だんだん濃くなり泡もたってきます。

できあがりもマシンが知らせてくれます
できあがりもマシンが知らせてくれます

スタートから約1分半ほどでピピッと音が鳴り、1杯分の抹茶できあがりました!

※今回は取材ということで特別に小上がりの席で空禅抹茶を見せていただきましたが、普段はお店のドリンクコーナーに2台置かれています。

空禅抹茶の抹茶の味は?

では、「抹茶エスプレッソ」、つまり抹茶をストレートでいただきます!

こちらが「抹茶エスプレッソ」。機能上、お湯は容器に入れられないため水を使っているそうです。空禅抹茶のロゴ入りのカップでいただきます!
こちらが「抹茶エスプレッソ」。機能上、お湯は容器に入れられないため水を使っているそうです。空禅抹茶のロゴ入りのカップでいただきます!

ほほぅ、すっきりとした味の抹茶です。毎日飲んでも飽きない味ですね。

水で攪拌しているのもあり、温度が高くないため一般的な抹茶と比べて苦味渋味も刺激も少な目で飲みやすく仕上がっています。

抹茶のうま味が濃すぎるとパンとの相性はあまりよくないかもしれませんが、これならクリーム系のパンや和風の総菜パンにも合いそうです!

次に、ストレートの抹茶をミルクに加えた「抹茶ラテ」をホットでいただきました(冷たいバージョンもあります)。

小上がりの和室にディスプレイされているサボテンと抹茶ラテを並べてみました。抹茶ラテの左にあるのがうちわサボテンで茶屋の時代にあったものと同じ仲間とのこと。これの巨大なものが植わってたんですね。
小上がりの和室にディスプレイされているサボテンと抹茶ラテを並べてみました。抹茶ラテの左にあるのがうちわサボテンで茶屋の時代にあったものと同じ仲間とのこと。これの巨大なものが植わってたんですね。

無糖で提供され、お砂糖はお好みで加えて混ぜるスタイルです。甘いパンと合わせるなら無糖のままで良さそうです。

ふんわりと泡の立った抹茶ラテは優しい味でほっとひと息にぴったりです。

抹茶エスプレッソはシャキッと元気に過ごしたい時、抹茶ラテはリラックスタイムに、など使い分けても良いですね。

この他に、よりすっきりと飲める「抹茶アメリカーノ」という抹茶ドリンクもあるそうです。

空禅抹茶のサイト(外部サイト)ではマシンの動く様子が動画で見ることができます。

有機栽培の茶葉使用なのにリーズナブル!

空禅抹茶専用の碾茶の茶葉は鹿児島産の有機栽培のものです。

海外でも有機栽培の抹茶は人気が高く、健康に気を遣う人々の支持を得ています。

エスプランでは抹茶ラテがテイクアウト440円、イートインなら448円、抹茶アメリカーノもテイクアウト324円、イートイン330円と、割高な有機栽培のものを使用しているのにとてもリーズナブルです!

塩田さんは「茶屋の雰囲気の中でだれでも気軽にこの抹茶ドリンクを楽しんでほしい」という想いで、リーズナブルな値段設定にしているとのこと。

茶葉を丸ごと飲む抹茶では、抗酸化作用などたくさんの効能があると言われるカテキンやビタミンC、ビタミンEなども摂れ、さらに有機栽培の安心感から健康志向の方々に特に人気が出そうです。

茶屋の歴史に誇りを持ち、その上でお客様にも茶屋気分を味わってほしいという気持ちは抹茶マシンやドリンクにとどまらず、お店の内装やパンにも表れています。

リニューアルを経て小上がりのあるパン屋さんに

店内に入って目を引くのがパン屋さんでは見たことのない「小上がり席」。

5歳と1歳の二児の父でもある塩田さん。お子様連れのお客様もパン屋ドリンクを召し上がりながらゆっくりくつろげるように小上がりにしたのだそう。
5歳と1歳の二児の父でもある塩田さん。お子様連れのお客様もパン屋ドリンクを召し上がりながらゆっくりくつろげるように小上がりにしたのだそう。

エスプランのサイトにはこうあります。

私たちの原点は茶屋です。
2020年からのコロナ禍で多くの変化がありました。
原材料も、スタッフも、お客様も、そして私たちの心も。

そんな中、なぜここで商売をさせていただいているのか、
12代変わらず、ご先祖様から、この地でがんばれたのか。

そんな考えの中、出した答えが
「お座敷・小上がり」でした。
あまりパン屋さんとは共通点はありませんが
うちにはあります。
歴史を感じてもらえる場所と、おいしいパン。
これを同時に実現すべく、リニューアルいたしました。
どうぞ、くつろいでいってください。
この店には時計はありません。
たまには「時間を忘れて」ください。

時を忘れてちょっと一服。

そこには緩やかに江戸時代と同じ空気が流れています。

パン屋さんにいるのを忘れてしまうような和の空間でリラックス。

ここに似合うのはコーヒーでもなく紅茶でもなく、やはりお茶。

それもパンと相性の良い抹茶ラテなど抹茶ドリンク。最高ではないですか!

抹茶ラテを片手にあんぱんをほおばりながらくつろげる、まさに「現代の茶屋」です!

新商品「ごはんパン【善】」は抹茶にぴったり!

さらに茶屋に似合うパンをということで、塩田さんは改良に改良を重ねて新商品の「ごはんパン【善】」を開発。

上の段の4つがごはんパン。きんぴらごぼうなど和風総菜にも合います。お味噌汁と一緒でも良さそうです。
上の段の4つがごはんパン。きんぴらごぼうなど和風総菜にも合います。お味噌汁と一緒でも良さそうです。

炊いたご飯が50パーセントも入っており酵母とこうじで発酵させているからほんのり酒まんじゅうの皮のような香りがするもっちもちの生地。

バターは使わず太白ごま油を使っているそうで、どこまでも和風なパンです。

実際に購入して食べてみたところ、お餅とパンの間のような食感でお腹にたまり、ご飯のような感覚で食べられます。

我が家では焼き鳥と一緒にいただきましたが、全く違和感がなく、合う!と家族にも好評でした。

一度冷蔵庫に入れるとまた食感が変わり、トーストすると香ばしく焼きおにぎりのような香りになるのだとか!

こちらも抹茶ドリンクと相性が良さそうです。

テーマは「温故知新」

塩田さんが掲げるテーマは「故きを温ねて新しきを知る」つまり温故知新

それは古いものと新しいものの融合が生み出した抹茶マシン「空禅抹茶」と江戸時代の茶屋にルーツのあるエスプランの共通点でもあります。

なるほど、温故知新。深いですね。

江戸時代は抹茶は庶民の口には入らない超高級なものでした。

なので当時の茶屋では抹茶ではなく番茶と呼ばれる茶色いお茶が飲まれていたのではないかと推察されます。

砂糖も抹茶同様に高級品ですから、庶民の食べるだんごも甘いだんごではなく、味噌や醤油が塗られたようなものだったのかもしれません。

そう思うと今は抹茶も甘いお菓子もすぐに手に入りますから、なんとも贅沢な世の中になったものだと東海道中膝栗毛の弥次さん喜多さんが見たら驚くことでしょう。

江戸時代と現代を脳内で行き来しながら抹茶ラテとあんぱんをいただく。

そんな至福の時を過ごすことができるパン屋さんエスプラン。

ぜひ、パンと抹茶で茶屋気分を味わってみてくださいね。

エスプラン
住所:  横浜市鶴見区鶴見中央4-1-7
アクセス:JR鶴見駅より徒歩3分、京急鶴見駅より徒歩1分
電話番号:045-501-2147
営業時間:9:00〜17:00
定休日: 日曜日・月曜日
※イートインコーナーあり 10席
公式サイト: エスプラン(外部サイト)
Instagram:  エスプランInstagram(外部サイト)

「ぶらり途中下車の旅」にエスプランが登場するそうです!

日本茶インストラクター

【お茶の世界の扉を開く日本茶ナビゲーター】 日本茶専門店で7年勤務、茶道歴25年の経験を活かし、大手百貨店や外国の大学等でのワークショップで国内外2,000名以上の方に日本茶の魅力を伝える。 美味しい日本茶とそれにまつわる伝統工芸品を後世にも繋いでいきたい、日本茶への愛と想いで日本茶情報を発信中。 日本茶の商品開発、カフェ・飲食店での日本茶コーディネートや淹れ方指導も行う。 NPO法人日本茶インストラクター協会認定日本茶インストラクター(2004年取得)。 日本語教師(外国人対象)。

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